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隆景・官兵衛「文禄の役を語る」

秀吉からの命を受け、小早川隆景のもとを訪れた黒田官兵衛。

会うなり2人は先年発生した唐入りについての話題になるのでありました。

隆景:「殿下の名代。お疲れ様にございました。」

官兵衛:「渡海するまでは正直。あれだけの大軍を率いることが出来れば

     誰が指揮を執ろうとも

     物量作戦で勝利を修めることが出来る。

     球界の盟主と呼ばれる球団の監督の横で

     ヘッドや投手のコーチを務めていたヒトのような気持ちで

     これまで仕事をして来たのでありましたが

     実際に指揮を執って見ましたら

     ……とんでもない(苦笑い)。

     物量が多ければ多いだけ。

     それも実力があるモノが揃えば揃うだけ

     言うこと聞きやしねぇ。

     太閤殿下の苦労を今回。初めて知ることになりましたね……。」

隆景:「まぁ仕方ないでしょう。

    これまでは領土を拡げることが

    =身入りを増やすことの出来る唯一の方法であったモノが

    殿下が天下を掌握すると共に

    力による現状変更が認められなくなった。

    かと言って、ほかに収入を増やす方法を身につけていない。

    殿下は殿下で金配ったりして、なんとか市井を回そうとしているのではありますが

    民から見ました場合。それは自分で稼いだものではありませんので

    所詮はあぶく銭。

    生活保護とパチンコ屋で成り立つ地方自治体経済のような閉塞感が京の街を支配する。

    そんな内からの圧力に耐えかね、国の底が抜け落ちる前に。

    と、大陸に向かって溜まりに溜まっていた

    これまでの鬱憤が一気に放出されたのでありますから

    官兵衛殿のみならず。

    たとえこれが太閤殿下直々に

    大陸に渡られ指揮を執られたとしましても

    同様の事態が発生した。

    むしろ殿下が渡られた時のほうが

    殿下の好みを皆が分かっている手前。

    諸将が今回以上に張り切ってしまい、

    収拾のつかない事態に陥っていたかもしれませんよ。」

官兵衛:「今も朝鮮で蠢くことになっていたかも……。」

隆景:「なんとか講和を結び、全将無事に帰ることが出来たのはなによりのこと。

    ただ。此度のいくさ。

    2年もの外征を。

    各将がほぼ自弁で賄ったにも関わらず

    加増らしい加増をされたモノが居なかった……。」

官兵衛:「……これは揉めますね。」

隆景:「……揉めますな。

    ……官兵衛殿。」

官兵衛:「なんでしょうか……。」

隆景:「官兵衛殿が現地での戦況を殿下に報告する立場であったことから考えますに

    今後。加増が無かった事に対する恨みが

    渡海の指示を出した殿下に対し向けることが出来ぬ分。

    そなたに対し、襲い掛かって来る危険性もございますな……。」

官兵衛:「それは勘弁願いたいですな……。」

隆景:「ただそなたの子息。長政殿が官兵衛殿と別行動で実際に戦っていたことが

    ……救いになりそうではありますな。」

官兵衛:「エコ贔屓と呼ばれぬよう、控えめな態度に終始するよう釘を刺しておきます。」


その後、2人の会話は朝鮮半島で意見を異にする機会の多かった

石田三成の話に移るのでありました。

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