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生殺与奪の権-その1-

慶長3(1598)年。

朝鮮半島南部に橋頭保を築く

と言う所期の目標を達成した官兵衛はその任を解かれ、

嫡男・長政を残し帰国。

本貫地のある中津で日々の生活を送るのでありました。

その年の8月。

隆景逝去後。親密な関係を深めていた毛利家の重鎮。吉川広家より

上方の情勢を伝える一通の便りが届くのでありました。


(ここから手紙のやりとりを

2人の会話形式で記していきたいと思います。)


官兵衛:「なんだ広家。また恵瓊とやりあったのか?」

広家:「朝鮮における私の功名に対しあいつ(恵瓊)は

    『(広家が勝手にやった)抜け駆けだ。』

    と避難して来た挙げ句。

    私の戦功を無かったことにされてから

    と言うモノ

    どうにもこうにも……。

    ただ如何せんあいつは口が達者である故。

    いつも言い包められては地団駄を。

    蹈鞴も無いのに踏まされる。

    ……そんな日々を過ごしてはおりますが

    今日はその話ではありません。」

官兵衛:「して如何様のことである?」

広家:「5月から病に伏しておりました太閤殿下が……。」

官兵衛:「……そうか……。

     ……して殿は、どのような遺言を遺されたのか?」

広家:「遺言書は2回に渡り認められております。

    まず5月に出されたモノがあります。

    内容は、太閤殿下が亡くなられたあと

    五大老と五奉行による合議制により政務を執り行うこと。

    並びに

    太閤殿下自らを八幡神として神格化し、

    火葬せず埋葬するよう大老・奉行に対し指示を出したモノが1枚。」

   「2ヶ月後。殿下は徳川殿など五大老を集めまして

    殿下の御嫡男であられます秀頼様の後見人になるよう依頼。

    それからひと月のちの8月5日。

    先の内容を改めて認められたモノが2枚目の遺言書であります。」

   「それから2週間足らずで……。」

官兵衛:「……そうであったのか……。

     してその後の上方の動静で何かわかることは?」

広家:「殿下の遺言書に対し、集められた全ての諸大名は

    二心が無いことを秀頼様に対し誓ったのでありましたが……。」

官兵衛:「……ありましたが?」

広家:「殿下がお亡くなりになられるや否や徳川殿が……。」

官兵衛:「……動き出したのか……。」

広家:「……はい。亡き殿下より

    秀頼様の後見人として政務代行を委託されたことを口実に

    殿下が生前取り決めました規則を無視。

    これまで亡き太閤殿下の許可無しでは行うことが禁じられていました

    諸大名間の縁組でありましたが

    徳川殿は、六男・忠輝殿と伊達殿の姫君との婚約を手始めに

    福島殿の子息や蜂須賀殿の世子。更には加藤(清正)殿に

    徳川殿の養女を嫁がせることを密約する一方、

    五奉行とりわけ石田殿の影響力が強い

    太閤蔵入地の解体を画策するなど

    徳川殿による全権掌握を目指す動きが活発化。

    これを受け徳川殿を除く四家老と五奉行が反発。

    亡き殿下の葬儀さえ行うことが出来ない状況に陥っています。」

官兵衛:「……わかった。

     このような時は早晩。大きな騒乱が起こる可能性が高い故。

     情勢を注視するように。」

広家:「わかりました。ありがとうございます。」


これを受け官兵衛は。

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