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隆景の死・太閤の死-その3-

拠点の立地上の問題から

朝鮮半島における戦線の縮小について

難色を示す武将は存在するも。

太閤秀吉に上申することを決めた現地諸将。

その上申を聞いた太閤秀吉は激怒。

即時却下。上申者を叱責した太閤秀吉。

それだけであれば

まだ良かったのでありましたが。


黒田長政(以下長政):「(……現場を預かる身にもなってみろってんだよ……)」

官兵衛:「まぁ口は汚いが人情に厚い土建屋の大将が

     間違って国家君主に準ずる。実質的な代表者になってしまった。

     そんなヒトが経営する企業に就職してしまった。

     と諦めることだな。」

長政:「太閤殿下については

    勿論上司でありますので

    却下されたことは

    納得は出来ないまでも。

    指示・命令でありますから

    従うまででありますが。」

   「腹の虫がどうにもこうにもおさまらないのが

    今回の上申を殿下に届ける時に……。」

官兵衛:「横槍を入れた奴がいるのではないか?

     そう言うことかな?」

長政:「そうなんですよ。父上。

    軍目付として渡海している福原殿の報告を

    殿下に伝える役目を担っているのが

    福原殿の親戚にあたる石田殿。」

官兵衛:「その(石田)三成と仲が良いのが

     今回の上申に反対した人物の1人。小西行長。」

長政:「小西ら反対派の意向を酌んだ石田殿が

    太閤殿下に上申を却下するよう焚きつけたのではないか?と……。」

官兵衛:「そう思っているのはお前だけなのか?」

長政:「いえ。今回叱責の処分を受けた加藤(清正)殿や蜂須賀殿も

    同じことを言っていました……。」

官兵衛:「まぁまぁそのことは忘れて。

     任務に励んでくれ。

     報われるかどうかについては今は考えないように。」


(官兵衛独りになって)

官兵衛:「根本の原因は

     現場に足を運ばなくなった殿(秀吉)にあるのだけれどな……。

     先の唐入りの時もそうであったが

     三成如きの言葉に翻弄されるようであるのなら

     いよいよ老いを隠すことが出来なくなってしまったのかな……。」

    「先に戻った金吾に対し、亡き養父・隆景より受け継いだ筑前・筑後の地を

     言い掛かりを付けて没収し、

     これまでの取れ高の半分しか無い越前の地に国替えされたとか……。

     収入が半減となることに伴い、

     これまで金吾を支えていた家老の山口殿は殿(秀吉)の直臣として独立。

     また隆景殿が無くなられてからも金吾についていた

     小早川の旧臣も金吾から離れることに相成った。」

    「ただこのこと自体は、

     丹羽様や蒲生殿が亡くなられたあと。

     殿が行って来た常套手段であって

     さして驚くべきことではない。

     (丹羽)長秀様や(蒲生)氏郷殿であったから任すことが出来た

     大きな領土と氏郷殿については加えて東北の抑えとしての役回りを

     跡取りが全うすることが出来るのか?

     と言えば『No』であることは一目瞭然。

     故に後継ぎが抱えることの出来る分相応の場所に移封し、

     空白となった会津の地には

     殿の期待に応えることの出来る能力を有する

     上杉殿の配置した。

     同様に唐入りの重要拠点である筑前を

     金吾に任すことは到底出来ないため

     今回の越前転封と相成った。」

    「更に金吾は一時。豊臣No.3の地位にあった人物。

     未だ幼い秀頼様に対抗する資格を有している。

     その可能性の芽を摘むために

     今のうちに金吾から有能な家臣を引き離してしまおう。

     これも丹羽様亡きあと。殿が行った政略であり、

     のちに禍根を残すことにはならない。

     ただ秀頼様と対抗しようと考えている

     豊臣以外の勢力にとって

     金吾は魅力的な人物であることに変わりは無い。

     なぜなら金吾は豊臣の系譜を継いでいるため、

     神輿として担ぎ上げるに足る名分を有している人物である。

     能力の有る無しは問題になることは無い。

     なぜなら対抗する勢力が自らを正当化する際に

     間借りするだけのことであるのだから。

     用が済んだら……。」

    「これは秀頼様自身にも同じことが言えるのであるが。」

    「それよりも問題となるのが

     金吾が没収された筑前・筑後の地に誰が入ることになったのか?

     にある。

     厳密には殿・秀吉直轄の蔵入地に加わったことになっているのではあるが。

     当初、筑前・筑後の地に入るよう殿が打診したのが石田三成。

     ただその際、三成は

     殿の側に仕えるためにも。

     と固辞したことにより、転封自体の話は無くなったのではあるが。

     蔵入地となった筑前・筑後を管理する実質的な領主とも言える

     代官に就任したのが石田三成。

     国の半分が蔵入地となっている豊後の地で行われた

     加増の対象となった武将も

     今回の唐入りで派遣された軍目付連中ばかり……。」

    「現地で実際に戦っている諸将に対する恩賞は無いばかりか。

     叱責された挙げ句。

     蜂須賀殿に至っては蟄居。減封の処分が下されている。」

    「そんな現地諸将の目から石田三成はどのように映っているのだろうか……。」

    「三成に責任は無い。」

    「彼(三成)は自らの任務を忠実に全うする人物であるのだから。」

    「問題は現場を忘れた……。」

    「……殿(秀吉)にある。」

    「……殿はもう長くは無い。」

    「殿の命が尽きた時。」

    「唐入りの際、生まれたボタンの掛け違いが。」

    「豊臣の天下を危うくする。」

    「その際、秀頼様の生殺与奪の権を握るべく蠢動し。」

    「天下を掴み取る人物は誰なのか……。」   

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