交流と布告
...車に乗りもうそろそろ家に着く頃だ。会話をしながらと言うのもあったが、最初の方は田舎道だったため車も通らず速度を上げていて思ったより早く着きそうだった。
紫花「えっと、家まで送って貰っちゃってありがとうございます。」
鉄飛「良いってことさ。それよりも...後ろにあるなにか覆ってる袋みたいなのはないか?」
紫花「えっと、この青い袋ですか?」
鉄飛「ああ、そうだ。それをお前にやる。明日にはな。」
少し期待しつつ、不思議に思い聞いてみる。
紫花「この袋の中身ってなんですか?」
鉄飛「ああ、剣だ。刀の方が良いとかだったら全然やるよ。」
紫花「え、怖。銃刀法違反になるから受け取れないんですけど...」
普通に怖すぎて持ちたくもないんだけど...そう思っていると
鉄飛「俺が何とかしとく。あと、学校と国とギルドから許可を得ることが出来ればどこにでも持ち歩けるさ。今の学生は皆やってるぞ?」
紫花「うわぁ、怪しい詐欺文句みたいですね。」
鉄飛「詐欺じゃない。本当さ、お前逆に今までやって来なかったのか?今まで自衛はどうしてたんだ?」
紫花「自衛...ですか?別にする必要なかったし...」
まじかこいつ...みたいな顔をしながら鉄飛は
鉄飛「最近は治安の悪化、魔物の出現とかで大抵はしてるもんだぞ...明日学校で言ってみろ。」
...
そんなことを話していると家に着いたようで...
鉄飛「俺と明日一緒に届出を出そう。一応、親御さんも連れていくから説得しておいてくれ。」
紫花「了解です、今日はありがとうございました。」
そう言うと車は走って消えていく。
紫花「ただいま〜...」
〜ベッドの中〜
耳元でプーンプーンと羽音を立てながら虫が飛んでいる。
紫花「(今日は眠いから眠る...虫だ。うるさいなぁ、そうだ!ちょっと試してみようかな。「スキル」発動!!...成功っと...効果は起きてからでいいやぁ。)」
...
紫花「それじゃ学校行ってくるわー」
そう言って俺は家を出た。学校に行く道中クラスメイトの八雲柊那と偶然会った。正直、喋ったこともない人だから掴めないし...学校一緒だから方向一緒だしで怖い...怖すぎるよ...そう思っていたら相手から無気力そうに話しかけてきた。
柊那「ねぇねぇ、あの聞いてる?」
紫花「あ、え?何?ごめん聞いてなかった」
なんか話しかけてきた。これ急に罵られたりしないよね?怖すぎる...
柊那「え、こんな至近距離で聞こえないことある?」
そう物静かに呟く...なんか悲しい
柊那「いや、明日からの新授業出ないの私とあなただけだから。少しは話しとかないと気まづいでしょ?」
紫花「そりゃあそうだけどそれ本人の前で言うことか?
(何やんのかは知らんけどそういえば明日から新授業かぁ)」
変なやつだなぁと思いながら話す。
...少し間が空き
柊那「ならば、私がこのまま話しかけないで明日気まづいまま自習受けるのを想像してみ?」
紫花「...ありがとうございます。」
柊那「なんで敬語?」
少し可笑しそうに笑う。いい笑顔だなぁ...
しかし、彼女から話しかけてこなかったら実際そうなってたわけだし。ありがたやありがたや
柊那「君、思ってたよりも面白い人だったんだね。知らなかった。」
紫花「お互い様だよ、まあ話したことも無いわけだから仕方ないけどね。」
柊那「...ねえ、戦闘って得意だったり好きだったりはする?」
突然の質問に少し困惑したが答える
紫花「うーん、全然。かな?そもそも、自衛で武器持てるのとか昨日知ったからね」
そう笑いながら言うと
柊那「ならさ、私と一緒に武器所持の許可得て新授業出ようよ。新授業興味あるから。」
...
え?俺が?そう思いつつ尋ねる
紫花「えっと、なんで急にそんな話に?というか興味あるならなんで今まで許可取らなかったんだよ」
柊那「1人で戦闘訓練とか...怖くない?だから取らなかったんだけど、君がいてくれれば心強いなって。」
何だこいつ。まじで。本当に。
紫花「あ、あーそうか、そうするか。俺もちょうど取ろうとしてた所だったから」
そう言うと、目を輝かせながら柊那は言う
柊那「ほ、本当?ありがとう!私とっても嬉しい。」
声のトーンは低めだが、確かに喜んでいるのを俺は感じ取った。
...
で、そんなことを話していたら学校に着いた。2人で先生からの許可を貰って、あとはギルドに行って特別な手続きをして完了らしい。市役所の方は学校から連絡する。との事だった...人のいるところに行きたくない。嫌だよ!もうこれで終わりにしようよ!そんなことを考えていると
柊那「うーん、どうしよう。このままじゃ明日までに届出出すこと出来ないね。」
紫花「あーそれなら大丈夫。俺の師匠が車で送ってくれるから、ついでに乗せてもらえるように頼むよ。」
柊那「師匠?」
紫花「そう、俺鍛冶師志望でさ。昨日行ってきてそれで弟子になったんだ。」
柊那「へえ、そうなんだね」
そんなことを話していると後ろから
???「お前待て!」
???「ちょっと待ってくれー!」
そう同時に言う声が聞こえて振り向く。
お前待て!そう言ったのは閃涼灯。って名前だった気がする。確か。センター分けでイケメンなの腹立つ。そして、ちょっと待ってくれー!と、元気に言ったのは俺の友達の八又郷樹であった。筋肉が凄い(それ以外に言葉がなかった)あと馬鹿そう
こいつら2人って絡みあったんだ、知らなかったなぁ。
灯「え?」
郷樹「え?」
そういいふたりは見つめ合う。...なんなんだ?この状況。
灯「えっと、そっちから先にどうぞ?」
郷樹「いやいや、そっちからでいいよ」
紫花「あの〜どうした?2人揃ってなんの用なんだ?」
郷樹「いや、これはな...」
灯「...全くの偶然、だ。」
柊那「そ、そんなことあるんだね。」
そう言いながら少し後ずさりをして半身を俺の体の後ろに隠す。
紫花「どうした?柊那。怖いのか?」
柊那「いや、怖いのもあるんだけど気まづくて...」
紫花「一体どういうこっちゃ?」
そう聞くと灯が
灯「そういう事ですか、だからか...じゃあこうしましょう!」
え?急になんだ?そう思っていると
灯「新授業の内容に実技が1ヶ月後にあり、2対2と3対3のどちらかを選べます。僕は郷樹くんと2人で出るので2対2を選択して僕らと勝負しましょう。紫花くん。」
...なんか勝手に話が進んでる。怖い。
郷樹「おい!勝手な話だな!俺に拒否権はねえのかよ!!」
灯「はい。」
郷樹「いや即答すぎるだろ」
紫花「なんのコントだ?大体、いきなり言われてもする訳ないだろ。」
郷樹「コントじゃねえよ!こいつを止めてくれよ!」
どうしようかと頭を悩ませていた頃
柊那「いいわ、勝負しましょう。勝ったら私は、紫花くんとパーティーを組むから。負けても、負け惜しみはなしよ?」
灯「いいでしょう。ただし負けたら...今後僕とパーティーを組みましょう。幼馴染として僕より弱い奴とパーティーを組ませて危険に晒す訳には行きませんので。」
紫花「なんか勝手に話進んでるけど、これどうする?」
郷樹「まあここまで来ちゃったらもう引き返すのは無理っぽいな。ってことで1ヶ月後楽しみにしてるぜ!」
なんだこいつら、そう思いながら俺は授業の準備をするのだった。
八雲柊那
身長160
体重??
声も見た目も全てが無気力そう。肩まで髪が伸びており、顔立ちは少し幼い。どこか儚げ。
先天的スキル「魔倍」
魔法や魔力の攻撃で効果発動。魔力を使った攻撃や魔法防御、魔法などの効力・威力・数のいずれかを倍にする事が出来る。
ステータス
合計値26
筋力12
俊敏性21
知力61
五感33
跳躍力3.5