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俺の騎士道!  作者: 多摩川
少年剣士誕生編
44/147

スポンジ同士のような、音もなく起きる衝突。

「ラリー、教室を覗いてから行こうよ」


ルシェルがそう言った。


「なんで?」

「誰かいるかもしれないよ?」


……なるほどそういうモノかもしれない。

特に理由らしきものは無いけど、誰かと合流してから会場に入るのもいいかも。


そう思った俺は。御者に頼んで大学に付属する、剣術学校の側の入り口に馬車を走らせてもらった。

御者にはそのまま正面の入り口の馬車置き場に、向かってもらう。


そして馬車から降りるって時になって、俺はドキドキしながらルーシーの手を取って、降りた先で彼女をエスコートしようと思った。

彼女と手を繋ぎたい……

そしてこれなら理由が自然じゃないか?と思ったからだ。


「ルーシー、エスコートするから手を出して……」


断られるかな?そう思いながら手を伸ばすと、彼女は唇をかみしめながら微笑み、そして俺の手を取った。

ゆっくりと、手を繋ぎながら降りる俺達。

そしてその手を離さないまま、通い慣れた学校の敷地を歩き始める。


……ドキドキした。


繋いだ掌は熱く。俺の心臓は早鐘のように鳴りやまない。

傍にいる女の子の匂いと気配に、どうにか成りたくて、どうしたら良いか分からなくて、これ以上どうにも成らなくなった。

……自分でも良く分からなかったけど、喜びが胸にあふれる。


……そして歩きながらふと思った。

自分よりも背の高い彼女を先導して歩く俺は今、恰好(かっこ)悪くないだろうか?

ちらっとルーシーの顔を振り向きざまに見る、彼女は真っ赤な顔で、俺に微笑みかける。

そこに悪い予感は浮かぶ余地がなくて……

だけど……もっと背が高ければ、と思った。


「どうしたの、ラリー?」

「なんでもない……」


きっと18歳になった俺は、ルーシーよりも背の高い男になっているさ……そうだよ、そうに違いない。

俺はそう自分に言い聞かせる。

黙ったまま手をつないで教室への道を行くと、教室が見える場所から、中に人の気配があるのが見えた。

それを見たルーシーは「あれ?教室に明かりがあるよ」と言った。


「きっと皆だよ!」


俺はそう言って、ルーシーの手から自分の手を離した。

……繋いだ手を見られるのが、何となく気まずく思えたからだ。

そのまま勝手知ったる教室へと二人で中に入る。

明かりが灯る、剣術用の教室の中には、友人達ではなく、パパとマスターボグマスが立っていた。


「パパ、どうしたんですか?」


まさか二人がここに居るとは思わなかったのでびっくりした俺が声を上げると、パパさんは少し微笑んだ後、若干厳しい表情でこう言った。


「ラリー、言葉遣い……

まぁいいか。

ラリー、今日は嬉しい話があるんだ」


パパさんがそう言うとボグマスの顔を見て静かにうなずいた。

ボグマスは俺の顔を見ると泣きそうな顔で微笑みそして、俯く。

やがて彼の眼から涙が落ちた。


「…………」


ボグマスは黙り、そして感極まったように鼻をすすり上げる。


「マスター、どうされたんですか?」

「ラリー……」


ボグマスはそう言うと、俺に近付き、そしてその大きな体で俺を抱きしめながら「ありがとう、お前のおかげだ……」と言って男泣きに泣き始める。

どういう事か分からない俺は、目でパパさんに説明を求めるとパパはこう言った。


「マスターボグマスは、王から正式な叙爵を受け、王に仕える騎士として、騎士爵を復活させることになった」

「ええっ!お、おおおっ。

おめでとうございますマスター!」

「ありがとう、ありがとうなお前ら……」

「フィラン……あ、君はキンボワスの?」


パパは俺と一緒に来たルーシーの事に気が付き、びっくりした表情を見せる。


「はい、初めまして。

ルシェル・キンボワスです」

「そうか、よろしく。

ラリー、コッチに来て、耳を……」


内緒の話があるようだ、俺はパパさんに言われるままルーシーから離れ、パパの元に行く。

彼は俺の肩を抱いて少し歩き、そしてこう耳打ちした。


「今回の件は、ボグマスがフィラン王子を強く育てたことを評価しての物だ。

皆には引き続き秘密にしておくように」

「それじゃぁマスターは?」

「これまで通りここで教師をする。

フィラン王子が11歳になったら此処から離れ、指導教官として働く可能性がある」

「…………」

「ラリー信用しているから(秘密を守る事を)頼んだぞ!」

「分かりました、期待に応えます……」


パパはそう言うと「よし」と言って、俺を解放し、そしてここからボグマスを連れて立ち去った。


「それじゃぁラリー、陽が落ち切ったら会場に来てくれ。

それまで我々は陛下や大公様のお話を聞いてくるから」


去り際にパパさんは、俺に言葉を残して、扉の向こうへと消え去った。

この場に俺とルーシーが取り残される。


「ぐすっ、ぐす……」


不意に鼻をすする音が聞こえた。

ルーシーが感極まったように泣いていた。


「よかった……良かったね、ラリー」


ボグマスが再び世に出た時、立ち会えた彼女はそう言って我が師の立身を泣いて喜んだ。


「うん」


その様子に、俺はなんて優しい子なんだろうと思って、微笑みかける。

そして、そのままその肩を抱き寄せたいと思った。

でも、ちょうどこの時教室の扉が開く。

入ってきたのはフィラン王子と、イフリアネだった。


「や、やぁ……」


間が悪い話とはこういう事。

そして何故か気まずそうな感じで俺に挨拶する王子、そして表情もなく、冷たい目線で俺達を見るイフリアネ。


「……?」


この様子の意味も分からず、俺は王子様とイフリアネの様子を見る。


「あのー、ラリー……

さっきルシェルと手を繋いでいなかった?」


王子がためらうようにそう俺に声を掛けた。

ドキッとなって、思わずルーシーの顔を見る俺。

ルーシーもイフリアネの目線を見てたじろぎ、次に俺の顔を見て何故か横に顔を振った。


「繋いでないよ、全然繋いでない!」


咄嗟に嘘をついた俺。

何故嘘をつかないといけないかも分からず、ルーシーと一緒に、今度は頭を縦に振る。

王子様は「なら良いんだ、僕の見間違えだったみたいだし……」と言ってイフリアネの顔を見る。

彼は「ね?」と言って、イフリアネに同意を求め、イフリアネも、その答えを聞いて納得したのかにっこりといつも笑顔を見せた。


その様子にホッとした俺。

イフリアネはそんな俺を無視して「ルーシー、さっきボグマス先生が出て行ったけど、何かあったの?」と聞いてきた。

そして王子様はそんなイフリアネを無視するように俺に声を掛ける。


「ラリー、外に行こう。イリアンがもう少ししたら来るから」


……何かしらの意図を感じさせる声音。

彼は俺を外へと連れ出したい様子だった。

このきな臭い雰囲気にのまれ、俺は言われるがままに外へと向かう。

こうして辿り着く、扉の向こうの夕焼けの世界。

……外はカラカラと音を鳴らして、寒風が木の葉を舞い踊らせていた。


「ラリー、実は僕の正体がイフリアネにばれていた」

「そうですか……」

「驚かないんだね。

それならこれはどう?イフリアネの家に僕は行ったんだ、どこだったと思う?」

「ダマト伯爵家ですよね?」


フィラン王子は静かに首を振って、こう言った。


「カルオーン家だった」

「はい?」

「シルト大公家だったんだよ……」

「!」


俺は心臓が飛び出るほど驚き、そして王子様の顔を見た。


「こっちは知らないんだね」

「あ、ああ。すいません」

「そこで何を言われたと思う?」

「分かりません」

「僕は11歳になったら、大公領に出来る海洋大学に留学することになるそうだ」

「ええっ!」


あまりに突然の話の連続に、驚きを隠せない俺。

王子はこう言った。


「ラリーも来る?」

「騎士修業が出来るなら……」


俺がそう言うと彼は悲しそうな顔をして俺の肩を叩き「それなら、11の春で分かれるかもね、僕たち……」と言った。


「え?」

「騎士修業は学校に通いながらはできないんだ。

10歳の義務教育が終わったら、皆小姓(ペイジ)になって戦いの術を学ぶ事になる」

「…………」

「ラリー、僕は待っているから。

修行が終わったらもう一度、皆で……」


修行が終わったら……その言葉が自分の中で残響のように広がっていく。

いつか来る終わりの日を、初めて強く意識した瞬間。

終わりなくずっと続くと思えたこんな素晴らしい日々も、やがて終わりが来る、その事に今さら気が付く間抜けな俺。

王子が言ったその言葉で、俺は色々な思い出が胸をよぎった。

初めて会った日、本を貸してもらった事。

乱暴だったルシナン家の子供と喧嘩したこと。

王太后様にビンタされ、山荘を抜け出して、羊に襲われ、一緒に学校に通って、剣友として一緒に剣術修行に明け暮れた事、等々。

たったの3年間、かけがえのない思い出に満ち溢れた美しい日々。

それが終わりを迎える。

それは10歳の冬が終わるまでの猶予だった。

それに気付いた自分。

この胸を襲った、言いようのない感情と衝撃、身体が震える。


王子様はわななく俺に、今おそらく彼が一番知りたかった事を俺に尋ねた。


「ラリー、ラリーはルシェルが好きなんだよね?」


一瞬何を聞かれたのか分からず、俺は間抜けな声で「へ?まぁ……」と答えた。


「イフリアネじゃないよね?」

「もちろん!」


質問の意味を理解しようと、無意識に覗き込んだ彼の目の奥に、静かな怒りの火が見えた。

だけど思い人がイフリアネではないと言えた瞬間、彼の目の奥から怒りは消え失せ、いつもの親切な彼の目の色となる。


「……そうか、分かった」

「…………」

「なんでもないよ、僕らはずーっと友達だ」


急に大人びた表情で俺を見たフィラン王子。

それを見て俺も気が付いた。


……今俺は、彼に踏み絵を踏まされたのだ。

そしてその絵を、俺は正しく踏む事が出来た……


その意味を知り、疑われまいと、彼の目をまっすぐに見返す。


「おーい、おーい!」


不意に、離れたところで声がした。

声がした方角に目を向けると、イリアンとエルザ、そしてシドとクラリアーナがこちらに向かって手を振っていた。

彼等はやや小走りにこちらに近付く。

皆綺麗なお召し物を着ていた。


「あ、こういう組み合わせになったんだ」


王子が、先ほどの大人びた表情を消し、年相応の可愛らしい表情で皆を見つめた。

そして彼らを見ながらボソッと「ラリー、あまり大っぴらにしないほうが良いよ」と言って彼らの元へと歩いて行った。


俺は“何を?”とも聞かなかった。

……ルーシーとの仲の事だろう。

王子様の様子から俺は直感した。

イフリアネが、この事を不愉快に感じていると……




合流した俺達は、寒風から逃げるように教室に入り、8人皆でワイワイガヤガヤとお話に興じる。

先程の事が嘘のように、イフリアネとルーシーは楽しげに会話し、男連中をからかう。

俺達“元!イケて無いズはそれを聞いて憮然(ぶぜん)とした表情を浮かべる。


特に俺は入学当初の印象が、女どもから見ると過去会った事がないレベルで最悪だったらしく、それを散々に揶揄(やゆ)される。

そんな古代の話を、まるで昨日の事のように話すこいつらに、ますます憮然とする。

だって二年前ですよ、二年前!

こいつら先週の昼飯は忘れるくせに、いらん事ばかり覚えてやがって……

イフリアネは「ああ、怒った怒った!」と俺をさらにからかうし。

良いよ良いよ、俺はこの中じゃからかわれる役よ、存分にイジれ、ほいっ。




やがて、時が来て日が落ちかけて暗くなったころ、俺達はここを離れて会場に向かった。


もう会場にはたくさんの子供たちが居て、だけどもみんな大人しく待っていた。

良く見ると年齢層は押しなべて高い、昔の山荘とはだいぶ違う空気が広がる。

中に居る子供たちは皆この大学の関係者だった。

学校に出資した理事や関係者の子供達に、俺達の後輩。

給仕や護衛役の大人を除いてここにはそんな子供達が集まっていた。

そして、子供達が大人しいからだろうか?

ここからでも、遠くの講堂から響く、王様の演説が微かに漏れる。

ただ、その内容までは聞く事が出来ないでいた。


さてそんな会場の様子だが……

並ぶテーブルとイスが規則的に並んでいる。

そしてどうやら席は決まっているようで、俺達は給仕の人に案内されて、真っ白な木綿のテーブルクロスが輝く奥まった席に通された。

バラバラに席に座る俺達。


そして席に座って間もなく……

不意にバタバタとした羽ばたき音が響いて、俺の肩に何かが止まった。


「げぇ―(ちょっと助けてくれ)」

「ペッカー?」


我が家で飼っている、キツツキのペッカーが何故かここに居る。

その事にびっくりした俺。

それを見た皆がワーッと色めき立った。

急に表れた小動物に、子供の感情が湧きたつ。


「ラリー、この鳥知り合い?」


特にエルザが目をキラキラさせながらそう言うので「ああ、俺が部屋で飼っている鳥なんだ」と紹介した。

エルザは言った。


「わー可愛いっ、ブサ可愛い!」


ブサ可愛いってなんやねん!

するとペッカーは大きく頷き「げっ(だろ!)」と言って得意げに胸を張る。


「ラリー、鳥さんはなんて言っているの?」

「えっと、嬉しいみたいだよ……」


とりあえずペッカー語を意訳して伝えた俺。

ペッカーはその後、すぐに真顔になって俺にこう告げた。


「げ―げっ、ぐわぁぐわぁー(そんな事より大変だ、ポンテスが捕まっちまった!)」

「ええ?でも俺大学(ここ)から出られないぞ」

「げぇ、げぇっ!(だからここに居るんだよ!)」


どういう事だよ?

俺はとにかく肩にペッカーを乗せ、皆に断って、大急ぎでこの会場を後にした。

そして急ぎ大学に無数にある空き教室に飛び込み、ペッカーに尋ねる。


「どういう事?そもそもなんでお前らがここに居るんだよ!」

「げぇ―げぇーぐわ!(それはお前の姉貴に聞いてくれ!)」

「な、なんで姉貴が?」

「げーげぇっ!ぐっぐぁぐうわぁぁぁ(あの三姉妹が、研究と称してポンテスを連れてエルフ女の所の持って行ったんだ)」

「嘘!アイツら遂にやりやがったのか!」

「げぇ(そうだ)」

「なんでお前はここだと分かったんだ?」

「げぇ、げぇぇぐわぐわぁぁ?(知らね、たぶん人間の言葉を喋らないからじゃないか?)」

「うん?」

「ぐわ、ふしっ……ぐわぁ、ぐわぁぁぁ(ああすまねぇ、言葉を間違えた……とにかく飛んで追いかけてきたんだ!)」

「うーん、良く分からないが……

とにかく間違いなく、この大学の中に居るんだな?」

「げぇっ、ぐわっ、ぎゃぁぁぁぁっ!(だからそうだって言っただろうがよ!)」

「お、おう、すまん。じゃぁアイツがどこに運ばれたのかもわかっているんだな?」


ペッカーはコクンと一つ大きく頷いた。


「なんであいつは連れていかれたんだ?

なんでか理由は知っているか?」

「ぐわっ、ぐぁぁーあ(知っている事を話すとだな……)」


◇◇◇◇


冬は羊の愛のシーズンである。

そして今年もまた、一日一殺の勢いでチャラ男の愛を邪魔し、別名ラブ・イズ・オーバーの仇名(あだな)通りの活動をしていたペッカー。

牝羊に迫る牡羊を、川の中にダイブさせてゲラゲラ笑っていたら、お腹が空いたので帰宅した。


(ここでゲラルドはお前は最低だと突っ込んだ)


ペッカーはゲラルドの部屋に巣箱を構えているので、いつもはそこで昼食をとる。

今日もペッカーは、部屋でお昼ご飯を食べ始めるのだった。

こうして迎える、うららかな良く晴れた冬の昼。今日の昼ごはんはリンゴ……

性格は過激であるが、実はベジタリアンのペッカーは『冬と言えばリンゴだろう!』と、キツツキのくせに虫も食わんとリンゴをつつく。


するとゲラルドの天敵である、3つ子の鬼婆が、庭で頭を抱えているのがゲラルドの部屋から見えた。

まぁさして興味もないので、リンゴの甘さを楽しんでいると、3姉妹の声が聞こえてきた。


「どうするベガ?」

「どうするもこうするもないよ!

早く研究テーマを決めないと、エニア先生キレるよ!」

「ねぇ、せっかくアルバルヴェに帰ってきたんだし、此処でしか取り組めないテーマを取り上げないと……」


暴力とバイオレンスに満ちたあの女共も、仕事はまじめにやるんだなぁと、妙に感心したペッカーは、窓際に飛んでその様子を見る事にした。


すると、あの3姉妹はふと、あるモノに目を止めていた。

そう、昼の太陽の下で、のんびり昼寝をしている、世にも珍しい喋る猫に……


「ねぇ……あれはアルバルヴェにしかいないよね?」

「そうだよね、でも何をしようか?」

「……ここは考え方を変えよう」

「アイネ、何かいいアイデアがあるの?」

「そうじゃなくて、まずこの国にしかないモノの身柄を抑えた後……」

「抑えた後?」

「そこから何をするか決めたらいい……」

「……それだ、それだねっ」


ペッカーは思った、こいつら何を言っているんだ?と。

すると女の一人が懐から銀の鎖でできた投げ縄をぶんぶん振り回し始め、そしていきなり寝ているネコめがけて投げつける。


「うニャ?ニャ……ニャァァァァぁっ!」


寝ていたらいきなり投げ縄で捕まって、そのまま引きずり回されるポンテス。

ペッカーは唖然(あぜん)としてその様子を見守る。


「やった捕まえたよベガ!」

「うまい!ウィーリアこの猫をぐるぐるに巻いて!」

「アイネ、早く馬車を用意してっ、研究所行くよっ!」


ペッカーは(おいおい……マジかよ、マジなのかよコラッ!)と思って、何とか部屋から外に飛び出した。

するとやけに行動が素早い3姉妹が、「助けてニャァァァァっ!」と叫ぶ猫をそのままに、馬車に乗り込み、そして走り出した。

ペッカーは叫ぶ、待てコラァっ!絶対に逃がさねぇぞ、このクソ女ぁぁぁ!


そして空からこの馬車を追いかけたのだ。


◇◇◇◇


「げぇげっげぇー(と言う訳だ)」

「ああ、遂にあいつらは誘拐に手を染めたのか……」

「げっげっげっ、ぐわぁー!(面白い事を言わなくてもいいから、俺を手伝えよ!)」


俺は聞きたくもないトラブルを聞かされて、もうね……正直逃げたい。

だけど目の前のキツツキは、絶対俺を逃がそうとはしないだろう。

腹をくくって、あの鬼婆と対峙(たいじ)しなければいけない時が来たようだった。


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