太陽に翔ぶ~駆け出し魔女大炎上!
さるアニメで一人の少年の粛清シーンを受け、日付(10/10)を書きました。
グルンガルドの十の月の十の日の朝、森の中の小さな小屋に一人の魔女が住んでいた。
彼女の名は『リンダ=ボーグ』、フレッシュオーバーで四つ葉の紋章を授かったばかりの駆け出し魔女だ。
リンダは小屋の中から柄がデクードの箒を取り出し、外に出て箒に跨った。
(インドラ様から四つ葉の紋章を貰ってからこの箒で空を飛ぶ事が出来るようになったし……。さて……、この空飛ぶ箒で太陽を目指しましょう。)
「ELアビリティ、『エアロフライ』!」
リンダは風属性ELアビリティ『エアロフライ』で、太陽に向かって飛んで行った。雲にぐんぐん近づき、下には大地が広がっていた。
(雲の上から見た大地……、素敵な景色ね。絵に出来たら最高だわ。)
リンダは地上に恍惚とした。
(でも、わたしは太陽を目指す事にしたの。有難う……、母なる大地……。)
暫くしてリンダは大地に別れを告げ、再び太陽を目指して行った。太陽に近づいていくにつれ、温度も上がって行った。
(熱くなってきたわね……。でも、わたしは諦めないわ……。)
温度が上がってきたにもかかわらず、リンダは諦めずに太陽を目指し続けた。
温度もみるみる上昇し、とうとう、箒が燃え始めた。
(ああっ……、箒が……。もう……、大地には……、戻れない……。熱いけど……、このまま……、太陽目指し……、続けるしか……、ない……、わ……)
間もなく、リンダの身体も大炎上していった。
(あれ……、もう……、熱くない……。)
リンダは既に太陽の熱を全く感じなくなった。
それから間もなく、羽根の装飾の兜を着け、白銀の槍を携えた白銀の女性騎士がリンダの前に現れた。
彼女は極めて神秘的な雰囲気だ。
「あ……、あなたは……、誰ですか……?」
リンダは女性騎士に尋ねた。
「わたくしは戦女王。『太陽目指せし魔女』の魂よ、わたくしと共に『虹の園』に参りましょう。虹槍レインボルグよ、この者の魂を収めよ!」
戦女王がレインボルグをリンダに向けると、レインボルグが七色に光り出し、リンダの魂を吸い込んだ。
戦女王は虹の園に向かって行った。
かくしてリンダ=ボーグはゴッドガルドの虹の園、そう、『天国』と揶揄される地に誘われたのだ。
グルンガルドのさる村では、リンダ=ボーグにまつわる詩をさる吟遊詩人がデクード製の弦楽器をかき鳴らしながら語っていた。
太陽目指せし魔女リンダ=ボーグ……、彼女の生前の姿は詩等を通じて『EL技術は便利だが、その便利さに溺れるなかれ』『真の勇気とは無謀に至らぬ事である』等の教訓として世界塔ブルドラシル中に今日でも語り継がれている。
また、ブルドラシルでの太陽の黒点は『リンダ=ボーグの亡骸』として語られているのだった。