表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠に終わらない墓場  作者: ゆむ
なんで俺ばかり……!?
3/7

ナメクジ転生でぐっはァァァ!!

『なんで俺ばかり……!?』

第一話です。

 目が覚めたら、真っ暗闇の中に閉じ込められていた。


 いやいやいや。ちょっとまってくれ。何だこの状況。

 必死に思い出す。いや、思い出せ、おれ。


 俺の名前は、宮野(みやの)隆治(たかはる)稲晴(いなばる)高校の二年生だ。うむ。ちゃんと覚えているぞ!

 そして、英語の授業中に寝ていたはずだ。


 周囲の物音も全く聞こえない。異様なまでに静かだ。


 おーい、誰か。

 と声を上げようとしたが、声が出ない。なんということでしょう。


 身動きしようにも、腕も脚も動かない。っていうか、手や足の感覚が無い。

 ワケが分からない。一体、何がどうなってるんだ?

 不安と焦りは増すばかりだ。


 くそ! クソ! 糞!


 力任せに暴れていると、俺を包んでいる布が勢いよく破れた。


 やった! 外に出れる!


 と喜んだのも束の間。外も真っ暗だった。

 石がゴロゴロしている地面を這って進んでいく。

 うん。なんか当たり前のように自然に地面を這ってたわ。


 なにこれ? どうなってるの? もしかして、あれ?

 あの有名なスライムに転生するアレ?

 スキルとかあるの?


 天の声さ~~ん!

 大賢者さんはいませんかー?


 返事が無い。なんでだよ。


『ステータスオープン!』


 何も起きねえ。

 だから、なんでだよ!? 異世界転生ってやつじゃねえの? おれ、スライムになったんじゃねえの?

 手も足も無いし、首も無い。周囲は真っ暗だけど、石の上を這っているってのは分かる。


 とにかく、考えろ、おれ。


 目は見えないが、音は聞こえる。とは言っても、俺が這う時に出る石が擦れる音しか聞こえないが。

 暴れたら、身体を包んでいた布が破れたし、前後左右に身体を曲げることもできる。


 身体の形は……、分かんねえ。大きさも全く分からん。

 何たって目が全く見えていないからな。


 腹は、減った。

 マズイ。意識したらメチャメチャ腹が減ってきたぞ。

 食い物とかあるのか?

 っていうか、あっても見えないんだけど?

 どうしろって言うんだよ。どんなクソゲーだよ。


 スライムって腹は減らないんじゃないのかよ?


 とにかく、ここでじっとしていても仕方がないだろう。

 どうにかして食べ物を見つけなければ。

 石なんて食えないだろうし……


 ということで、ズリズリと這って移動していく。スピードは、あまり早くはない。というか、遅いんじゃね?

 頑張れ、おれ。もっと早く移動していかないと食い物にありつく前に飢えてしまう。



 どこまでも続く暗闇のなか、何のあてもなくズリズリと這い回っていたら、ふわりと匂いが漂ってきた。

 美味しそう、とは思わないが、なぜか食べ物の匂いだと分かる。これが本能というやつなのだろうか。


 ズリズリ、ズリズリ、ズリズリ。


 前に進んではいるんだけども、匂いの元に中々たどり着かない。

 ちくしょう。めっちゃ腹減ってるんだよ! はやく食い物にありつきたいんだよ!

 気持ちばかりが焦るが、進むスピードは速くなりはしない。


 永遠とも思えたが、一時間くらいだろうか。

 匂いに向かって這い進み続けた結果、匂いはもう、すぐそこである。

 どこだ? どこに食い物があるんだ?


 キョロキョロしていたら、何かが顔の先に触れた。

 はっきりと分かる。これが、匂いの大元だ。


 おれは、迷わずそれに齧りついた。



 もっしゃもっしゃと食べていく。

 何かの葉っぱのような感覚だ。


 って、おれ、口があるぞ!?


 え? スライムじゃないの? 普通、スライムって歯の生えている口なんてないよね?

 飛び跳ねることはできないから、某RPGスライムのような目や口のついた雑魚キャラタイプじゃないことは分かるのだが……


 うむう。

 よし、とりあえず、気にしないようにしよう。


 とにかく、腹ごしらえだ。

 っと、その前に。


『鑑定』


 念じてみたが、やっぱり何も起きない。

 仕方がない。葉っぱらしき物を食べていく。

 こんな真っ暗なところに草なんて生えるのか?

 いや、スライムには視覚なんて無いってだけかも。と思ったけど、それはそれで違うような気もする。

 いま、おれは明確に「暗い」と感じているんだ。視覚そのものが無いなら、暗いとか明るいとかいった感覚が無いはずだろう。


 だから、ここは真っ暗なダンジョンの中、と考えたほうがいいだろう。

 ただの洞穴かも知れないけど。ダンジョンだと思った方が夢がある。だから、ここはダンジョンなのだ。


 そして、いま食べている草は、魔力を吸収して成長するやつなんだよ。

 きっとそうだ。うん、そうに違いない!

 それを食って、高い魔力を身に付けるんだよ。web小説にそういうのはよくあるだろう?


 そうと決まれば、ひたすら食うのみ!

 幸いなことに、ここには葉っぱがいっぱいあるようだ。しばらくは食いつないでいけるだろう。



……と思っていた時期がありました。

 ごめんなさい。ヒマです。暇すぎて死にそうです。


 食う以外にすることが無いんですけど。

 周囲は全く見えないし、自分がゴソゴソ動き回る音しか聞こえない。

パクリじゃないよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ