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家康大長考-その3-

家康:「……大坂へ向かえば、(三成を)確実に動かすことが出来るのであるば……。」

長政:「三成は確実に動くと思われますが、

    それ以上に厄介なモノ共を動かすことにもなりますな。」

家康:「(大坂城には)輝元が居るからな……。」

長政:「吉川が言う

    『輝元が大坂で軟禁されている』

    のが本当であるならば、

    殿に合力すると思われますが。」

家康:「……そんなことはないしな。」

長政:「しかも大坂に向かう途中には

    高次殿が踏ん張っています大津を通らなければなりませぬ。」

家康:「九州勢が美濃に入らぬ内に決着を付けるための陽動作戦だからな……。」

長政:「それに大坂に向かうとなりますと……。」

家康:「『約束が違う!!』と福島が騒ぐことになるであろうし……。」

長政:「なにより殿は秀頼様の命令により、兵を動かしているのでありますから。」

家康:「ターゲットを三成に定めている以上。」

長政:「三成以外のモノに余計な刺激を与える時期ではありませぬ。」

家康:「かと言って城攻めはしたくないからな……。」

長政:「力攻めをすれば被害は甚大なモノとなり、

    時間を掛ければ逆に我らが囲まれることになる。」

家康:「(三成の居城)佐和山を狙えば動くのかもしれぬが。

    それにしても江濃国境の(大谷)吉継が邪魔で仕方が無い。

    しかも奴の娘が(真田)昌幸の次男の嫁で無かったのであれば

    信州の障害を取り除くことが出来たにも関わらず。

    奴が三成に与したが故に真田は分裂し、

    余分な神経を注がなければならぬハメに遭った。

    そのためなのか定かでないが

    先に出立した秀忠は未だ。到達することが出来ておらぬ。

    ……にしてもあいつ。会津に向かっていたハズなんだけどな……。」


家康:「……そうか。……吉継か……。」


長政:「何かお気付きになられましたか?」


家康:「いやおかしいと思っていたんだよ。

    あの一本気の強い。

    『こう!!』

    と決めたら長幼の序など関係無く直言実行に移す三成が

    なんであれだけの大大名を動かすことが出来ているのか。をだよ。」

長政:「(左遷されて)三成も丸くなったのでありましょう。」

家康:「(齢)四十過ぎたらヒトは変わらないぞ。」

長政:「四十、五十は洟垂れ小僧と言いますし。」

家康:「(当時の平均寿命だぞ)。

    そうか。そうか吉継か……。

    今回の輝元総大将の一件も

    元をただせば……。

    そうかそうか。三成のコーディネートをしていたのは

    (大谷)吉継だったのだな……。

    ……なるほどなるほど。」

長政:「ただ『いくさ』全体のコーディネートをしているのが三成であることが。」

家康:「(増田)長盛や(吉川)広家のようなモノを産み出す原因となっている。

    もし三成と吉継が常に行動を共にしていたのであれば。

    ……危なかったかもしれぬな……。」

長政:「吉継は今。関ヶ原におりまする。」

家康:「あそこならば(南宮山の)広家も見えぬ位置にあるな……。」

長政:「……そこに三成を誘い込もうと……。」

家康:「ただ吉継だからな……。

    我らが狙って来ることも想定の内であろうから

    油断なく陣を構えていることであろう。」

長政:「誘い込んだハズの三成に。逆に挟み撃ちに遭う危険性も秘めている。」

家康:「負けぬとは思ってはおるが。時間を掛けるわけには参らぬ。」

   「……にしても邪魔なのが国境にある松尾山の要塞なんだよな……。

    長篠の時の鳶ヶ巣山なんだよな……。あそこが……。

    あそこを取れれば(松尾山から眼下の位置となる)吉継は動かざるを得なくなる。

    ただそれだけ重要なポイントである以上。

    三成が備えを疎かにしているとは思えぬ。

    気付かれぬ内に奪い取らねばならぬのであるが……。

    決死隊を組むことの出来る我が(徳川の)手勢は未だ到着していない……。」

   「……真田が口惜し。吉継が口惜し……。」


熟す戦機。時間を掛けることが出来ぬ焦り。

加えて本当に動かすことの出来る部隊が到着していない憤り。

思案に暮れる家康に長政は……。

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