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太閤秀吉の命数-その10-

隆景:「遅かれ早かれ太閤殿下の寿命は尽きることになっておる。

    そのことについてはどうすることも出来ぬ定めである。

    その時、拾(秀頼)様がどれだけ齢を稼ぐことが出来ているのかが

    豊臣の天下が続くことになるのか?

    揺るがされることになるのか?

    を分けるカギの1つとなる。

    そしてもう1つそのカギを握るのが。」

官兵衛:「徳川殿でありますか。」

隆景:「太閤殿下よりも早く徳川殿が。

    となれば関東の所領は分解され、

    殿下恩顧の諸将に再配分されることにより

    先の唐入りにおける不満も解消される運びとなるであろう。」

官兵衛:「が。今の様子ですと。」

隆景:「間違いなく殿下のほうが先に。となることが予想される。」

官兵衛:「殿下の死が、拾様がまだ幼少の段階で迎えることになった場合。」

隆景:「今の豊臣家臣団の様子を見ると

    信長横死後の織田家のように。」

官兵衛:「織田家中内で勃発した権力争いが豊臣家中でも繰り返されることになる。」

隆景:「その時と今回の違いを1つ挙げるとするならば。」

官兵衛:「全体的に小粒なため、豊臣家中の中で台頭して来る武将が見当たらない。」

隆景:「そのことによって結果的に拾様の天下が

    確保されることになるようにも思われるのであるが。」

官兵衛:「外様の大名がチャンスとばかり、蠢き始める危険性がある。」

隆景:「幸いにして宇喜多は一門格。毛利・上杉は長年の同盟関係。」

官兵衛:「前田様は、殿がまだ織田家中における地位を確立する以前から入魂の仲にある。」

隆景:「更にこれまで殿下と敵対した各外様大名にしても

    規模が小さいか。

    遠隔地にあるため

    中央に出て来るまでには、かなりの労力が必要となる。」

官兵衛:「そんな中にあって唯一殿が遠慮を余儀なくされているのが。」

隆景:「本能寺の混乱に乗じ、甲斐と南信濃を強奪した。」

官兵衛:「徳川家康。」

隆景:「彼が太閤殿下後のカギを握る存在。

    それも豊臣の天下を揺るがす存在となることが予想される。」

官兵衛:「その際。豊臣家中はどのような動きを見せることになるのか。」

隆景:「官兵衛殿の場合。

    本能寺の報を受け狼狽する殿下に向かって

    織田を見限るよう促した

    血も涙も無い男でありますので

    間違いなく徳川に奔ることになることが予想されるのであるが。」

官兵衛:「仮定の話にお答えすることは出来ません。」

隆景:「これは官兵衛殿も含め、

    殿下恩顧の大名全てに言えることなのであるが。」

   「これまでは家臣の立場として

    主君の考えについて行く。

    主君に対し、方向性を指し示す。

    もしくは主君を見限る。

    と言った決断を下す際、1つクッションが存在していた。

    しかし今後予想される権力争いの時は

    それが通用しなくなる。

    なぜなら

    彼ら豊臣恩顧の家臣はそれまでとは異なり。

    独立した大名。

    と言う

    勝てば所領を増やすことが出来る一方。

    負ければ全てを失うこととなり、

    その責任の全てを負わされる立場にあるのが

    大名と言うモノである。

    これは家臣時代には無かったことであって

    これが家臣の立場でありましたら

    有能であれば他家へ仕官する道。

    それもそれまでと近い立場で移ることも出来るのであるが。

    大名はそうとはならない。

    自らの命を賭けねばならなくなる。

    その覚悟を持たなければならなくなる。

    その覚悟を持っている殿下恩顧の大名は

    豊臣家中の中に存在しているのであろうか?

    仮に居たとして

    その大名は外様を黙らせるだけの国力を有しているのであろうか?」

官兵衛:「居ませんね。」

隆景:「となると次なる天下を掌握する人物は。」

官兵衛:「……徳川殿。になるのでありますか。」

隆景:「そうならぬよう各大老がしっかりし、

    殿下恩顧の諸将が1つにまとまらなければならないのであるが

    残念ながら

    殿下恩顧の諸将は近接していればしている程、仲違いを始め。

    大老の1人である我が殿・輝元には

    決断を下すことの意味を理解出来ていなければ、

    その下した決断に対し責任を負う覚悟が無さ過ぎる。」

官兵衛:「本来であれば、輝元殿を支えるか。

     鍋島殿のように実権を握るかでもしなければならない隆景殿なのではありますが。」

隆景:「殿下が我が毛利家に対し行って来たことを。」

官兵衛:「肝心な徳川殿には出来ていない。」

隆景:「で。今回の本題となるのであるが。」   

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