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太閤秀吉の命数-その5-

官兵衛:「不思議に感じるところと申されますと。」

隆景:「先年ワシもそなたも参加した例の唐入り。

    唐入りと言っても朝鮮半島の半ばでフン詰まりを起こしてしまった

    あの遠征であったが。

    何故総大将は宇喜多殿であったのであろうか?

    勿論、彼は幼少期から太閤殿下の庇護のもと育てられた

    一門衆に近い立場にあるモノではあるが

    宇喜多家自体は豊臣家から見たら外様の一大名に過ぎない。」

   「そんな彼が太閤殿下の名代。

    大将として唐入りの指揮を執られ、

    その功績により多大な領土を外様である宇喜多家が獲得する。

    と言うことは

    相対的に豊臣家の地位を低下させることにもなり兼ねない。」

   「本来であれば殿下恩顧の武将が大将を担うこととなるのが

    ある種。自然な流れであるように感じることであるし、

    その任を委ねることの出来る人材が

    豊臣家に。

    石高が小さいが故。直属の部隊が小規模に留まってしまっているが。

    居ないわけではない。」

   「そのことは宇喜多殿のみならず。

    西国全体を実質的に管理しているのは我が主君である毛利輝元。」

    唐入りの際。日本からの発着点となる要地である

    筑前の地に私。隆景。」

   「東国についても関東に徳川殿。そして東北の抑えとして越後の地に上杉殿……。」

   「それに近い立場にある北陸の前田殿。会津の蒲生殿にしても

    もとは織田家の家臣であった。と……。」 

   「その外様の大老格の諸将に

    太閤殿下恩顧の大名が従う形を採っている。」

   「もう1つ気になるのが

    太閤殿下が居を構えられる畿内に

    殿下直轄の部隊が存在していない。

    ある種。丸裸の状態に殿下は置かれている。」

   「現状。畿内周辺に敵対する者は存在せぬが。

    強力な軍を有している大名の全てが外様であること。

    いつなんどき手の平を返して来るかわからないような連中。」

   「官兵衛殿も荒木・高山・三木辺りには苦労させられたであろう。」

官兵衛:「苦労させられた原因は、あなたにあったのではありますけどね。」

隆景:「それを言うならお前のせいで、

    ワシも宇喜多や山名。尼子に煮え湯を飲まされることになったのであるが。」

   「それも現在は、尼子の残党などとは異なり、

    一筋縄には行かない連中ばかりが要地に散らばっている。」

   「一応、関東から畿内までの道のりには殿下恩顧の武将を配置されているとは言え。

    元々そこは徳川殿の領地。

    急ピッチに城郭を拡張しているとは言え。

    徳川殿は各城の弱点を熟知している上

    関東畿内間の諸将は平素。徳川殿と行動を共にすることが増えていると聞く。

    それは先年の唐入りにおける宇喜多殿と西国諸将の関係でも同様の事態が発生している。」

   「さてそんな折。

    太閤殿下の身に重大な事態が発生し、

    畿内の権力が空白となってしまった。

    畿内に拾(秀頼)様を守る直属部隊が存在しない。

    これは好機。

    と考える外様の大大名が登場しても仕方の無い状況。」

   「そこで

    『拾様を御守りするため、京に向け兵を進める。』

    と大老格の大名が号令を掛けた時。

    周囲の太閤殿下恩顧の諸将は、

    京へ向かう大老格の大名を押し留めるような行動に

    果たして出るものであろうか?」

   「危うい配置となっているように感じていることが1つ。」

   「それに輪を掛けて気になることが……。」 

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