隆景・官兵衛「太閤秀吉を語る2」
隆景:「それはそうと官兵衛。」
官兵衛:「なんでしょうか?」
隆景:「殿下も後継者に定めていました実子・鶴松様が亡くなられた時は
さすがに肩を落とされていた感じがありましたが
拾(秀頼)様がお生まれになられてからは
元気を取り戻されたようで、なによりなこと。」
官兵衛:「鶴松様が亡くなられた空白を埋めるべくだったのか?
定かではありませんが。
で始まった此度のいくさが
生まれて来る子供の顔が見たかったのか。
どこぞの国みたく。
出産に立ち会わあわなかったことについて奥さんから
終生。ボロクソに言われるハメに遭うことを恐れて
一刻も早く京に戻りたかったのか?
こちらも定かではありませんが。
三成が明側と
とにかく終わらせたいからで作成された
嘘で塗り固めた降伏文書を
ろくすっぽチェックもせずにサインして
とっとと帰ってしまったことが。
(……結果的には良かったのかな?)」
隆景:「そうだな……。
もし淀殿が懐妊されていなかったのであれば、
お腹を痛める立場に立たされていたのは
そなたであったかもしれぬな。」
官兵衛:(秀次を毛利へ。のちの秀秋を小早川に送り込んでやろうか。
と一瞬、脳裏をかすめるも 苦笑いを浮かべるだけの官兵衛)
隆景:「淀殿も意地でしょうね。」
官兵衛:「二度も住んでいる城を落とした張本人のところに
断ることが出来ぬとは言え嫁ぎ。
亡き母の面影を求めるだけの
殿を籠絡した挙げ句。
一度ならずと二度も。後継者をお産みになられたのでありますからね……。」
隆景:「でも市井を噂を聞くと、
その淀殿がお産みになられた2人のお子様は
殿下の実の息子では無いと言われているそうではないか。」
官兵衛:「あれだけ仲が良かったおね様や、
そのおね様が亡き信長様に苦情を書面で訴える程。
無類の女好きで知られる殿が
これまで一度として世継ぎを設けることが出来なかったにも関わらず
ここ数年で立て続けに御二人。
それも同じ淀殿から。
となりましたら
そのような噂を立てられても
仕方が無いと言えば仕方の無いことかもわかりませんが。」
隆景:「チンパンジーの群れの中にも
ボスの目を盗んで若いオスを誑かせる
ボスお気に入りのメスも居るらしいからな。」
官兵衛:「ましてやサル山の大将たる太閤殿下の側に仕えているモノであるのでならば。
……って私に言わせないで下さい。」
隆景:「なんでもその相手が三成だとか。」
官兵衛:「そのことにつきましては
拾様がお生まれになられる十月十日は彼。朝鮮半島に居ましたから
三成の兵站力を用いたとしましても
さすがに肥前の国まで送り届けることは不可能では無かったかと……。
殿に身に覚えがあったからこそ
(あの年齢でも)素直に喜ぶことが出来たのだと思いますよ。」
隆景:「ただ世継ぎがお生まれになられた。となりますとな……」
太閤秀吉の話はまだまだ続きます。