表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/90

広家の本心-その3-

長政:「広家。安濃津城の一件……お前本当に(徳川)家康に味方するんだろうな。」

広家:「勿論、(石田)三成に加担せず、家康殿の勝利のため力を注ぐことに間違いはない。」

長政:「ならあの戦いぶりはどのように説明するつもりなのだ?」

広家:「あれは三成によって

    我が主君・(毛利)輝元を総大将に担ぎ上げられた際、

    大激論を交わした(安国寺)恵瓊を騙すためのカモフラージュであって。

    よく島津が釣り野伏せの時やるだろ。

    おとりの部隊に対し、

    最初からおとりであることを伝えてしまうと、

    相手を引き入れることが前提であることもあって

    ロクに戦わず後退を始めてしまうと

    相手におとりであることがバレてしまうから

    おとりの部隊に対し

    敢えておとりであることを知らせず

    本気で戦うよう指示をすることにより、

    相手にこちらの戦略がわからないようにし、

    本気で戦わせているおとりを打ち果たした勢いで持って

    本来の目的地へと突っ込ませる戦術。

    ……あるだろ。

    あれと同じことを今回私は

    家康と三成がまだ相対していない

    それ程重要では無い安濃津城において

    私が本気で戦うことにより、

    恵瓊に

    (広家は輝元殿が総大将に就任されたことを納得されたのだな)

    と思わせるための戦略であって、

    けっして三成を勝たせるためにやったことではない。」

長政:「西日本で輝元殿の名において戦線の拡大を図っている件については……。」

広家:「ん!?……あれか?あれは

    (増田)長盛同様。名前を使われているだけであって……。

    三成がまだ幼い秀頼様の名前使って

    家康殿駆逐を敢行しようとしていることと同じこと。

    輝元は一切関知していないから御心配無く。」

長政:「お主。……勝ち馬が確定するまで傍観しようと思ってはいないか?」

広家:「私は徹頭徹尾家康殿の味方である。」

長政:「そのことを輝元殿は知っているのか?」

広家:「存じ上げてはおらぬ。」

長政:「それでは信用出来ないな。」

広家:「それは。それは……な。長政。

    さっきも言ったように今私は

    恵瓊を騙しているところにあるんだ。

    もし仮に私が輝元に家康と交信していることを伝えようものなら

    あの輝元のこと。

    うっかり話してしまうだろ。

    今輝元は何処にいる?

    大坂城だろ。

    大坂城には誰が居る?

    不承不承ながらも三成に味方しているモノばかりであるぞ。

    そうなったらどうなる?

    私が今束ねている毛利の兵の全てを

    恵瓊が率いることになってしまうのだぞ。

    そうなるとどうなる?

    徳川殿に迷惑を掛けることになってしまうだろ。

    それはお前も避けたいであろう。

    そのために私が誰にも気づかれぬようお前を通じ、

    家康殿の勝利のため協力する。

    (毛利に関する)あとのことは私に任せておけ。と……。

    私の立場も分かってくれ……。」

長政:「ただ家康は安濃津城でのそなたの働きを

    どのように受け取ったか定かではないぞ。

    戦いが終わり、首尾よく家康が勝利を修めたのち

    広家殿が貢献したにも関わらず

    伊勢での一件によって輝元殿に迷惑を掛けることにもなり兼ねないぞ。

    私は仲介役になることは出来るが

    最終判定を下すのはあくまで家康であるのだからな。」

広家:「……わかった。私の覚悟の程を見せようとしよう。

    ただ私の立場上のこと。

    更には私が離れてしまうと

    =毛利本隊を制御することが出来なくなるため

    今、戦線を離れるわけには参らぬし、

    今、戦線を離れることになる。

    と言うことは

    =私が毛利本隊と相対すことになる

    =同士討ちになるようなことは勘弁願いたい。

    ギリギリのところまで三成方の主力部隊として振る舞うことをお許し願いたい。

    で。いざ決戦の部隊において

    三成にとって誤算となる働きをお示しいたそう。」

長政:「それを担保出来るモノは用意出来るのか?」

広家:「家康殿が着陣される前に準備致す。

    ただことのことは内密に願います。」

長政:「相わかった。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ