〜 3 〜
先に、香紫朗が食べ終え、タバコに火を点け一服している。
『こうちゃん・・・・臭い。まだ僕食べ終えてないから吸わないでよ。』
満瑠が顔をしかめた。
『早く食い終わればいいだろう、チンタラ食ってンなよ』
香紫朗は深く吸ったタバコの煙をわざと満瑠に向かって吹き付けた。
『うわっ!まじっ臭いから!やめろよ!臭いの嫌いなの分っててわざとやるなよ!』
満瑠の目が少しグレイに変わろうとしている。
『おおっと!ミッチー!目の色変わった!やばい・やばい!』
急いでタバコを灰皿にもみ消す。
『こうちゃんに・・・ミッチーって言われると・・・キモい・・・・』
目の色が黒に変わった。
『だったら、オレの事“こうちゃん”って言うのやめてくれよ!ちゃん付けされるガラじゃない!』
満瑠の目が細まりクスクスと笑った。
『だって、しょうがないじゃん!小さい時からの呼び名はそう簡単に変えれないよ。』
最後に取って置いたイチゴをバニラアイスと一緒にすくい口に運んだ。
『チッ!おめぇがそう呼ぶから!みんな“こうちゃん”って呼ぶ・・・気に食わねぇ・・・っと!食い終わったか!さっさと“済ませよう”ぜ!』
香紫朗は半分ほど残っていたアイスココアを一気に飲み干した。
『ああ、頼む。』
二人が座っている席は周りから見えない死角になっている。
満瑠は口元をペーパーで拭き、真っ直ぐ香紫朗に向かって姿勢を正した。香紫朗は紫のカラーコンタクトを取り、満瑠の頭に手をかざした。香紫朗の目の色は金色に光ってる。“普通”の人が香紫朗の目を直視する事は出来ない。パワーが強すぎて目が潰れてしまうからだ。満瑠は陰のパワー、香紫朗は陽のパワーを持っている。
香紫朗は満瑠の目を見つめ、かざした手に気を溜めた。全身の気が手に集中して熱くなる。満瑠を見つめる目も眩いばかりの金色に輝き満瑠のグレイに変わった目を照らした。