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お綺麗な女性

「ただのぉしがない~jkですっ」


理一はそう答えた。しかし相手は納得のいかない顔をしてこちらを見ている。というか頭の上にハテナマークを浮かばせている。何を言っているのだろうかこの女はと言う感じで頭をこてんっと傾けてくる。その仕草をしてやられない男はまずいないだろう。


(美人だなぁ、こことは違う異世界人の私が見てもそう思う。てか、ここからの距離だと話ずらいんだけど)



理一と女性との距離は家が小さいこともありそう遠くないのだが、理一はこの女性から情報を聞き出すと決めた。しかし聞き出す相手にいつまでもこの距離だといただけないものがあるというものだ。だが近寄ったら水髪少年のように暴れるかもしれないからそれは極力避けたい。



と、その時女性は頭を元の角度に戻し口を開いた。



「あの、じぇーけー?とは何でしょうか」


「あ、そっちね」


てっきり私の答え方がアホそのものだからバカなのかとこいつと思われているのかと。


「えーと、jkっつーのは女子高校生の略なんだけどまぁ、簡単に言うと、そうだな、生きるために知恵をつけている人間、のことだな」


あっちの世界でもこっちの世界でもそれは一緒だろう。学を知らなければ生きてはいけない。それはどこでも一緒なのだと理一は自論だがそう思っている。


「勉強…ですか」


そう言って女性は悔しそうな顔をしてうつむいてしまった。


何かいけねぇこと言ったっけ?


「かぁさんをいじめるな!!」


と後ろから声が発せられる。

後ろを見なくてももう分かる。水髪少年の声だ。うっせぇなぁと後ろを向いて見たら少年は他の子供を起こそうと動いていた。一人はあの黒髪少年。もう一人は水髪少年と一緒に倒れていた砂薄緑色っぽい感じの髪の毛をした少年。


「私は何かいけないことを言ったか?」


理一は女性に聞く、するとばっ!と顔をあげ申し訳なさそうに言った。


「いえ、違うんです。これは自分の問題で、それが悔しくて…」


と言うと、うっすら目に涙を浮かべた。



(いやこれ絶対私のせいジャーン)



女性は涙に耐えている、すると後ろから声が聞こえた。そちらに視線を寄越す。するとさっきまで寝ていた子供二人が起きた。黒毛の少年と、もう一人は先ほどいっていた砂薄緑色の少年だ。


が、今はそれどころではない。


「えーとっ、取り敢えず聞きたいこと聞いてもいいか?」



「す、すいません、ど、どうぞ」


そう言って鼻をすすり涙をこぼさないような仕草をした。









「一つ目、あんたに近づいてもいいか?嫌なら全然いいが」



見るからにこいつらは人と言うものに警戒心を抱いている。構わないのだが声を出さないといけないので少々疲れる。



「……………」


女性は黙ってこっちを見てくる。

後ろからも視線がくる。それも複数。恐らく少年たちがこちらを凝視していることだろう。


「……はい。どうぞ」



少し長い沈黙のあと女性からの許可が出た。ので私はその前まで移動してあぐらをかいて座った。



「よし、じゃあ質問するぞ」


本題に入ろう。


「二つ目、勉強がなんだ?なんで泣いてた。」


そうこれだ。

勉強。すなわちこの世界での知識と常識。そして金の元となる学だ。

私はこれに問題があるのかと不安を抱く


「そ、れは……………」


黙ってしまった。

まずったか。


と思ったが言葉を続ける。



「10年前ほど前の話です。」


直感で思う。

(あっ、これ長くなる話しだぁ)


まぁいい聞こ。


「お恥ずかしいのですが、私は、元はこの国の平民でした。この土地で農業をしており、それなりの暮らしをしていたのです。しかしこの土地はある年を境に作物が育たなくなりました。徐々にあったお金も無くなっていき天にも恵まれずこの地は荒れていきました。そして人々は新たな職を見つけこの地を手放していきました。」


「私には夫がいたのです。夫も人々のようにこの地を離れると言ってきました。ですが、私は自分の育ったこの地を離れたくありませんでした。そして私は彼と別れてここに残ることにしました。」


(地元愛が強いなぁ)


「しかし予想通り、私はここまで落ちてしまった。生活は木の実をとったり農地で育った残りものを食べたりすることぐらい。私は食べ物を買うお金もない。お金がないので勉強もできない。私は小さい頃、勉強をしていませんでした。子供だけでもさせてあげたかったのですが、それも虚しく………せめて私が勉強していれば。いやあのとき迷わず別れた夫に着いて行っていればっ」


女性は悔しそうに言う。


「ほんと、後悔ばかりです」


悲しそうに微笑んだ。






「………。私の問いに対しての答えだと、お金がないやつは勉強ができない、と」




女性は下を向いてしまった。



「…三つ目の質問、いいか?」


「…はい、どうぞ」


「あんた、金の価値分かるか?」


せめて金の価値がわかればいいと思った。

そうすれば私の今持っている銅のコインの値段が分かるから、だが、


「すいません、分かりません。お金の計算は父に任せっきりだったもので…」



…ダメか。


「じゃああんたの父さんは?今何処に居るか分かるか」


女性は首を横にふる


「父はもう死んでしまって…この世にはいないんです、、母も同様に…」



「…すまない、嫌なことを思い出させちまって」


なんだかとても悪いことをしてしまった気分だ。



「い、いえ大丈夫です。」


女性は否定はしたものの、まださっきの質問を引きずっている


(こういう雰囲気苦手ぇ)


正直めんどくさいが

気を取り直して、次の質問だ。


「えっと…次、文字、字があるだろ?それ、分かるか?」


一応だが聞いてみた。



「…すいません分かりません」



徐々に女性の顔が暗くなっていく。


(分からないことだらけで自己嫌悪、ね)


理一はここで思う。







(宛あてが外れた)









上から目線で悪いが、話を聞く限りこの人にはあまり学がない。迫りくる未来に無謀にも身を投げた。先を見越して正常の行動ができずここまで落ちた。

予想でだがはっきり言うと私の求めている答えはこの女性には答えられない。同じく子供たちにも。



正直同情できない。



そう考えた。

まぁ、落ち込むことはない。


残りの宛はいるのだから。





今もなお倒れたまんまの奴が。





そう、ガキこら男と言う名の奴が。


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