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俺は仲間を作らない。
相手の考えてることなんて分からない。
だから俺を裏切ろうとしているのかもしれない、俺を殺そうとしているのかもしれない、そう思うと怖かったから、仲間なんて作れなかった。
そんな俺にとって情報は生きていく上で大切だ。
だからいつも耳を澄ましている。
そして、俺の今いるガンマ帝国とプリム王国を関係が悪化していると言う情報を得た。
じゃあ、そろそろ来るな。過ぎ去るまで秘密基地で隠れていなければならない。
食いもんを集めて、秘密基地に帰った。
はぁ、食堂の食べかすと腐った果物二つで冬眠しなければならない。
どれだけ経ったか分からない。体力を消耗しないようにずっと寝転がっていた。
叫び声がして、怒号と共に何人分もの荒々しい足音がした。
やっときたか。
起き上がって穴から覗くとそこにはやはり
完全武装をしている兵士がそこら中にいた。
兵士達は手段を選ばず次々と浮浪者を捕まえ連行していく。
浮浪者達も逆らえば殺されるのは分かっているから逆らわず、比較的に大人しくついて行っている。
ちょっとだけ可哀想に思えてくる。
そう遠くはない未来にプリム王国と戦争が起きる。
あいつらはその戦いで兵士として戦わせられて、多分死ぬ。
軍にとっては使い捨てれる駒があると、とてつもなく便利だ。
罠である所に突っ込まさせたり、魔法の肉壁にしたり、相手の突撃を真っ先に受けさせたりするわけだ。
その上、一般市民の大嫌いな浮浪街を一掃している訳だから、称賛もして貰える。
まさに軍からしたら使い捨ての駒も称賛も手に入る、一石二鳥だ。