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広家の本心-その4-

広家:「……さてどうしたものか……。」


黒田長政とのやりとりを終えた広家は思案に暮れるのでありました。

吉川広家は毛利家中で広家と同じく重きを為し、

此度の輝元による三成方総大将就任に対し、

共に異を唱え、

家康との折衝に奔走することになった福原広俊を呼び寄せるのでありました。


長政との一連のやりとりを聞き広俊は

広俊:「……長政は輝元が二股膏薬を演じようとしていると疑っているようだな。」

広家:「なら総大将なんかになることは無いのではあるが。」

広俊:「……の割に覚悟が無いのが不甲斐ないと言えば不甲斐ない。」

広家:「……まぁ今回に関しては、あの軽さが幸いしていると解釈することと致そう。」

広俊:「(輝元に)報せるのか?」

広家:「知らせたら本当に両方にくっつくこうとするぞ。あいつは……。」

広俊:「……だよな。ところで三成は我らの動きをどう見ているのだ?」

広家:「相変わらずあいつは、ヒトの心の動きに対し無頓着なところがあり、

    裏で何をしているのか?を疑う様子は無いな……。」

広俊:「……太閤殿下が居たから黙っていた……

    と言うことは学べてはいない……。

    と言うことか……。」

広家:「あいつが総大将になっていたら

    ……こんな危険な橋を渡るハメに遭うこともなかったのであるが……。」

広俊:「家康はどう見てる?」

広家:「輝元が知らぬ間に担ぎ出されたことである。

    と理解を示しておる。」

広俊:「……信用して良いのか?」

広家:「我らの力で局面を打開することが出来ぬ以上、

    この言を信ずるほかあるまい。」

広俊:「恵瓊に対する私怨が勝ってはおらぬよな?」

広家:「……否定は出来ないところはある。

    あるが勝てぬいくさに殿を巻き込むわけには参らぬ。ただ……。」

広俊:「……ただ?」

広家:「長政より、

    今のままでは

    仮に首尾よく家康が勝利を修めたとしても

    安濃津城などこれまでの我らの働きを見て

    毛利は三成に加担したと裁定を下し、

    輝元に迷惑を掛けることにもなり兼ねぬぞ。

    と心配しておった……。」

広俊:「家康を安心させるだけの担保を寄こせ。

    と言うことか……。」

広家:「ただ我らの立場が立場である故。

    今、戦線離脱や三成に対し刃を向けることは出来ぬ。」

広俊:「(毛利)秀元と同士討ちになってしまうからな……。」

広家:「その点は長政も理解しておったし、

    家康が我らに求めているのは

    叛旗を翻すことでは無く……。」

広俊:「我ら毛利の軍勢を足止めさせることにある。」

広家:「左様。その決意を示すように……。

    とのことであった。」

広俊:「……わかった。ならば家康に対し私からも人質を差し出すことと致そう。」

広家:「……宜しいのでありますか?」

広俊:「広家殿独りに責を負わせるわけには参らぬし、

    なにより毛利のためである。」


吉川広家・福原広俊両名は家康への疑念を晴らすべく

人質を差し出すことにより、

毛利本領安堵への折衝を図るのでありました。

反三成急先鋒にいる福島同様。

家康の本心を知らぬ間に……。

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