プロローグ①
真っ白な世界。
上も下も左も右も見渡す限りすべてが白に染まっており、何もない広場。
その広場に僕たち✖✖高校2年3組のクラスメイト30人全員と担任の小池先生が強制的に集められた。
もちろん、見覚えはない。
僕たちは突然そんな見ず知らずの場所へと無理やり転移させられた。(少なくとも僕にとっては)
転移してから僕たちは体が痺れているのか身動き一つできず、座らされていた。
皆口を開けて呆然としていたり、泣き出しそうな顔をしていたりしながら、ある一点を見ていた。
そこには簡素な白のドレスを着こみ、金色の髪をたなびかせた美女が微笑みながら立っていた。
しばらくして全員が自分の方を向いたのを確認したのか、その美女がとても優雅な仕草で頭を軽く下げ、僕たち一人一人の顔を見ながら話し始めた。
「皆さんおはようございます?こんにちは?ごきげんよう?まぁ、なんでもいいですよね。とても時間が無いので、要点だけを簡単に説明させていたただきます」
美女が、手を上から下に振り下げて大きさのモニターを出現させた。
何もない空間から突然現れた黒板程の大きさのモニターに皆驚いた顔をしていたが、美女は気にした様子もなく説明を続ける。
「これからあなたたちに行ってもらうのは魔物や、魔族など人ならざるものたちが跋扈する世界。そこで人々に狼藉を働く異種族たちを追い払っていただきます」
そう言って美女はモニターを操って僕たちに島が〇や▢などで描かれた簡単な世界地図?のようなものを見せると、モニターをスライドさせ、集落を巨人の様なおぞましいものに破壊されるところや、ゴブリンのような子鬼に女性が剣やこん棒でリンチにされているところ、頭に猫耳や犬耳や尻尾を持った者たちが大人や子供に関わらず火あぶりにして笑っているところなど、人々が苦しめられているところが次々と表示させた。
それを視て僕は、胸が締め付けられて「必ず助けなくちゃ」と強く思った。
それは皆も同じみたいで、さっきまで不安そうな顔をしていたのに、今は「必ず助けなきゃいけない」という使命感に燃えているのか少しだけキリッとした顔つきになっていた。
美女はそれを見て満足そうに微笑んで言った。
「もちろん、今の力では異種族には勝てないのであなたたちには『力』をお与えします。その力でどうかすべての異種族を殲滅してください。それでは勇者たちよ。あなたたちに神のご加護がありますように」
その後、僕たちの足元に幾何学な文様が現れて光を放ち始めた。
けど、僕たちは不安じゃなかった。
「必ず人を救う」「勇者」なのだから。