表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

イルーズは見た!SIDEイルーズ

今更ですが、ファンタジーエロです。生温かくフリィーシアの暴走を見守って下さるようにお願い致します。

フリィーシア=バスラと最初に会ったのは10年くらい前になる。彼女の兄と俺の次兄が学園の同級生で仲が良かった為に一緒に遊ぶ時に俺は兄と共に、フリィーシアは兄のハビュルライ公爵子息に連れられて王城に来たのが最初だった。


天界の生き物だ!


まずフリィーシアを見た時にそう思った。とても自分と同じ人間だとは思えなかった美しさだった。フワフワとした柔らかそうな金色の髪、金糸の隙間から覗く瞳は零れんばかりの大きな翡翠色の瞳、髪と同色の睫毛が濃く長く瞳を縁取り、まるで絵画から抜け出てきたような…生きている人だとは思えぬ神々しさがあった。


光の中…神の作りし神の神子が俺にカーテシーをした。


「初めてお目にかかります!フリィーシア=バスラと申します」


……思った以上に元気な挨拶だった。神の神子が急に地上に降りて来たみたいだった。


俺も挨拶を返すと、フリィーシアはニコニコしながら俺にこう言った。神子が可憐な声で俺に囁いた。


「イルーズ殿下は王城で沢山のお兄様やお姉様方とお会いする機会が御座いますよね?」


「ええ…まあ…?」


まあ…使用人や役人も入れれば、確かに沢山の人と会う。皆は俺から見たらお兄様お姉様だけれど……


フリィーシアはニヤニヤと笑い出した……神の神子が、何故だか厩の下世話の好きな下男のような顔に見えた。


「じゃあ…空き部屋とか物置の物陰とかで……ハァハァ……睦み合っている男女を…ハァハァ見たりしたことあるのよね?どうだった!?どうだった!?エロかった?」


その時に卒倒したり、絶叫しなかった自分自身を褒めてあげたかった。


その後、内心驚愕したままの俺にフリィーシアは息継ぎしないで、目を見開いたまま、エロ話ばかりしてきた。彼女の話の内容は6割はエロ話だった。…………嘘です、本当は8割以上はエロ話でした。


この地上に神の神子なんて存在しないと絶望した6才の俺とフリィーシアはそうやって出会った。


本当に俺を誰か褒めて欲しい。あれから10年…フリィーシアの頭の中は下ネタの欲望が8割と残りは食欲と後は優しさぐらいしか詰まってない残念な思考回路のまま成長してしまった。


ああ、成長した。言っちゃいけないが、どこかで頭でもぶつけていれば、頭の中の欲望を忘れてしまえたかもしれない。そして見た目だけは可愛さ炸裂、彼女を一目見た者を虜にさせる…儚げな破壊力満点の美少女に成長したフリィーシアは男達の目を引いた。


まず、俺の身近な所で言うとその究極の美少女の見た目に騙されたのが、俺の一番上の兄…王太子のイシューズだ。俺にしつこいほどフリィーシアを紹介しろと言ってきた。将来は是非、私の妃にしたいと嬉しそうに俺に宣言をしてきた。


その度に俺は兄上には耐えられないと思うけど?と言ってみたが、当たり前だが人は自分が見たり聞いたりしたものしか信じられないからな…兄上だって神の神子の中身がまさかアレだとは思うまい。


俺が何度も、フリィーシアは色々と難ありだよ?と言っていたのに…兄上は果敢にも俺に内緒でわざわざ二人きりになり、裏庭の庭園でフリィーシアと会ってしまったのだ。


止めておけばいいのに……


俺がそれを近衛達から聞いて兄上の様子を見に行くと、庭園の奥まったところに設置していたテーブルで可哀相なくらいに身を縮めて兄上が座っており、その前に座っているフリィーシアが何かをテーブルの上に広げているのが見えた。


「で~王太子殿下はどんなお姉様が好みです?私はこの巨乳ちゃんかな~良い乳してますよね~グッへへ……」


フリィーシアの可愛いけど、下卑た笑い声がここからでも聞こえる。


そして遠目からも分かる、テーブルに広げているのは女性の半裸の肖像画?だった。


多感な年頃の兄上に何を見せているのだ?フリィーシアのお馬鹿…と思いながら二人に近付いて行くと、俺に気が付いたフリィーシアが満面の笑みを向けて俺に手を振った。


「イルーズ~!王太子殿下ってちっぱいが好きなんだって~」


「…っ!」


止めて差し上げろ!兄上の嗜好が今、ここに居るメイド、近衛、侍従全てに知られてしまった瞬間だった。


「まあ…ちっぱいって感度が良いというからね♡イヒヒヒ……」


フリィーシアの下卑た笑い声が留めの一撃だった。


イシューズ兄上は走って逃げた…まだ14才の兄上には強過ぎる刺激だった。いや…10才の俺にも強過ぎる刺激だけど、生憎と僕は長年に渉るフリィーシア耐性が付いている。


いらない耐性だけどさ…


その日の夜、イシューズ兄上が部屋から出て来ない…と心配している侍従長の頼みで、俺が部屋を訪れて兄上の様子を窺うことにした。


イシューズ兄上は明かりも点けない真っ黒な部屋の中で、ベッドの傍で座り込んでいた。


俺は兄上の傍に一緒に座ると、イシューズ兄上の背中を撫でた。


「だから言ったでしょ?フリィーシアは止めておいた方がいいって…」


「……ああ…私はお前がフリィーシアを取られたくなくて嫉妬でそう言っているのだとばかり思っていた……」


「兄上…僕は8才の頃にもっとすごい破廉恥な絵画を見せられて、倒れたことがあるよ……」


イシューズ兄上は俺の衝撃の告白に驚いている。


そう半裸なんてまだ可愛いほうだ。フリィーシアがどうやって入手したのか今でも謎だけど…女性の細部、体の隅々まで描かれた肖像画…と呼んではいけないであろう、卑猥な絵画を見せられた俺は女性の下半身の余りのグロさに(多分誇張して描かれていた)見てしまった恐怖で倒れてしまったのだ。


「まだ倒れなかっただけ、兄上は偉いよ……俺は駄目だった」


「そうか……辛かったな、イルーズ」


何だか兄上と変な労わり合いをしたが…イシューズ兄上は一応、元気になった。


しかしその後、二度とフリィーシアとの逢瀬を願ったりフリィーシアとの婚姻関連の話をしなくなった。心の傷は深い……


フリィーシアは本当に本当にぃ…見た目はこの国…いや、世界中を捜しても一番じゃないかな?と思えるほどの美貌で…気立ても良いし公爵家の令嬢だと傲慢に振舞うこともなければ使用人達に優しいし、学院での成績も良いし、ある意味王太子妃、王子妃としては完璧なのにな…


エロ妄想が激しい以外は……ね。


残念だな…でもそれが可愛いな~と最近思い始めている俺は既にフリィーシアの毒にやられてるのかな?


まあ俺ぐらい寛容じゃないと、趣味はそういう方面の小説と女性の半裸画集め!なんて声高に叫ぶ女の子とは付き合えないと思うよ。


そんな俺の大好きなフリィーシアは、今日も絶世の美しい顔で笑顔を見せながら


「やっぱ文字から入るのも滾るわー!妄想でどんぶり飯三杯はいけるわね!」


と、涎を拭きながらそういう方面の小説を読んで叫んでいる。


それにしても、どんぶり飯ってなんだろう?


時々イルーズ視点の話を挟んでいきたいと思います。そうしないとフリィーシアの暴走が止まらない…気がしますので。ブクマ評価ありがとうございます(*^▽^*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ