ナイフと冒険者
...授業が全て終わり、約束通り柊那と届出を出しに行く事になったので一旦それぞれの家に寄って必要な物を取り、ギルドに行く事になった。
紫花「そういえばさ、俺の家はこの辺だけど柊那の家ってこの辺なのか?」
柊那「うん。でも、なんでそんな事聞くの?」
紫花「いや、この辺なんだったら家の前まで送ろうかなと思って。最近治安悪化してるらしいし」
柊那「ああ、そういう事。てっきりよからぬ事でも考えて聞いたのかと思った。」
え、そんなふうに思われてたの?
紫花「んなわけないだろ。そんなことしたら、捕まるじゃん。」
柊那「結構理由が現実的だった。じゃあ逆に捕まら無かったらするって事?」
紫花「え?それは...流石にしないかな。」
目を細めて
柊那「それは、するほどの魅力も無い...ってこと?」
紫花「いや、あるからこそしないんだよ。」
柊那「な、なるほど?」
徐々に頬が赤らんでいく。そして
柊那「私にはよく分からないわ。」
と言ってそっぽを向いてしまった。
紫花「んじゃ、ここ俺の家だから少し玄関の前で待ってて。」
柊那が玄関の前で少し待っていると家の前に車が止まった。
鉄飛「おいあんた、えっと...紫花の家族か?」
柊那「いえ、違います。友達ですよ。」
鉄飛「紫花は家の中にいるのか?」
柊那「ええ、すぐ戻ると言っていたのでもうすぐ来ますよ。」
〜5分後〜
紫花「ごめん少し遅く...って、鉄飛さん!もう来てたんですね。」
柊那「いえいえ、そんな事ありませんよ。」
鉄飛「おう、それで紫花よ。親はどうだ?」
紫花「今は生憎と家に居ないっぽいんで親無しで行くしかないですね。」
そう言って俺は車に近づき
紫花「そういえば鉄飛さんにお願いがあって...」
鉄飛「おう、なんだ?」
俺が柊那に手招くと近付いてくる。
紫花「この子も一緒で良いですか?僕と同じくまだ登録してないらしいので一緒にと。」
鉄飛は微笑みを浮かべながら横目でこちらを見る
鉄飛「おう、もちろんいいぞ。んじゃ少し待ってくれ。後ろの武器をトランクにしまいたいんだ。そこの嬢ちゃんもなんか家に必要なものがあったら送っていくが?」
柊那「いえ、家はこの辺なので1人で大丈夫ですよ。」
柊那がそう言うと鉄飛は紫花を見て言う
鉄飛「それなら紫花、お前が家の前まで着いてってやれ。心配だからな。」
紫花「言われなくてもそのつもりですよ。柊那、行こう。」
そうして柊那の家の前まで行き、柊那が必要な物を取り戻ってきた。
紫花「んじゃ行くか。」
そう言って少し歩いていると後ろから走ってくる音が聞こえた。あまりにも足音が大きいので振り向くと...スキンヘッドの強面おじさんがナイフ持ってなんか走ってきてるんだけど?
紫花「ちょ、柊那後ろ!」
柊那「え?って、きゃっ」
そう言い俺は柊那を突き飛ばし咄嗟に避ける。
ナイフ男「避けた!?...こんのぉガァキィ!!」
そう言って左手でナイフを持ちながら突進してくる。
...やばいこいつ。絶対誰でもいいから殺すマンだ。
紫花「とりあえず、避けるか。」
そう思っていると、俺の目の前に防御魔法かな?が展開された。
柊那「早く!今の内に!」
咄嗟に柊那の元へ行く。
紫花「柊那、大丈夫か?とりあえず逃げよう。」
柊那「う、うん。」
と言っても...2人で逃げるってのは難しいかもな。相手の方が俺らよりかはガタイいいし。と言うか、突き飛ばして避けたのも咄嗟だし。柊那よりかはこいつのが早いよなぁ...ってなると
紫花「走って距離を取ってくれ。なにか魔法使える?」
柊那「ま、まあ。護身程度の魔法なら。」
紫花「よし、君に助けてーって大声で叫びながら魔法を撃つという大役を任せる。」
柊那「ちょ、ちょっと!?」
そう言って俺はナイフを持った男に向かっていく
柊那「(や、やるしかないかぁ。)た、助けてー!」
そう言いながら魔法を放つ。
紫花「よし、ばっちこい。」
ナイフ男「舐めやがってぇぇぇ!」
ナイフ男は魔法に少し当たりつつも怯まずに、避けながらナイフを振り回す。それを俺は躱し続ける。
...遅くね?あのエストック女の方が早いしリーチも長い。...まあ、こいつガタイはそこそこ良いけど。ちょっと反撃してみるかぁ。
柊那「(す、凄い。ナイフを持ってる相手に丸腰であんなに奮闘してる...)」
ナイフ男「うぉらァ!」
そう言ってナイフが振り下ろされてきたのを避け背中を向ける。
ナイフ男「ハッ!そのまま死ねやぁぁ!」
それを俺は躱してナイフを持った腕を肘窩の部分で挟み腕に膝蹴りをする。そうしてナイフを男は落とす。
ナイフ男「このガキがァ!」
と言って右腕で殴り掛かりに来た。
柊那「させない!」
そう言って柊那は攻撃魔法をナイフ男の右腕に命中させ男は怯んだ。...命中率凄いな、こいつ。
ナイフ男「だったら...」
そういい俺を振り切って柊那の所へ行く。俺は一瞬気を取られて反応が遅れてしまった。
ナイフ男「お前からだァァァ!」
その瞬間
???「月護」
という声が聞こえて柊那の前で三日月の形をした双剣がかなりの速度で回転する。それにより風が生まれ風圧でナイフ男は俺の方へ向かって飛ばされる。...とりあえず避けてと。
ナイフ男「うわぁ〜〜〜〜〜〜」
紫花「あいつ、なっさけねえ声出してたな。柊那、大丈夫か?」
柊那「うん、紫花こそ大丈夫?」
紫花「俺?俺は別に何ともないけど...それよりあれは一体...」
???「公転」
そう言うと双剣がポニーテールで髪が結んである部分の正面からも端っこが見えるくらいの大きなリボンが特徴的なかっこいい女性の人に近付いていき、女性の回りを回転しながら鞘へと納められた。
月双「君たち、無事だったか?大声が聞こえて来たから来てみたら襲われていてな。私の活動名は月双と言う。」
紫花「助けて頂きありがとうございます。というか活動名?」
月双「ああ、そうだ。ギルド登録をする時にそのギルドで新たな2つ名的なものを作れるんだ。」
柊那「つまり本名ではないってことですか。」
そう言うと月双は頷く
紫花「でもよくこんな時間にいましたね。」
月双「まあ、私は冒険者だからな。やることがなくて暇なんだ。」
紫花「なるほど。今はそんな職業もあるんだなぁ...」
柊那「冒険者...かっこいい...」
そんなことを話していると
月双「おっと、すまない。先程の犯罪者を捕まえなければならないからな。私はこれで失礼するよ。」
そう言うと双剣に...スキル?かなんかで飛び乗りながら先程男が飛んだ方向に消えていった。
柊那はとても目を輝かせていた。
紫花「さ、そろそろ...?」
柊那「かっ、かっこいい〜!何あの人めっちゃかっこいいじゃん。凄い!ねぇねぇ、私達も冒険者にならない?」
...どうやらあの冒険者のかっこよさに魅入られたようだ。いやまぁ、確かに格好よくはあったけど。
紫花「そんじゃその為にもまずはギルドに登録しに行くぞ。」
柊那「うん!」
なんか結構クールめだと思っていたんだが...中々に元気はつらつだな。
そう思いながら俺らは鉄飛さんの車へと乗り込むのであった。いやー、スキル無かったらナイフ男に間違えて背中を向けた時によけられなかった...助かったー。
ナイフ男
身長183cm
体重94kg
結構筋肉がある。顎に髭がある。
先天的スキル「筋質増加。」
魔力で使用可能。使用後、魔力の使用をやめるか意図的に解除をするまで筋肉の質量を増加。それによって肉体の防御力を上げるなどの事ができる。
ステータス
合計値31
筋力35
俊敏性26
知力52
五感34
跳躍力7.0