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序章

―――神は死んだ。


そう言ったのは、確かニーチェとかいう哲学者。それは思想の中の一環に過ぎないけれど。


でもこの世界に神はいる。

いや、違うな。神に愛される者がいる。

世界に広がる宗教としての神ではなくて、もっと根本的な万物の源のおいての神。


「――まぁ、今はその神に翻弄されてる上に祈らなければいけない状況なんだけど……」


太平洋上に浮かぶ小型の船舶にて独り、佳大(ケイタ)は呟く。

近くに陸地らしきものは見えない海の上、そして前方には黒く、空高く昇る暗雲。竜巻を伴った巨大な積乱雲。

波は高くなり、気温が下がり風も強くなってきた。ダウンバーストが起こる予兆だろうか。


しかも、逃げようにも船はエンジンブローで動かない。遭難信号は発信したが、無線はノイズが酷く役に立たない上に、GPSはロストしたまま。

だけど、そんな状況においても佳大の思考はまだ冷静で。

( 計器が狂ったということは、近くまで来ているはずなんだ )


目的の場所はきっと近い。

そこは地図になく、GPSで捕捉することも、衛生写真で捉えることも出ない場所。

呼ばれた者だけがたどり着ける場所。


願いを叶えたい。未来を知りたい。先見の明を得たい者達が、我先にと望む、「神」とも呼ばれる申し子が住む島。


が、しかし。

冷静であってもこの状況を打破する術は思い付かない。

「うーん、困ったなぁ」

そう呟く佳大の顔には、言葉とは違い然程困った表情は浮かんではいない。


それは、確信。

10年かかった。3度目にしてやっとここまでたどり着けた。

後は、本当に祈るしかない。


この近くにいるだろう「神」に――。

また、よろしくお願いします。

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