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俺の騎士道!  作者: 多摩川
幼年期編
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閑話、パパさんの悲劇、王様の楽しみ

フィロリアと言う地域が在る。

女神フィーリアを信仰している人々が住まう大地だ。

そのフィロリアは実に多彩な文化で分けられた、大小100を数える国や、自治都市、そして公国が存在する。


そしてその中で大国と呼べるほどの国は全部で4っつ。

つい10年前にマウリア半島を統一した世界の西の果てにあるアルバルヴェ王国。

北の海にその勢力を拡大したマルティール同盟と、その盟主国のエルドマルク王国。

中央に位置する超大国のダナバンド王国。

そして東に位置しフィーリア教の教主より、諸王の王……つまり皇帝として認められている、東の超大国ヴァンツェル・オストフィリアである。


フィロリアはこの4大国の思惑と、それによって発生した均衡によって地域内の秩序が保たれていると言っていい。

しかしその秩序は別に平和を意味するものではないし、むしろ豊かとされた地域を巡っての戦争が絶えない。

だからフィロリアと言う地域は内部で覇権争いを、そしてその世界の外では、フィーリア教徒以外の勢力との殺し合いをそれぞれ行っている。

そして、この情勢が主人公の身の回りも、大いに騒がす事になる。


◇◇◇◇


アルバルヴェ王国、王宮内。


アルバルヴェ王国の14代目の王であるホリアン2世は、勇敢なる英主であると言われる。

王国はゲラルド・ヴィープゲスケが誕生する5年前、マウリア半島にあった最後の独立国、ガルベル王国を自国に組み入れ、ついに半島の統一を成し遂げた。

とはいえ滅んだガルベル王国を敬愛する者はいまだ多く、彼等は事あるごとに王国の再興をもくろみ、様々な反抗運動を行っている。

なので、ゲラルドのパパさんの浮気がばれて絶賛修羅場中の同時期、王宮内では例の旧ガルベル王国の遺臣たちが起こすよもやまについて会議が行われていた。

王は家臣たちを集めた王宮内の会議室にて、昨今の反逆事件についての報告を受けていた。


「陛下、首謀者の旧ガルベル王国の家臣、ジャンドル伯爵を捕らえました」

「ウム、コレで反逆者の一味は壊滅だな」

「いえ、それなんですが……」

「……悪い知らせか?」

「実は伯爵の事を支援していたのは、どうやらダナバンド王国のようでして、反逆者どもの多くが、国境を越えてダナバンドに落ちのびたとの、知らせが舞い込みました」

「すなわち、黒幕はダナバンドか?」

「そのようです、陛下」


王は溜息を吐くと次の瞬間、目の前にある机を凄まじい音と共に投げつけ、戦慄する目の前の家臣に吐き捨てるように言った。


「今すぐダナバンド王国に向けて報復の兵を送れ!」


顔を真っ赤に染め、怒りも(あら)わな王に、老年の将軍が言った。


「陛下、お気を確かに!

今軍を動かしてはなりません!」

「何故だ?ホーク将軍、応えよ!」

「まず国は統一したばかりで、他にも工作員の扇動で、不穏な動きを見せる地域がまだあります。

さらに戦争続きだった我が国は、兵役に耐えられる壮年の男が少ないのです。

集められる兵数はせいぜい10000程度。

ダナバンドはゆとりを持たせても、15000を下回りません。

それに総力を挙げればあの国ならば25000の兵の動員も可能です。

また、ダナバンドの地は平地が多く、かの国は騎馬兵の数も潤沢。歩兵が主体の我が軍では、国境を越えた後の戦闘に於いて勝てる見込みがございません」


平地では機動力に勝る騎馬兵の方が、歩兵よりも圧倒的に有利である。

ソレを知る王は唇をぎゅっと結び、怒りに堪える。

さらに宰相であるクラニオール卿が進み出て言った。


「陛下、現在反逆に対する治安活動により、国庫に大きな負担が掛かっております。

さらなる反逆に備えるよりは、思い切って減税等の手段を講じて、民衆と旧領主との間を引き裂き、王の恩恵を示したく思います。

むしろそちらの方が安上がりとなりましょう。ただしその場合ですと軍費の捻出は難しく、私も今回の戦争は避けられた方がよろしいかと……」


ソレを聞く王は必至で理性をかき集めた。

自分と意見を共に出来ない連中を怒鳴らない為に。

王は軍部、そして行政府それぞれの長官が揃って反対しているのを聞き、必死になって意見を引っ込める。

その様子を見る家臣たちの間に、言い難いほどの緊張が走った。


やがて王は絞り出す様な声で「では戦争は取りやめる、宰相は民衆から忠誠を獲得せよ」と言うと。怒りも露わにこの場を後にした。

残された人々の胸に、安堵が広がっていく。


◇◇◇◇


「何たる事だ!臆病もののクソ共めッ」


王は口惜しさに表情を歪めながら、自分の執務室へと向かった。

そして王はこの日、仕事が手につかなかった。

怒りが彼の判断を誤らせ、書類上のミスを誘発し、その事がさらに彼の怒りを掻き立てる。

やがて王は仕事をする事を諦めた、こんな時に仕事をしても効率が上がる筈はないと思ったのだ。


王は早々に王宮内の自分の居住区域に戻ると、王宮内で働いている自分の幼馴染を呼ぶ事にした。

気晴らしに付き合わせるなら彼が良い。

常に自分に忠実だし、なんと言っても一緒に居てもちっとも苦では無い相手なのである。


この幼馴染こそが王国の魔導士団の団長で、グラニール・ヴィープゲスケ男爵と言う、壮年の法服貴族だった。

この国一番の魔導士でもある。

そして、ゲラルドの“パパさん”でもある。


通常貴族には所領があるが、法服貴族と呼ばれる貴族にはソレがない。

王から直接年金を支給されてソレを収入にしているのだ。

グラニール・ヴィープゲスケもまたそのような法服貴族だ。

領地経営で生計を立てる封建貴族と違い、法服貴族は全面的に主君に生活の全て……むしろ給料を握られている。

と、言う事もあり。主に逆らえず、パパさんは特に王に忠実な子分だった。


アルバルヴェ王は自室に入るなり「誰かっ、グラニール団長を呼んでまいれ!」と叫び、走り出す召使いに目もくれず、ぶつぶつと文句を言いだした。

やがて100を数える前に「陛下、お呼びと聞き参上しました!」と、ゼェゼェ息を荒げながら、パパさんがやってきた。


「遅いぞ!グラニール。

私が呼んだらたちどころに現れよ!」


パパさんは(無理を言うなよ……)と思いながら「も、申し訳ございません」と、ゼェゼェ言いながら答えた。


……パパさんは王に逆らわないのだ。

王は自分に忠実なパパさんを叱りながら、改めて自分は偉いのだと思ったのか、満足げである。


王は言う「グラニール、少しは休憩をしたらどうだ、根をつめて働いても効率は上がらんだろ?」と。

ありがたくて涙が出るが、パパさんの仕事はまだ終わってない、すなわち残業が決定した瞬間である。

パパさんは、家族の冷たい視線を想像して、別の意味で涙が出そうである。


「さすが陛下は実にお優しい方です、ありがたく休憩をいただきます」


部下たちが次々と決済待ちの書類を、自分の執務室に積んで行く光景が目に浮かぶ。

瞼の奥に浮かぶその風景が、何故だか、かすんで見えなくなりそうなパパさん。

しかし彼は強い男である。たちどころに嬉しそうな表情を取り繕うと、早速王が座るソファーの傍に腰掛けた。

改めて言うが、パパさんは法服貴族だから王様には決して逆らわないのだ。

王様はそんなパパさんに言った。


「グラニール、領主どもは何もわかって居ない。

おそらく自分の領地の事で頭がいっぱいで、王国全体の事を考える様な者は居らぬのだ」


パパさんも貴族のはしくれである、流石にどう言う話しが会議で行われたのかを想像し相槌を打つ。


「陛下のお力によって、彼等は長きにわたって続いた戦争を終えたのを理解しております。

ただ、その為に払った犠牲が大きく。

心が委縮しているのやも知れませぬ」


うかつなことを言って、諸先輩からなじられるのを恐れるパパさん、それとなく逃げる。


「お前も……そう思うのか?」


王はパパさんの言葉を聞き、裏切られた様な表情でパパさんを見た。


(会議で何が話し合われたっ?)


王様と付き合いが長いパパさんは、この瞬間に、大概の事を察する事が出来た。

だがしかし、パパさんが察する事が出来たのは、会議に参加した重臣たちが王の望む回答を言わなかったらしいと言う事。


とにかく焦ったのはパパさんだ……

先輩も怖いが王はもっと怖い。


なのでとっさに「陛下、彼等は忘れているのです、自分達が偉大なるアルバルヴェ王国の戦士である事を!」と言った。

強気なパパさんの言葉に、王様は立ちどころに機嫌を直し「そうか、そうか」と言ってうなづく。

どうやらパパさんは正解を言えたようだ。

気が大きくなったパパさんは、さらに言葉を続けた。


「陛下!此処は彼等に自分達が何者であるかを思い出させてやりましょうっ」


王はソレを聞くとまるで子供の様なキラキラと輝く目を、パパさんに差し向け、ソファーから立ってパパさんの元に赴き、そしてその頭を抱えながら「やはりグラニール、私にとって真の友と呼べるのはお前だけだ」と言った。


「陛下、もったいないお言葉です。

誓います私はあなたの終生の友であり続けますとも」

「グラニール、流石はグラニールだ」


パパさんは、王様に頭を抱かれたまま、一体どれくらいの兵士を、何処の貴族から借りて、どこの反逆者を鎮圧するのかを考えた。

……彼はまだ何も知らない。

やがてパパさんは改めて王に尋ねた。


「陛下、その宸襟(しんきん)を脅かす賊徒共は何処に居りますか?」


王は言った。


「ダナバンド王国だ、ダナバンド王国への侵攻軍の将軍に卿を命ずる」


……大国、ダナバンド王国に戦争する?

パパさんは一瞬頭が真っ白になる。

反乱鎮圧じゃなくて、外国と戦争する……

隣り街のヤクザをどうするかを話し合う会議だと思っていたら、アメリカに向かって戦争して来いと言われたのと同じである。

無理である、無茶である……そして無謀である。て、言うかどうしてそんな結論になった?

とにかく勇気ある尊敬すべき幼馴染だと思った王は、パパさんの言葉に感動し。早とちりする王の嬉しそうな顔に戦慄(せんりつ)したパパさんは、ようやく事情が呑み込める。


次の瞬間パパさんはわずか一秒の間に信じられないほど頭を回転させた。

(いわ)く……そんな事が出来る訳も無い、しかし王様の性格だと絶対に引っ込めない、俺はこのまま大国に進攻軍を組織して()くのか、て言うか勝てないだろ。国際問題を引き起こして来いって何考えてるんだこいつ、なんでこいつ昔から偉そう……王様だったな。そもそもなんで俺なんだよ!他に戦争の上手い奴たくさん居るだろうが!落ちつけヴィープゲスケ、お前には寄宿舎でのんきに学生をしている3人の娘と、まだ若い頃に作った真面目な長男に、博愛精神に満ちた心優しい娘に、何考えているのかよく判らない末っ子が居て、嫁が居て愛人がいる。上手くやるんだ、冷静になれ……冷静ならばきっと良い案が在る筈なんだ。


僅か一秒後、パパさんはニヤリと邪悪な笑みを浮かべてこう言った。


「陛下、それよりも良い案が在ります……」


実は良い案なんて無い。

時間を稼ぎ、頭を働かせるパパさん。

王は「ほう、グラニールではそれを聞かせてくれ」と言って続きを促した。

パパさんは破れかぶれになって言った。


「ガルベル人が起こす反乱についての会議が本日ありました、私の予想ですが、奴等の後ろにはダナバンドが居た、そう言う事でございますか?」


王はニヤリと笑うと「そうだ、グラニール」と答えた。


「ならば簡単です、どうせ愚かなダナバンドにガルベル人もアルバルヴェ人も区別はできません。

それならば、ガルベル人の振りをして、奴等の国内で無法を働けばよいのです」

「手ぬるいな……」

「いえいえ、無法とは穏当な言葉ですが。

略奪すればよいのです」

「方法は?」

「ガルベル人も、この前我が国に組み込まれた事で貧しい者も多くおります。

ソレを焚きつけ、そして国境の一部をこっそり解放致しましょう」

「うん?アルバルヴェの民では無く、ガルベルの連中を使うのか?」

「この際は、どちらでもよろしいかと……」

「フーム」

「もともとダナバンドもガルベルとの国境は人の出入りを自由にさせております。

彼等も工作員を送り込む為にそうしているのでしょう。

それなら、積極的に武装勢力を育成し、奴等を焚きつけましょう。

逆にガルベル人をダナバンドに入れてやるのです。

それにガルベル人が国を再興させたいと言うなら、別にマウリア半島に作らせる必要も無いのです。

ダナバンドの連中もガルベル人を応援しているようですし、思い切って奴等の国の中に新しいガルベル王国が出来ても構わないと思います。それに……仲の良い友人となら、彼等も一緒に暮らせましょう」


王はソレを聞くと何度かうなずき「なるほど、これならあまり国庫を痛めなくてもすみそうだな」と呟いた。


「まぁ、ダメならば次は戦争という選択肢もある。よろしい、それで進めてみよう」

「ハイ……」

「この事はホーク将軍と一度話し合ってみる」

「ありがとうございます、陛下」


パパさんは思いつきが功を奏してホッとした、パパさんは戦場に行きたく無かったのだ。

王はそんなパパさんの気持ちに気付かず、何処かすっきりした顔で言った。


「そなたがそのような策を巡らす人間に育つとは、子供のころでは想像もつかぬな」

「そうですか、私は子供のころから色々と考えていたのですが……」

「はっ、良く言うわ」


王はそう言いながらどこかリラックスした表情でガキ大将のような笑みを浮かべた。

パパさんはそんな王の顔を見ながら昔の事を思い出していた。

王はそんなパパさんに向けてこう言った。


「子供の頃を覚えているか?

お前は騎士家の出で、私と共に遊んだ、アレは面白かったな」


忘れる筈も無い、この男はパパさんを『生意気だ!』と、言って崖から突き落としたのだ。しかも三回も……


「そうですね、忘れる筈もございません」


その通りである、彼はかくれんぼで上手に隠れたパパさんの事を忘れて、幼馴染の女の子の家に行ったのである。

夜になっても誰も来ず、後にこの男に「お前はもう少し賢くなった方が良いぞ」と言われたのを思い出したパパさん。

思い起こされる暗黒時代を覗きながら、まるで微笑み人形のように眼から光が消えていく。

ちなみに王は、と言うとキラキラと輝く目で昔の美しい少年時代思い出しながら言葉を続けた。


彼にとっては美しい思い出なのである。


「覚えているかグラニール、あのダレムの別荘。私はあの抜けるような青空の下でお前に誓った。

私は必ずマウリア半島を統一し、この国をもっと偉大な国にしてみせると。

そうだ夏になったらまた行きたい、グラニールも同行せよ、お前も懐かしいだろ」


ダレムの青空は忘れられる筈がない。

パパさんはイイエが言えないアルバルヴェ人なので「御供します……」と目からハイライトが消えたまま微笑んで答えた。


あの日の思い出だが……パパさんはうっかり「私には自信がありません」と答えたので大変な目にあった。

3回も崖から突き落とされたので、身の危険を感じて断ったパパさん。

するとこの男は「お前が自信を付けるまで、俺が殴ってやる!」と言いだし、前言を撤回するまで殴り続けてきやがったのだ。


王の頭の中では、あの日の事は美化されて、都合よく書き変えられているので、美しい思い出になって居る事を知るパパさんは何も言わない。

あの日以後、パパさんは目の前のこの男に逆らった事がない、深層心理の奥底にまで目の前の男に恐怖心を植え付けられたからだ。


王は、そんなパパさんの気持ちもお構いなしに、善行を施すようなつもりでこう言った。


「そうだ、グラニール。お前の息子も我々の様に良き友人になれる様にしよう。

今度お前の息子を宮殿に連れて来ると良い」


パパさんは長男シリウスの顔を思い浮かべながら「ごめん……」と一言呟いてから言った。


「陛下!ご恩寵を賜り感激しております。

シリウスならきっと陛下の期待に応える事が出来る事でしょう」


ああ、あの子も俺の様になるのか……

そう思っていると王はかぶりを振るって答えた。


「いや、シリウスはもう宮殿に仕えて長い。

王子とは年も離れて居る、確かお前の次男はフィランと同じ年ではないか。

丁度良いと思う」

「え?」


パパさんは、家に居る次男の事を想像してみた。

家に居る時は木にぶら下がって懸垂したり、勉強したり、走り回ったり、家の壁に好んで張り付いている末っ子のゲラルド。


正直何を考えているか判らない、少なくとも王宮勤めが出来るとは思えなかったパパさん。

咄嗟に「あ、いや陛下……お言葉ではありますが、あの子では、王宮勤めは難しいかと」と、正直に答えた。


パパさんから見るゲラルドは頭は良いし、しかも妻の血筋を強く引いたらしく、バルザック家の累代の如く運動神経も抜群だ。

ただし性格は大分変わり者だ。しかも自分に似ず魔法が使え無い。

それにたぶん……これが重要だが、あの子はきっと我慢が出来ない。

あの子が我慢している時は、決まって何かやらかす為に耐えている時のみだ。

王宮で吹き荒れる理不尽と、我慢の嵐に耐えられるとは思えなかったパパさん。


しかし、乗り気では無いパパさんを説得しようと、何も知らないホリアン二世は言った。


「じつはフィランは引っ込み思案な所が在ってな、太子には似て居らぬ」

「まぁ、確かにそうです」

「あいつにも友達はいるが、皆おとなしい子ばかりが集まっている。

アレでは人間の幅が広がらないと、私は危惧しているのだ」


この国の王太子であるリファリアスは、ホリアン二世譲りの、気性の激しい剛毅な性格の持ち主なのだが、同じ母親の子であるフィラン王子は内気な性分だ。

ホリアン二世はそんな次男の性格を好ましく思ってはおらず。兄や自分の様に活発な性格になって欲しかった。

なので王は「お前の息子はどうやら元気の良い子らしいじゃないか、丁度フィランに合うんじゃないか?」と言った。

……いわゆるチェンジエージェントになるんじゃないか?と王様は期待しているのだ。


「む、無理じゃないかと……」

「いや出来る、連れてまいれ」


繰り返す、パパさんはイイエが言えないアルバルヴェ人である。


「かしこまりました、あの子の将来の事もあります、ぜひともお目にとめて頂ければ……」


光の速さで前言を撤回したパパさん。

最早(もはや)ここまで来ると脊髄(せきずい)反射の域に近い。



パパさんは思った

もうどうにでもなれ……と。

こうしてゲラルドの運命が少しづつ動き始める。


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