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隆景隠居-その4-

官兵衛:「毛利を支える家臣の話に戻しますと

     まず思い浮かびますのは(安国寺)恵瓊殿になりますでしょうか?」

隆景:「ただ彼も私と同様。太閤殿下直属の家臣と言う位置づけにあること。

    更には毛利のみならず。

    殿下と各大名を取り次ぐ役目を担っていることを考えますと

    毛利の利益よりも

    豊臣家の利益を優先する立場にある。」

官兵衛:「殿・秀吉が健在な内は問題になることはありませんが。」

隆景:「拾(秀頼)様が成人される前に殿下の寿命が尽きました場合。」

官兵衛:「自身の利益である豊臣家を守るために。」

隆景:「毛利を利用する危険性も秘めている。」

官兵衛:「ましてや彼は毛利の人間では無く。」

隆景:「世が世なら私など毛利の人間が

    彼(恵瓊)に頭を下げる立場であった。と……。」

官兵衛:「その滅ぼした張本人が。」

隆景:「私の父(元就)でもありますからね……。」

   「ただこれまでの彼(恵瓊)の働きぶりを見ると、

    自らの仕事を忠実に果たして来ているのであるが。」

   「如何せん。これは我が家の限界なのではあるが

    恵瓊は毛利家の人間では無い故。

    後ろ盾を失った時、

    彼の居場所を毛利が用意することが出来るのか?

    定かではない。」

官兵衛:「その後ろ盾である隆景殿は隠居。

     実質的な直属の上司にあたる殿・秀吉も還暦を過ぎ。」

隆景:「拾様は未だ幼少の身。」

官兵衛:「もし殿の身に何かが起こり、

     拾様に忠誠を誓う直属の近臣が育っていない状況で。

     力のある外様大名が

     殿恩顧の諸将を取り込もうとした時。」

隆景:「彼(恵瓊)はどのような行動を選ぶことになるのか。」

官兵衛:「まず言えることは恵瓊殿独力で

     仮想敵となるであろう徳川殿と相対すことは出来ないと言うこと。」

隆景:「だからと言って

    今の自分の立場である

    各大名と豊臣家との間を取り次ぐ役目が無くなることは

    =自身の存在理由を失うことになるため、

    豊臣家を見限り、

    徳川殿に味方することも面白くない。」

官兵衛:「そうなると誰かを焚きつけ、徳川殿と戦わせたい。」

隆景:「貴殿のようにな。

    それもどちらか一方が勝ってしまうと

    直属の兵力を有していない豊臣家は今後。

    勝った側に脅かさせることになる。」

官兵衛:「(一言余分)

     決定的な戦闘にまではならず。

     睨み合いが続く形に持って行き、

     厭戦気分が漂い始めたところで

     豊臣家が動くことにより、

     現状維持程度に留めることが丁度良い。」

隆景:「その時、間に入って交渉の任にあたるのが。」

官兵衛:「各大名と太いパイプを有し、

     殿・秀吉との取り次ぎ役を担って来た恵瓊殿が存在感を発揮する。」

隆景:「その時、担ぎあげられることになるであろう

    徳川殿の対抗馬として名前が挙がるのが。」

官兵衛:「能力と影響力が一致しない。」

隆景:「我が主君である毛利輝元(苦笑い)。」

官兵衛:「(否定はしないんだな……)

     淀殿と殿・秀吉との関係に近いのかもしれませんね……。」

隆景:「太閤殿下の家臣である立場であることに加え、

    彼(恵瓊)は能力面では申し分ないのであるが

    如何せん。中途採用組対して

    毛利家は必ずしも温かくは無い故。

    仮に彼が正しい方向へ導こうとし、

    輝元が『大義』とお墨付きを与えたとしても

    家中の全てが納得するか?

    となると……。」

官兵衛:「(毛利を崩すには、この辺りがヒントになるのか……。)

     して隆景殿が推薦する隆景殿後の人物となりますと……。」

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