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その子等は

さっさとふくだんちょーさん起こして質問攻めしてやろう。

しかし聞いておきたいことがある。


「…ねぇ、こっちも聞きたいことあるんだけど」


「あ?なんだよ」


と、薄緑少年が答える。

何か馴れ馴れしくなってない?


「さっきの男はあんたらのお父さん?」


気になっていることを聞いた。


旦那さんは十年ぐらい前に別れたって言ってた。けどこいつの可能性もある。

だが私は違うという可能性に賭ける。

いや、賭けたい。そっちの方がいいから。



「ちがうよ。ぜんぜん違う」


私の問いに答えたのは水髪少年だった。こちらにため口を使ってくる、私に慣れたようで良かった。


そして賭けに勝ったのだと心の中で笑う。そして相手は国家騎士団、仮にも副団長だ。


「あいつはかぁさんにいやらしいことするためにきたんだ」


そこで何やら続けて少年が言ってきた。



「いやらしいこと?」



なんだそれ。



「あぁ、あいつはいきなりここに現れて『ストレス解消だ、抱いてやる』とか言ってたんだ、おれはその目を知ってた。見てヤバイやつだと思ったね」


と水髪少年に続いて黒髪少年が言った。

その内容は少年たちに聞かせるにはあまりいただけないものだ。



「かぁさんは美人だから」

と薄緑少年が口を開いて言う。




私が疑問系で返してしまったもんだから話の主旨が変わってしまったが、私も納得だ。

あれだけの美人、放っておくのはもったいない。








私は思った。





「……………君たち、兄弟だよね?」




「そうだぜ!」

っと砂薄緑色の少年が続いて言った。



「兄弟ってことはあの人から産まれたんだよな?」

と周りから聞いたら意味のわからない質問だが私にはそれが気になってしかたがなかった



「あったり前じゃん」

っと言う言葉が返ってくる。






「………じゃあ次」



私は女性の方に視線をやる



「あんたの十年前に別れた旦那さんだっけ?もうここに来てない…?」




「来てないですが、それが…?」



どんどん確信に迫っていってるようで心臓の動きが少し早い。

次の質問でこの考えは消えてほしいのだが…。


「次、ね。あんた、今旦那さんいる?」




すると女性は答えた


「いません」


っと。









…おかしいと思ったんだ。

皆あの女性に少しも似ていない。それどころか全員血の繋がっていないただの赤の他人ですといえば通じるほどに。なのに皆が皆してあの女性を『かぁさん』と呼ぶ。


あの人は誰がどう見ても美人だ。それは誰もが手放さないほどのレベルで。


ここへはあのふくだんちょーさんもやって来れた。多分他の奴らも来たんだろう。




男が。





「異父兄弟」




女性は「お金はもう持っていない」、そう言っていた。

それでは子供を作る余裕すらない。ましてや十年前に別れた夫はここにはもう来ていない。

一番上になりそうな黒髪少年はまだ十才には届いてないと思う。






予想だがそれしか考えられなかった。

少年がさっき言っていた『ストレス解消だ、抱いてやる』との発言。












私の視線に入って目の前にいる女性は綺麗だ。

それは誰もが手放さないほどの。









女性のお腹に視線をやる













きっと女性のお腹の中にいる赤ん坊も『それ』だ。














結論を出すには早いかもしれない。

だがこれしか考えられなかった。



















女性が犯されて出来た子供達、だ。





まだ確定ではないがそれはもう私のなかでピースとピースが当てはまったように外れない。否定しようにももうその案しか浮かんでこない。それ以外の案が浮かんでこない。


異父兄弟。


それはつまり…



その結論に至った私は胃の底から這い上がってくる物体をなんとか体外に出さないように頑張った。きっと私の今の顔は青ざめているかもしれない…。いや、横から薄緑少年が大丈夫かよとか言ってくるから青ざめているのだろう。


しかし今はそれどころではない。私はこれからなんの頼りもなく生きていかなければならないのだ。

そう考えて私はなんとか感情を圧し殺した。


「だ、大丈夫だす。それより私はあの男から話を聞き出すだす」


敬語とダメ口の『だ』が混じって意味分からん感じになっているがそんなことは今は構っていられない。


私はちらっと女性を見た。

…ダメだ。もう思考がそっち方面にしかいかなくなってしまった。話を聞いてさっさとおさらばしよう。


私が今いるのは家の外でふくだんちょーさんは家の中に居る。私はそこまで歩く。

ふくだんちょーさんはもう目が覚めていたらしくこちらを睨んでいる。


「貴様…自分が何しているのか分かっているのか」


「分からん、それより聞きたいことがある。質問するから答えろ」


「ふんっ、誰が貴様なんぞのために答えるKっ!!」


私はふくだんちょーさんの顔面に蹴りを入れる、今度は気絶しないように優しくだ。

まぁ、こう言うことは目に見えていた。私の今までの行いだもんな、それは反省点だ。


「質問に答えろ、いいな?」


先ほど私は女性の事を下に見て自らを上にたてた。女性は目先の事を考えられずに愚かにもここまで落ちた…と。

…私もあんま変わんねぇな、と少しの自傷。だが私はまだ少しの光があるからな、そこで私は頑張る。


「ちょ、ちょっとやりすぎじゃありませんか?」


すると女性から避難の声が飛んできた。

いらっとする。あぁ、今私は焦ってるんだろうな、とか思いながらもこの女性は…自分の立場が分かっていないとも思った。


「ねぇあんた、バカじゃないの?自分の立場分かってんの?」


すると案の定、


「「「かぁさんをバカにするな!!!」」」


と避難の声が殺到殺到。おぉ、恐ろしい恐ろしい。まるで力の無い狂犬だな。


「ちょっと黙っててくれるかい?てか、黙ってろ。」


少しドスの聞いた声で言う。すると狼狽えたような動作を見せた。


「…所詮その程度だね。」


ああ、いけない。感情がアカン方向にいってる。軌道修正しなくては。


私は女性に向き合った。


「それでさ、あんたバカなの?てか、バカだよね。そこの黒髪少年に聞いたよ。こいつ、この男、あんたを抱いてやるとか言ってここにきたんだよね?それでさ、よくあんた少年たちが頑張って足止めしてる時に座って見てたよね。怖かったんだろうけどさ、でも少年たち見てよ。顔はアザだらけ、体には傷。おまけには少年たち、見えないところにも傷おってんだよ。」


心もそうだけど体内的にもそう。


「予想だがこんなことがあったのは今回が初めてじゃないハズだ。まずはあんたが変わんなきゃいけないんだよ。あんた、なんかしようと努力した?子供たちはこれからどうやって育てていくんだ。あんた自信もどうやって生きていく。食事は?服は、どうするんだよ。最低でも、、、」


っとここで言葉が止まる

よく見ると女性の顔から水滴がポロポロ落ちている。


(泣いてんのか。だるっ)


はぁ、っとため息をつく。みんながみんな黙りこくって辺りには変な空気が漂った。


「まぁ、なんつーの?とりあえずあんたも変われ。ここにへばりついてちゃ変わるもんも変わんねぇんだよ。あんた子供達のこと想ってんだろ?なら、考えろ。今ここで何をするのがベストなのか、それが何に繋がるのか、な。」


女性は涙を流しながら下を向いている。この女性は私より少しだけ背が高い。しかし顔が見えないほどうつむいている。


正直に言うがさっきまでの説教的なやつはただの八つ当たりだ。

私は突然異世界に投げ出されたもんだからイライラと不安が耐えなかった。

そこで八つ当たり。

まぁ、しょうがない。みんなこうして生きているのだ。しょうがないしょうがない。




「…………おい、さっきから黙って話を聞いていたが言い過ぎだろう」


ふくだんちょーさんが言ってきた。顔は真剣そのものでこちらを見てくる。


「謝れ」


「すいません」


私は即答で謝った。理由は反抗したらそれこそ話がこじれてしまうから。こういう質たちの奴はさっさとこういう行動をとった方がいい。

決して女性に謝った訳ではない。冷たい人間で悪いな。


ふくだんちょーさんの顔を見ると意外そうな顔をしてこちらを見ていた。まぁ、そうだろうな、今までの行動上こういうことをするような人間に見えないからな。


「…いや、いいんです。私が、悪かったので、」


女性が言葉を発した。


「いや、あなたはそんなに自分を追い詰めなくていいんですよ」


と、ふくだんちょーさんは宥めるような優しい包むような声で女性に続いて言う。


…なにこれこの人たち恋が始まっちゃう系?

何かこの人たちの回りにうっすらハートのマークが見えるんですが気のせいですかねぇ?気のせいにしときましょう。そして少年たちが完全に空気と化してますよ!


…よし私は二人の空気に紛れよう。


「す、すいません、私も完全に言い過ぎました、許してほしいとは言いませんが。ごめんなさい…!」


私は頭を下げて言う。

よしよし上手く溶け込んだぞぉ~!昔舞台俳優に憧れて役の練習とかなんとかにはまってた時があったんだよな。昔の私、ナイスぅ~!!


「いえいえ、こちらにも悪いところがあったのは事実ですから…えぇと、許します。だから顔をあげて…」


そして私はすごすごと申し訳なさそうな顔をして頭をあげた。


「本当に…すいませんでした。」


完璧すぎる、私。


「まぁその、なんだ。俺もでしゃばりすぎた。すまん。」


そしてふくだんちょーさんも謝ってくる。

…なんだこの空気。そして相変わらず少年たちは違う意味での空気です。


「さっきの…ええと、なんだっけ………。そういえば名前聞いていなかったな。あんた、名前は?」


「比嘉理一だ」


「ヒガリーチだなよろしく。」


あら、何か変な感じの名前になっちまったな。まぁ、今だけの付き合いだし、いいか。


「じゃあ気を取り直して。ヒガリーチ、さっきあんたが聞きたいことって言ってただろ?それってなんだ」



おおう、ここに来てやっと軌道修正できたのね、やった!


「とりあえずこの縄といてくれないか?それがまぁ、交換条件だ」


おっけぃ。

私が縄に触れようとする。

すると、


「ダメだ!!ほどいちゃダメ!」


薄水色の少年が言う。まぁ、分からんでもない。さっきまでのこのふくだんちょーさんにぼっこぼこにされてた訳だし。


「大丈夫。もう手は出さないよ、君たちにも、君たちのお母さんにも。」


その顔は誰もが安心する女性顔負けの包容力ある顔だった。そう聞いて少年は口を閉じた。

なんか、お母さんにも手を出さないよ発言したところから女性とふくだんちょーさんの間に少し濃ゆくなったハートマークが見えるんですが、もうこれは見間違いないが無いですね、はい。





私が結んだ縄は結構簡単な結びかたのやつで、素手でも簡単にほどける。まぁ、コツがいるんだけどね。結んでいる対象も簡単にはほどけ無いような結び方だ。


私は足と手の縄を両方ほどく。


「よし、じゃあ質問、いいぞ」








長かったなぁ、ここまで来るのに。


「じゃ、遠慮なく聞いていくぞ」


私のひとつ目の目的を晴らせる時がやっときた。



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