血の味
ここで一つの疑問が生まれる。なぜその時の記憶がないのか。普通だったら2015年に未来の俺がきたことを俺自身が覚えているはずだ。なのになぜ?数秒俺は考えた。おばあさんは俺の方を見ていた。ここで気づいた。ここには俺じゃない俺がいる。つまりあの時の記憶を持つ俺がいる。じゃあその俺に会いに行きたいところだが、どうすれば良いのか。おばあさんにそのことを聞くと。
「よくそのことに気づいたね。でもお前さんはもう死んだんだよ」
俺は数秒フリーズしてた。俺が死んだ?
「どうしてだ!」
「わからないけど、俺は未来のことを知っているとかなんとかで」
そういうことか。俺が未来のことを言ってしまったが故にそのことを悪用したんだな。なるほど。するとこのような声が聞こえた。
「おーい!」
女の人の声だった。少し元気な声。日焼けした肌。長く細い足。身長は俺の頭1つ分くらい小さかったが…何かと大きい。服は赤いパーカーにジーンズというファッション。俺は嫌いじゃない。しかしまるで前の今のような服だ。この世界でこんな服はないと思ったからだ。
「聞いてんの?返事しなさい!」
「は。はい!」
俺は聞いてなかった。とりあえず返事だけはしておこうと思い返事したわけだが、
「何が『はい』よ。今の質問はいいえでしょ」
「いいえ!」
「今じゃないわ!」
俺は焦っていた。そしてその奥でおばあさんはくすくす笑っていた。少しイラっときた。
「んで?どうする?一緒に行く?」
「ど、どこに?」
「過去」
俺は驚いた。過去に誰かと一緒に行くチャンスがあるとは。
「い、行きます!」
「良いだろう」
「じゃあ行くよ!」
「え?」
そして頭痛がきた。そして何も考えられない。すると急に目が覚めた。ここは100パーセント俺がいた「今」だ。そしてもちろんそこには彼女がいた。しかし俺は驚いた。彼女が俺の目の前にいてそれに驚き胸のあたりが熱くなった。ん?違う。痛い。下を見ると血が広がっていた。彼女はとっても笑顔だった。