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第9夜 竜虎相搏つ

「いつつつ」


アルビダが顎を手で押さえつつ起き上がる。

ちゃんと顎が割れないよう手加減してやったのに、わざわざ手で押さえるとか大げさな奴だ。


「ふざけんな!いきなり何しやがる!!」


アルビダが此方を睨みつけながら汚い言葉遣いで叫ぶ。

これだから育ちの悪い奴は困る。


「アルビダ。殴られたお前は痛いかもしれない。だが殴った俺はもっと痛いんだ!」

「はぁ!?」

「お前に俺の気持ちが分かるか!ボンッキュッボーンを失った悲しみを!アルビダ!お前にはもはや女としての価値はない!消え失せろ!悪霊退散!」


自分でも何を言っているのかよく判らなかったが、俺は自らの思いの丈を。魂の叫びを言葉に変えて、アルビダに全力で叩きつけた。

どうだ?ぐうの音も出まい?


「ふ、ふふふふふふふふふふふ」


アルビダが急に不気味な笑い声をあげる。

悪霊退散辺りがツボったのかな?

クールなキャラだと思っていたが、まさかの笑い上戸だったとは。


「生れてはじめてよ、女としてのプライドをここまでズタズタにされたのは…」

「ふ、その敗北を胸にこれから先を生きていくがいい」

「は!あたしがそんな負け犬みたいな人生を甘んじて受けると思ってるのかい!いいよ!やってやるよ!この姿のまま、あんたを惚れさせて魅せる!あたし無しじゃ生きられない位骨抜きにしてやるよ!」

「面白い!無駄な努力ではあるが、その意気を買って受けて立ってやる!」


二人の間に凄まじいオーラがぶつかり合い、火花が飛び散る。

竜虎相搏つ。

俺とアルビダはお互い荒ぶる鷹のポーズで睨みあう。

ひりつくような緊張感から、空気が張り詰める。

少しでも均衡が崩れれば、大惨事さえ起こりかねない。

そんな二人に、まさかの相手から一石が投じられる。そう!少年だ!


「勇者様。私たちは作戦行動中ですから、いつまでも遊んでないでください」

「あ、はい…」


突然の少年の冷たい言葉に水を差さされる。

お陰で昂った気分が一気に現実へと引き戻され、途端に自分は何をやっているんだと、死にたい気分になってしまう。

アルビダを見ると同じ気持ちらしく、顔がゆで蛸の様に真っ赤になっていた。


雰囲気に流されるって怖いよね!

厨二病以外の良い子はマネしちゃだめだぞ!

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