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蒼い月の都  作者: 彩夏
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拘束


(とある、筋ねぇ……)


大麻は和国に自生する植物で、古くから衣の原料として使用されてきた。

鎮静、鎮痛の作用があり、薬としても利用されている。

同時に「酩酊感」、「陶酔感」、「幻覚」を起こさせる作用があり、大量に摂取し続けると、身体や精神を病むことが分かって以降、大麻の栽培には許可が必要となった。

とは言え、大麻はそこらの草原でも自然に生えており、庶民の生活に深く根付いている。

「許可」はあくまで大規模に栽培する事に対しての事で、自宅の庭に生えている物を使用しても罰せられることはない。


「当家が栽培しているのは茶葉です。確認して頂ければ分かります」


「ふむ……御当主は不在でいらっしゃるとか…………代わりに案内頂けますかな?」


「分かりました。他に御用がなければ、失礼しても宜しいですか?」


「いえ、今夜は此方に御泊まり頂きます」


「何故です?」


「勿論、貴殿方が不正をされていない事を明確にするためです」


見え透いた嘘をつくと、弓月はため息を落とす。

弓月を留め置いて、夜のうちにに「証拠」を捏造しようとでも考えているのだろう。

使用人相手なら何とでも理由をつけて邸に入り込めると思っているらしい。


「分かりました。ですが、せめて手足を伸ばして眠れる寝台を用意して頂けますか?」


「勿論です。ぐっすり眠れる寝室を御用意いたします」


互いに腹に幾つも抱えながら、笑みを交わした。







用意された寝室は、寝心地の良い寝台に軽く暖かな布団、窓もあり、扉には内鍵もついていた。

弾正台内にある一室は、恐らく高官が使用するためのものだろう。

あまり期待はしていなかったが、昨夜の男は意外にも弓月との約束を守ったようだ。

お陰で目覚めはすっきりしていた。

こんな状況で熟睡出来るとは、我ながら図太いと思う。

弓月は脱いでいた上衣を身につけ、素早く髪を纏めて(こうがい)を挿す。

気配を察したのだろう、扉を叩く控えめな音と共に、声がかかった。

扉を開けると、昨夜の男が立っていた。

何処か憔悴した風に見えるのは、気のせいではないだろう。


「お早うございます。昨夜はよく眠れましたか?」


「ええ。寝心地のいい寝台のお陰で、朝までぐっすりでした」


「それは良かったです」


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