プロローグ
今作が二作目となります。最低でも週に一度の更新をしていこうとおもいます。よろしければお読みください。
「……という事で僕の発表は終わります」
僕はそういうと一礼してクラスメイトの表情を見渡した。クラスメイトからはまばらな拍手が僕に送られていた。
今、何が行われているのかというと、自己紹介を兼ねた自分の好きなものという、題名の作文発表会だ。中学に入学し二週間。この時期には大方の中学校で、似たような題材の発表が行われている事だろう。僕の学校、クラスも例外にもれることなくその発表が行われているのだった。
「おいおい。お前まだそんな物が好きなのかよ。そんなの皆もうとっくに卒業しちまってるぜ。なぁ皆?」
僕が自分の席へ戻ろうとすると、わずか二週間の内に、このクラスのリーダー的存在へとなっていた内藤が言ってきた。皆、内藤の言葉に同調するかのようにがやがやと、声を出し始めた。
「あぁ好きだぜ。だってこの作文は好きなものというお題だろ?それなのに嫌いなものを発表するやつがいるかよ」
僕は面倒くさそうに内藤に応えた。正直こいつはいけ好かない。
「いやいや。分かってるし。そういう事じゃなくて、そんな幼稚なものを好きで恥ずかしくないのかって言ってんだよ。お前日本語ちゃんと理解してるのかよ」
全く分かっているさ。わかっていたが面倒だから、適当に応えたというのに……。
「内藤が幼稚だというのは勝手だが、好きなものは好きなんだよ。お前は自分の好きなものを他人に否定されたら、その好きな感情を否定するのか?」
「はいはいそこまで。友達同士熱く意見を言い合うのはいいけど、まだ続きもあるから今日はそこまでね」
今まで黙ってみていた先生が手を叩きながら、僕と内藤を注意した。
「すみませんでした。すぐに着席します」
僕は先生の方に直るとそう言って頭を下げ、自分の席へと行ったのであった。内藤はまだ僕に何か言いたそうではあったが、僕が先生に謝った手前、それ以上言う事ができず、先生に頭を下げ黙ったのであった。
ちなみの僕は幼少期に見ていた女の子向けアニメ「聖月戦士ミンキームーンの主人公民キームーン」を好きだと、発表したのであった。
僕は次の日からこのクラスでM2(エムツー)というあだ名になったのであった。ミンキーの頭文字のMとムーンの頭文字のMから来ているらしい。
まったく。中学生とは直ぐにアルファベットを使いたがるものである。