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そらが狭い町の怪奇談  作者: 蒼穹
3/10

第二怪奇談  鬼との出会い


「ふぃ~ひっく」

 酒は良い。私をとても、とても、楽しませてくれる。

 でも、やっぱり。

「話相手が欲しいのう…」

 うまい酒には、つまみが必要じゃ。

酒呑童子しゅてんどうじ様!お話がしたいのなら私が」

 と、ワシのちょっとした、ため息混じりの愚痴ぐちを拾ったおにがいた。

茨木童子いばらぎどうじよ、そなたでは物足りぬは」

 こいつと、話をしても物足りぬ。鬼としては優秀なのじゃが。なにぶん、かたっくるしぃくてしょうがないのじゃ。

 やはり、会話は礼儀はあるにしろなるべく対等に接して欲しものじゃ。

 その方が楽しい。

「下がって良いぞ」

「わかりました」

 さっぱり、とした返事の後。茨木童子は闇に消えた。他の宴会えんかいにでも、行ったのかのう?。

 まぁここには、もうワシしかおらんのじゃが。

 さかずきに、月が浮かび上がる。

風情ふぜいじゃな」

 知ったかぶりじゃ。風情など、みじんも知らん。

 バタン!っと、勢いよく人が入って倒れる。

 また、ワシを見て気絶かのう?

 ここの、部屋に入る人間はすぐにワシを見ると逃げてしまったり、気絶してしまう。

 ところがどっこい、こいつは…。

「疲れて寝ておる」

 楽しそうな、人間が入ってきよったわい!。

 酒呑童子の、胸が高鳴る。

「早く、起きんかのう…」

 と、体をゆする。

 反応なし。

 ぐっすりだ。

「それなら、こうじゃ!」

 体をゆするのではなく。雪だるまを作る要領ようりょうで、寝ている男の体を転がす。

「た、楽しいのじゃ!」

 鼻歌をしたいぐらいじゃ。

「ふん~♪」

 してしまった。

 でも、その方が、楽しいのじゃ。

 夜も眠る。深夜。

「起きよったか」 

 ずっと、転がしていたいのじゃがのう。

 今宵は、楽しめそうじゃ。



 その、姿は幼女だ。

 間違えた。

 その、姿は鬼だった。

 朱色の着物をまとう鬼。

「取りあえず、明かりをつけなきゃ。」

 壁に備わっている、ライトのスイッチを押すため立ち上がる。

 ゆすっていたその、鬼は僕の立ち上がる反動でコロコロ転がっていく。

「おいおい、ワシを見て何とも思わないのか?」

 寝ながらの、状態で質問してくる。

 どうやら、僕のリアクションに疑問を受けたらしい。

「まぁ、慣れてるから」

 明かりをつけながら、返答する。

 明かりをつけると、やっぱり1LDK。暗がりだから、見間違えたと思ったがこれは広い。

 広いと言っても、予想よりもって感じだ。

「妖怪にか?」

 鬼は、ポーズを変えないで口を開く。

「まぁそんなとこ。」

 淡泊にと答える。

「ふむぅ~。」

 と、鬼は少し悩み。

「陰陽師かのう?」


 出した答えに、息をのむ。


 僕は、詰まり気味に。

「もう関係ないけどな。」

 と、続ける。

 妖怪に幽霊。そんなの取り扱う職業なんて数が知れてる。

 答えが当たったのか。

 その、幼女…もとい鬼が嬉しそうに飛び跳ねる。

 楽しそうだ。

「ほほぅ…、ならば、ワシを」

 その、楽し気な表情のまま少しためて。

「ワシを殺しに来たか?陰陽師よ」

 殺伐さつばつとした言葉と、その笑顔。

 ミスマッチング過ぎだろ。

「いいや、僕はもうそんなのとは関係ない」 

 そう、関係ない。あらゆるものは田舎に置いてきた。

「無理じゃ」

 僕の新たなる門出かどでは、一言で終わらせられた。

「なんでだよ!?お前!初めてあった人に、ワシを殺しに来たか?とか、何も知らないのに、無理じゃはひどくないかい!?」

「はー、話を戻してもよいか?」

 強引に戻されそうになる。

 いや、どこに戻すんだよ。絶賛バリバリ一本のレールの上じゃんか。

「酒を呑みかわそうぞ」

 話どころか、時間まで戻されそうだった。



 あれから、酒を呑むだの未成年だので盛り上がった後、すでに酒を呑んでいた鬼は寝てしまった。

 鬼は、幼女でも呑んでいいのか?

 妖怪の世界怖ぇ。

「何とも、いい朝だなぁ…」

 窓を開けると、涼しい風がこの部屋に入り込む。日差しは僕の一歩を応援してくれるように元気に光を、放っている。

「みなぎってきたー!」

 取りあえず、今日は買い物をしよう。冷蔵庫に、布団、テレビ、漫画にゲームだ。

 って、後半も無駄遣いじゃないからね。これは、生きていくうえで重要な…。

「無駄じゃな」

 心を見透かされたあげく、さらに言い訳も一蹴いっしゅうされた。

 心の中ぐらい、安全地帯にさせてくれ。

「それよりも、シャワーが先じゃな」

 臭うぞ、と続けられる。

 たぶん、年齢問わず言われたら赤面ランキングベスト10に入りそうだ。

「は、入ります」

 少し恥ずかしのと、幼女に指摘されたためか、口調があらたまる。

 シャワーをすぐさま浴びるため、脱衣所で服を速やかに脱ぎ浴室に入る。

「あひょい!」

 シャワーを全開にしたら、冷水が肌を刺激した。たまらず、変な声を出してしまう。

 恥ずかしい。

 今日はもしやついていない日か…。



手に取っていただきありがとうございます!

肩こりのヨガや、ツボを押しながら頑張ってきます!

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