妄想でお世話になります
随分と間が空きましたが最終話です
さて、ムードの無いプロポーズをぶちかましてきたイルーズと共に、本日はイルーズの16才のお祝いの夜会に来て行くドレスを選んでいる。
「色はその色が良いな!さすが、フリィどんな色も着こなすね!」
私が試着をしてイルーズの前に出てドレスを見せると、その度にイルーズからお褒め頂いている。
「どれも似合うなあ~迷うな!」
早く決めろ!…と内心ニヨニヨしているイルーズにツッコんでいるが、先日から何を言ってもヘラヘラ…怒ってみてもヘラヘラ…でどうしようもない。
因みに今選んでいるドレスは既に全部イルーズが私の為に…と購入済みの特注ドレスだ。只々当日にどのドレスを着て行くか…を選んでいるだけなのだ。
王子様の考えることは分からない…
「服なんて脱がせりゃなんでも一緒じゃない…」
「フリィ?!何てこと言うんだ…もう…」
またお小言なのかな?ちょっと怒った後、ブツブツ何かを言っているオカンみたいなイルーズ。
「…これでいいです」
オーガンジーの生地がフワッと広がった若草色のドレス…私の髪色にも合うだろうと思って今、試着しているドレスを選ぶことにした。
まあ…私だって?可愛いドレス着るのはそこそこ嬉しいし?イルーズが喜んでくれるならどんなエロイ衣装でも袖を通すし…そうイルーズがこんな破廉恥なドレスを着せるから…
「やっぱりフリィはそんな半乳が見えているドレスじゃないと、美味しくないよな~」
「ああん、イルーズそんな目で見ないで~」
イルーズが私のドレスの捲り上げた。イルーズがの瞳が欲望でぎらついている。
「やだぁ~やめてイルーズ…恥ずかしい…」
「フハハハハハ!」
そうして…イルーズに全部剥かれて…美味しく頂かれた。イルーズ本日も素敵な妄想をありがとう、ご馳走様。
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そうしてイルーズの16才の生誕祭の夜会が開催された。
私の婚約者としてのお披露目も兼ねているので、私は呼ばれるまで別室で待機だ。
私が座るソファの前にメイドがお茶を準備してくれる。
「ありがとう」
お礼を言ってそのメイドの顔を見て……あれ?どこかで見たお顔だな?と思った。
静かに壁際に移動したメイドのお姉様…う~んどこで?メイド服を着ていなくて…裸?裸…肌色…あっ!
「紳士のた…たたっ…ぐふぅ…」
慌てて口を手で押さえた。
クラベル=キース師の魔術書に挟まれていた、肌色成分の多い絵姿のお姉さんじゃないか!
お城のメイドだったの?え?そのメイドのお姉様の絵姿がどうしてクラベル=キース師の魔術書に挟まれていたの?!え?
この謎は後日明らかになった。何でもクラベル=キース師のお母様(伯爵夫人)がいつまで経ってもおひとり様の息子に強制的にお見合いをさせようと、クラベル=キース師の仕事場の作業台にお見合い写真ならぬ、お見合い絵姿を大量に持ち込んで置いていたのだ。
そんな事情をお母様から聞かされても、マルっと無視していたクラベル=キース師は研究に没頭している時に、その辺に置いてあった絵姿を魔術書の中に栞代わりに挟み込んだ…という訳なのだ。
ああ…まさかご自分の絵姿が栞に使われていたなんて知る由もなく、メイドのお姉様はお城付きのメイドとして働いている。
おまけに後日、王子殿下の婚約者となった私の側付きのメイドになってしまった。
メイドのお姉さまのお名前はリアナ=シビラさん。
優しくてとても話しやすいお姉様だ。私は栞云々は置いておいて、クラベル=キース師ってどう思います?と聞いてみた。
「変な方ですよね~まあ魔術師なんて皆、変わってますけど…」
バッサリと切って捨てられた!会っても無いのに振られたみたいですよぉ~クラベル=キース師~!
こんな感じで私の日常は穏やかに過ぎている。
イルーズとの関係も私の妄想を掻き立てられる触れ合いが増えたけれど、普段の距離感は前と変わらない。そして実は心配だった、令嬢からの嫌味とか嫌がらせ的な何かも全然無い。
個人的にはガッカリなのだ。
可愛い女の子と絡みたいのにな~物理的にも…グフフ。巨乳な令嬢とか来ないかな~さり気なく煽って喧嘩してると思わせておいて、揉みあいになってワザと巨乳を鷲掴みにしてみたりしてね…グフフ。
扇子で口元を隠しながらグフグフ笑っていると、隣に居るイルーズが、脳天チョップをかましてきた。
「いっ…痛い!何すんのよ?!」
「またエロイこと考えてるんだろ?そんな顔で気味の悪い笑い声をあげるなよ…今は夜会の途中だよ?」
「そんな顔ってどんな顔よぉ?もう…妄想ぐらい自由にさせてよ…」
イルーズは鋭い目で私を見てきた。
「こんな時に何の妄想してたんだよ…」
私は長身でピンクブロンドの髪色にエメラルドグリーン色の瞳を持つ顔面偏差値、国一番(私調べ)のイルーズ=ケイクラフェバー第三王子殿下…私の幼馴染で今は婚約者の男の子を見詰めた。
「な…何だよ…」
ちょっと顔を赤くしたイルーズの耳元に唇を近付けた。
「イルーズとのめくるめく色恋の妄想よ…」
「……許す」
イルーズは耳まで赤く染めると、ボソッとそう呟いた。
なんだかなぁ~照れ顔も綺麗だねぇ~
ここ最近の私の妄想の殆どがイルーズ絡みだもんね、イルーズご馳走様♡
ご読了ありがとうございました