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「第4回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品シリーズ

三年目の体育祭

掲載日:2022/12/16


 ハルちゃんはかけっこが大好き。


 走ると楽しくなってたくさん笑う。


 お日さまみたいなハルちゃんの笑顔から妖精が生まれた。


 ちっちゃなひだまりの妖精。



 ハルちゃんが行くところいつもひだまり。


 だからハルちゃんはいつも笑顔。嬉しくって妖精も笑顔。



 中学生になったハルちゃん。


 とても楽しみにしていた初めての体育祭。感染症が流行して中止になった。


 ハルちゃんは悔しくて泣いた。妖精も一緒に泣いた。



 その翌年もまた、体育祭は中止になった。


 ハルちゃんは悲しくて泣いた。妖精も悲しんでいるハルちゃんを見て泣いた。



 ハルちゃんは中学三年生になった。


 とうとう念願の体育祭が行われることになった。

 

 ハルちゃんは嬉しくて嬉しくて、泣きながら笑った。妖精もまた泣きながら笑った。



『週末は荒れた天気となるでしょう』


 天気予報が無情に告げる。


 ハルちゃんがあんなに楽しみにしている体育祭。


「ママ……私がなんとかするから泣かないで」


 ひだまりの妖精は小さな羽根を広げて真っ暗な空へ向かう。


 妖精には、ひだまりを作るくらいの力しかない。


 分厚い雨雲はビクともしなかった。


 妖精は泣きたくなったけれど、ハルちゃんのためなら力が湧いてくる。



「お願いお日さま、私に力を貸して。ママが笑ってくれるなら、私は消えてしまってもかまわないの」 


 雲が割れて一筋の光が差しこむ。


「ありがとう」


 妖精は無数の光の粒となり、乱反射した太陽光が雲を消してゆく。


「よかった……ママ……大好きなママ……」


 最後の雨雲とともに光の粒が消えた。





「お母さん!! 空を見て、晴れたんだよ、きっと体育祭やるよね?」


「あら本当ね、予報は雨だったのに? どうしたのハル?」


 突然泣き出したハルちゃんに驚くお母さん。


「ううん、何でもないの。おかしいな……とっても嬉しいはずなのに涙が止まらないの」




 中学最後の体育祭。空には大きな虹がかかっている。


 ハルちゃんは誰より一生懸命楽しんで、誰より元気に走り回った。


 ひだまりはもうないけれど、みんなを明るく照らす光になった。



「やったよお母さん、うちのクラスが優勝だよ」


 ハルちゃんが笑った三年目の体育祭。待ち望んでいた心からの笑顔。




 知ってるかい? 妖精はとびきりの笑顔から生まれるんだ。


 ほらごらん。



「ママ、また一緒だね、ママ」


 

「お母さん、何か言った?」


「ううん、何も」


「そう、たしかに聞こえたんだけどなあ?」



 ハルちゃんはいつも元気いっぱい。まるでひだまりみたいって評判の女の子。 



 

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― 新着の感想 ―
[良い点]  うわ~。めちゃめちゃ可愛くて、心にジ~ンとくるお話でした。  とっても良かったです!
[良い点] 短いながらも、起承転結がしっかりしていて素敵な物語だと感じました。 [一言] 読ませて頂き有難うございました。
[良い点] とっても可愛くて素敵なお話ですね(*´∇`*) 妖精がいなくなった時は( ;∀;)でしたが、また再会できて良かったです♪
2022/12/18 22:09 退会済み
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