怒るのは、まぁ、当然じゃね?
ふくだんちょーさんは案の定信じてくれません。私から女性と子供達を遠ざけて、なんか敵視した目で見てきます。子供達もそれに便乗するかのようにこちらを見てきます。女性は訳が分からずおどおどした感じでふくだんちょーさんの後ろに隠れる。
しかし、多分子供達は人の感情を読み取るのがうまいんだろうな。さっきまで警戒を解いたようなほわほわした感じの雰囲気が嘘のようにこっちに敵意っぽいのを向けている。まぁ、あれはどうして良いか分からずふくだんちょーさんに合わせているんだろうけど。いつの間に信頼に値する存在になったんだ、ふくだんちょーさんは。しかしあのちっこい年であの察知能力は凄いなぁと思う。さすがこの環境で育ってきただけあるな
っと話がずれてしまった。
しかし、今、私はめんどくさいしか言葉が出てこない。だって5(4)対1だよ?めんどくさすぎて吐き気がするわ。
あー、これは一個一個確認していって私が勇者召喚された人間だって認めさせるしかないだろうな。
「じゃあ何を言ったら信じてくれる?質問してみろ、答えれるもんは答えれてやる」
私が何者かでどんな人物かを分からせるためにはこれしかないだろう。一人でぺっちゃくってもなんの説得力もなくただただ訳のわからない事をほざくjkになってしまう。…これ言ったの多分二回目だな。
「…じゃあ聞くが、まずお前は誰だ…?」
「お前難しい質問してくるな、まぁいい。えーっと、私は『比嘉理一』、ふくだんちょーさんが言ってくるヒガリーチは正確には『ヒガ、リーチ』な」
「上の名があるということはお前、貴族か?上貴族ならば話が合うが…」
「違う」
正直そのじょーきぞくってやつになりすましても善かったんだけど後々めんどそうだからそれはパスした。
「っ!!じゃあ何故お前に上の名があるんだ!!いい加減正体をいい現せ…!」
急にふくだんちょーさんは怒鳴る。私が上貴族であったら良かったと言うように。
しかし私はイラッとも、まぁ、こない、うん。ふくだんちょーさんは私がどんな人物であるか頑張って理解しようとしてくれているのだから。しかし今のこの状況があまりに非現実過ぎるため混乱しているだけ。
「だから勇者召喚されたからここに来たんだって、この世界の事とか知らんし」
というか今の話を聞くところによると名字は貴族様にしか無いらしいな、差別はんたーい。
「…じゃあ仮にお前が勇者召喚されてこの世界に来た人間だとしよう。でも何故お前はここにいるんだ、勇者召喚はこの国の城でされたはず…。ここにはいないはずの奴なんだ。…何故お前はここにいる?」
「そりゃーこっちが聞きたいわ!!」
私は何故ここにいるのかと言われて声を張ってしまった。原因だ、原因。そう、その原因はこの国の王、あのクソ太り不潔王なのだ。ふくだんちょーさんの何故ここにいるの攻撃(?)を聞いた瞬間、収まっていた怒りが上がってきた。
(あんの憎たらしいクソ太り不潔王め!!次にあったら叩き潰してやる!!あと目付き悪し男もな!!!!ハーハッハッハ!!!)
「アァア!!思い出しただけでも腹が立つ!!あのクソ野郎共がぁ!!次会ったらぶん殴ってやる!!半殺しや!半殺し!!!ふははははは!!」
「っ!!貴様!やはり他国からのスパイっ!人を害をなすものは排除するぞ!!」
「てめぇーはそれしか言えんのかぁ!!!」
二人の会話がヒートアップする。まぁ、それもそうだろう。ふくだんちょーさんから見れば理一はとても怪しい人物なのだ。
皆はどうだろう。皆がふくだんちょーさんの立場で、急に「よう!おら、勇者召喚された者だ!」とか知らないjkが言ってきたら。その情報は上の者しか知らない国家の秘密。それがどうだろう、この世界では意味の分からない服装をしていて上貴族でもなく、激しい物言い。自分の思っていた事に当てはまらない者はまず怪しいと思われるだろう。それもその情報を持っている者が、土地勘がなく、誰でも知っているような知識さえないたった一人の小娘なのだ。…こいつマジ怪しすぎポ、とか思うだろう。
しかし理一がいっているもの事実。理一は今はどこに当てれば良いかも分からないイライラをふくだんちょーさんにぶつけている。まぁ、いきなり知らない世界に連れてこられて捨てられたんじゃ殺気も湧くわな。
「スパイじゃねぇってんだろが!!あぁ!?てか!じゃあ、てめーが仕えてる王を排除しろやボケぇ!!」
理一が言う。それもそうだ、理一の目から見たらここの王さまは駄王だ。
「はぁ!?するわけないだろう!」
とふくだんちょーさんは言う。
「じゃあふくだんちょーさんよぉ!お前の王とは何ぞや!!」
理一は問う。
「王とは誇り高き存在!!民を守り、国のために動くお方!時には国を守るために私たちを使い国を動かされる、そんな存在だ!!」
と、ふくだんちょーさんは言い切る。
理一はあのクソ太り不潔王のどこを見てそんな判断を下したのか分からなかった。
「その誇り高き存在が私を捨てたんじゃいボケぇ!!」
理一が言う。
そう言うとふくだんちょーさんは目を見開き今までの抗議をやめこちらを見てきた。驚いているのか、その顔はまるで信じられないものを聞いたような顔をしている。
「…はぁ??それはどういう事だ」
と、なんか、さっきまでの言い合いが嘘のようにふくだんちょーさんは冷静な声で言った。
「…何か急に『ふむ、こいつは使えんらしい。捨ててこい』とか言われて、兵士に外にポイされたんだよ」
ふくだんちょーさんの冷静な声に理一も落ち着きを取り戻す。そしてあのクソ太り不潔王の真似をして真実を言った。
するとふくだんちょーさんはいかにも僕考えてますよという格好、顎に手をつけてふーむとか効果音がなりそうなポーズをとった。
正直、『王様がそんなことするわけないだろう!死ね!!』と言われるかと思ったが案外そうでもないらしい。だって明らかにいまふくだんちょーさんは『あぁ、あの王様ならやりかねんな』的なことを考えているお顔だもの、心当たりがあるのだろうか。
「……あ~」
ふくだんちょーさんが続けて言った。
「……あの方ならやりかねんかもしれん」
はい、おもっくそ心当たりがあったようです。
理一「心当たりあんのかよ…」
作者「あるらしいね」
ふくだんちょーさん「……すまん、、ある」