生殺与奪の権-その11-
家康の狙っているモノ。
それは勿論
『石田三成』。
彼が家康の仕掛けた罠にハマってくれなければ
家康にとって何ら得となるモノが何も無い会津の地で
専守防衛に徹する上杉景勝の軍勢と
敵地会津で相対することになり、
泥沼に引きずりこまれる危険性もある。
そんな戦いには
全く持って興味が無い家康にとって
(……あそこまで秀頼直轄領
=五奉行の利権を簒奪して来たこれまでの苦労が水泡に帰すことは……)
の一抹の不安を覚えながら
(……あいつ動いてくれるハズだけどな……)
と、ゆっくり東へ兵を進め、
江戸城に入った7月2日。
罠であることは承知の上で
「打倒家康」を口にしたのが
石田三成でありました。
石田三成
と言う人物。
目的は全て豊臣家。
もっと言いますと
太閤秀吉のことを第一に考え行動した人物なのでありましたが
彼の言動はどのようなものであったのか?
なぜ彼は職場の同僚から嫌われることになってしまったのか?
になりそうな人物を
ここしばらくの間。
職場などを見回しながら探していたのでありましたが
(……このようなモノ言いをしていた人なのかな?)
を綴らせて頂きますと
まず自分のほうがわかっている。
から話はスタートします。
相手はわかっていないのでありますから
わかって頂くよう
ヒントを出しながら
相手が気付くよう促していくことになります。
ただそのヒントがヒントにはなっておらず。
相手の頭から大きな「?」が幾つも飛び出すことになり、
思考停止の状況に陥ることになります。
(なぜ私が出す
……ほぼ答えとも言えるヒントがわからないのだ。)
答えは簡単。
言っていることは正しいことなのではありますが
相手は現実を知っている手前
とてもではありませんが
実行に移すことの出来る代物では無いからであります。
自分の思うようにならない相手に対し
段々と声が大きくなり、
最後
「あなたは!!」
から始まる
相手を全否定する文言を並べ立てることになってしまうかた。
(……周りにいらっしゃいませんか?)
本当は良い人なのではありますが。
仕事に対する熱量があまりにも大き過ぎることが。
(……あいつと関わると)
となり、
上司からしますと
裏表無く直言するかわいい部下になりますので
そのことが周りの同僚からは……。
ただ三成の場合。
その論法を領民や部下。
豊臣恩顧では無い
外様大名の
特に実務で接することの多かった
重臣クラスに使わなかったことが
家康の想定以上の大名を味方に引き込むことに成功する要因となった。
と……。
その気の使いかたを
福島などの同僚にも適用していたのでありましたら
豊臣家が二つに割れることは無かったのかもしれませんね……。
……もっとも織田家がああなったのが
他家からの侵略では無く、
織田家の家臣が原因。
秀吉であったことを三成が見て来たから
なのかもしれませんが……。
と言うことを踏まえまして
三成が最初に
「家康打倒」
の意志を打ち明けた相手。
大谷吉継が三成の説得を諦め。
三成と同調することを決意したのち。
三成に対し発した言葉を再現してみますと……。
大谷吉継が三成に対し、
「お前には能力があるし、実行力もある。
それは誰もが認めるモノである。
ただお前は汗を流さない。
自らの身を粉にして現場で働かない。
確かにそれはお前の仕事ではないかもしれないし、
お前はお前で仕事を抱えている。
それはわかる。
わかっているのだが
世間はそうは見てないぞ。
あいつはいつも終わった頃を見計らって
涼しい顔でやって来ては
上から目線で小言を言って帰っていく。
そんな奴だと思われている。
それは大名だけでは無く、
民百姓も言っている。
お前には失礼なことではあるがハッキリ言おう。
お前には人望が無い。
人の上に立つモノは人望が無ければならない。
今。お前が
家康打倒について
出しゃばれば出しゃばる程。
豊臣家のことを思い、
家康の野心を見抜いているモノでさえ
家康のもとへ走らせることになってしまう。
だからお前は影に徹し、
この人が大将なら。
と思える
家康に対抗するだけの力を持っている
毛利や宇喜多を総大将に据えるべきである。
お前はけっして出しゃばってはならぬぞ。」
ここで三成の偉いところは
彼の直言を聞き入れたことですよね。
ただその言を受け、
大将に迎え入れたかたに。
……問題があったのが。
と言う話が今後続いて行くことになります。