ファラオでガンジーなマイキャットと、王子様のイケて無いズ。
俺を王子様に紹介すると、パパさんはサッサとどこかに立ち去った。
……たぶんあれはうるさい子供たちが苦手なんだろうな、きっと。
「…………」
『…………』
パパさんが居なくなった瞬間、あたりに何とも言えない沈黙が広がっていく。
……いやまぁ、後ろで絶えず響くチャイルドボイスのサウンドはいつでもノンストップなんだけどね。
とにかく今はとにかくこの空気を何とかしたい、そう目の前に居るこの陰鬱な空気の連中。
「…………」
……黙ったまま、俺をじっと見ないでほしい。
て、言うかどうなの?このコミュニケーションの取り方。目と目で通じ合えないからしゃべってほしいんだけど。
特に王子様、あなた目上なんだから、貴族のマナー通り俺に話しかけてもいいのよ?
『…………』
しゃべらんすわぁ、本当にしゃべらんすわぁ。
いや、もうこれはあきらめて俺が生前のコミュニケーションスキルをフル活用するしかないかぁ。
ええい、ままよっ!
「はじめまして私の名前はゲラルド・ヴィープゲスケと申します。
本日はよろしくお願いいたします。
皆様の名前をお伺いしてもよいですか?」
とにかく明るい声、楽しげな声で話しかけた俺。
王子様とその取り巻きの3人は互いに顔を見合わせると、やがてそのうちの一人、色の白い男の子がぼそぼそとした声で言った。
「は、初めましてイリアン・ホーマチェット……ごにょごにょ」
……最後、何もしてないうちに心が折れたのか消えてしまいそうな顔で、言葉にならない声で自己紹介したな、イリアン小僧。
……おじさん、君の将来が不安になってきたよ。一応同い年ではあるんだけどさ。
そしてその隣に居るのが、明らかにこの国の人間の顔立ちではない、肌の浅黒い子供で、この子もまた小さな声でボソボソとあいさつした。
「初めましてイリアシド・ネリアースです。
聖地で生まれて……」
「…………」
「うん……」
いや、だから何?
聖地で生まれて、その次は?
『…………』
え?しゃべらないの?会話終了?
気なるんだけど、ていうかなんでそこで会話を止めるんだお前!
おいっ!聖地が何なんだっ?
いや、いや。落ち着けゲラルド、お前はこのコミュ障達と仲良くする為に来たんだろ?
怒ったら負けだ、俺は勝利に次ぐ勝利を重ねなきゃいけない!
パパさんに仕事ができることを証明しなければ。
よーしよし……落ち着いてきたぞ。
最後の一人王子様の自己紹介を……おまっ、俺を無視してこっそり本なんか読んでんじゃねぇよっ!王子、そこの王子お前の事だよ!
……まずい、マジでこいつら強者ぞろいじゃねぇか。
しょうがない、質問するしかないようだ。
「殿下、よろしければ殿下の事を教えてください」
俺はそう言って、殿下に言葉を請うた。
すると彼は「うん……」と言って、本の世界に没頭……ぬぅぅぅぅぅわぁぁぁぁっ!
俺は耐えきれなくなって、急いで部屋の外に飛び出した。
するとそこには侍従長と仲良くお話ししているパパさんの姿が……
助けてっ、パパァァァァァ!
「げ、ゲラルド、どうした?」
「パパぁ、会話が続かないよ!
どうしよう?どうしたらいい?」
するとパパさんは口をへの字に曲げて、じっと俺の目を見た。
やがて何かをあきらめたかのように溜息を吐くと、指で地面を指し示し「我の名の元に、我が眷属を召喚せん、出でよポンテス・ヴィープゲスケ」と、呪文を唱えた。
すると“ポン”と言う軽い音共にはち割れの猫が現れ……
あぁ、ネコお前か……まぁでもこの際、居ないよりは良いかもな。
現れるなりネコは口に一枚、ビーフジャーキーを咥えながら「ママにゃん、踏み踏みしてあげるニャ」とご機嫌そうにのたまう。
次の瞬間、俺と目が合い“はっ!”となった表情をしたネコ、コイツはその後これ見よがしに舌打ちし……
このクソ猫め……まぁ、良い。今日は許す、このままあの陰気な連中の中に放り込んでやる。
「ゲラルド、後はポンテスと話し合いながらなんとかしなさい。それでは侍従長、またあとで……」
「ええ、分かりました、ご子息は預かります」
パパはそう言うなり、ネコと俺を残し、溜息を吐きながら廊下の向こうへと歩いて行った。
……失敗したみたいです、すみませんパパさん。
まぁ、こうしてポンテスに助けてもらう事となった俺。
俺は……猫の手を借りたいとはこういうことと割り切ったので、ネコにこれまでのいきさつを話し、助けを求める。
するとこの最近調子に乗っているネコは尊大な態度で俺にこう言った。
「はぁ、だらしないニャぁ。子供の世話一つ出来ニャイなんて、情けニャイ」
「悪かったな!」
俺はさっきのパパさんの溜息がショックで、何も言い返せず、ネコの言い草に大人しく従う。
ネコは「今日は珍しく素直じゃニャイか、だったら傍でニャーの仕事の進め方を学ぶと良いニャ」と、偉そうに言った。
イラッ!とするけど我慢した俺は「それじゃあ、たのみます」としおらしく言って、コイツを部屋の中に入れた。
―30分後
「きゃぁぁぁあ、私の猫ちゃん!」
「違う私のっ!私のぉっ!」
はち割れの猫は人生に絶望した表情で5・6人のお子様に振り回されていた。
色とりどりのリボンでぐるぐる巻きにされ、ピンと伸びた背筋が凛々(りり)しいファラオのような姿である。
……憐れ、ネコ。殿下の元にたどり着く前に成仏したか。
今度三角形の箱の中に入れてあげよう。
ピラミッドの代わりに……
彼は穏やかな表情で眠ったように死んでいる。時折思い出したかのように“ニャー”と鳴いているのがまたいい味を出している。
抵抗するのをやめ、全てを受け入れた彼の明鏡止水と言った表情が、なぜか個人的にはツボだった。
ファラオにして、ガンジーな猫。
……後でママさんに報告してあげよう。
「ねぇ、あのネコ本当にしゃべるの?」
そんな猫の様子に、あのしゃべらない王子が珍しく食いつく。
俺はここぞとばかりに、明るい声で王子様に話しかける。
「そうなんですよ、いつも家じゃペラペラとしゃべるんですけど、今日は調子が悪いみたいですね」
「へぇ、どんなことを話すんだろう?」
「別に大したことは言わないですよ。
そうニャぁ、美味いニャぁ、お前はニャにも分かってニャイニャぁ。
まぁこんな感じです」
「へぇ、ちゃんとお話ししてみたいなぁ」
「お任せください!なんならずっと貸してもいいですよ」
俺はそう言うと、白と黒の二人の小僧に「ねっ!」と同意を求めた。
二人は初めて笑ってうなずいた。
ようやく空気が良くなったようである。
そう思っていた次の瞬間。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!」
ネコがすごい悲鳴を上げた、なんだ?と思って振り返ると、意地の悪そうな体の大きな子供が猫の首を捻じるように持って……
この野郎っ!
「ふざけんなてめぇ!」
俺は次の瞬間カッとなって飛び出し、体の大きな子供を突き飛ばし、ネコを取り戻した。
「大丈夫かポンテス!」
俺は急いでリボンを解き、その結果自由になった瞬間、ポンテスは部屋のソファーの下に逃げ込んだ。
ソファーの下からおびえた彼の息遣いが静かに響く。
それを聞きながら沸々(ふつふつ)とこみ上げる怒りが、俺の心を染め上げる。
突き飛ばされた子供は「お前、一体どこの奴だ!」と俺に向かって叫んだ。
俺は怒れるままにそいつをにらみつけると「ネコになんてことをするんだ!」と叫ぶ。
次の瞬間部屋の中に居る兵士とか侍従とかの大人が、次々と俺とアイツの間に割って入り、俺は気が付いたら王子様達と一緒に隔離された。
ソファーの下で一部始終を見守っていたポンテスも、急いで俺の傍にやってきて、こちらのイケて無い組に加わる。
こうしてこの部屋は、本棚近くのわずかなスペースにひっそりと暮らす僕ら“王子様とイケて無いズ”と、圧倒的多数で部屋の大部分を占拠した“リア充きっズ”で真っ二つに分かれる事になった。
俺と猫は沈んだ顔で床に座り、この顛末を後悔していたがここで王子様がにっこりと笑って言った。
「気にしなくていいよ。君は何も悪くないから」
「……ぐすっ」
情けない話だが、悲しくて悲しくて何も言えない俺はただ肯くだけだった。
普段から男が嫌いと公言してはばからない、ウチの猫はそんな王子様が気に入ったらしく、王子様に大人しくなでられている。
しばらくして俺は王子様の名前がフィランと言うのだと教えてもらった。
そして改めて自己紹介を行う。
……たぶんこの一件で、本格的に“イケて無い組”の仲間と認められたのだろう。
世間からは遠ざかった気がするが、まぁいい……
少し思っていたのとは違う経過を辿ったが、こうしてかねてからの思惑通り、王子様達と仲良くなり始めた俺は、彼らの事をいろいろと聞くことができた。
それによると元々王子様と仲が良かったのはイリアン・ホーマチェットで、彼はこよなく本を愛する子供だった。
しかも驚くなかれ、伯爵家の唯一の男の子で、後に大領を引き継ぐらしい。
王子様と同じ趣味を持つ彼は、出会ってすぐに王子様と仲良くなることができたそうな。
……サラブレッド中のサラブレッドだね。
そして昨年聖地から来たというイリアシド・ネリアースの方は、こちらは何と聖地を治める正フォーザック王国のネリアース王家の出身らしい。
なんでも疎開先としてこの国に送られたそうだ。
聖地にある国は全部で6っつ。
そのうち最も格式が高い、王を戴く国は聖地を首都にする、聖フォーザック王国ただ一つである。
聖地での戦争は現在予断を許さない状況であり。ネリアース王家はその血筋の断絶を逃れるために、年端もいかない子供を国外に疎開させることにしたらしい。
まだ6歳なのに不憫な話だ。
こんな理由では、彼の表情が暗いのも当然だろう……
ともあれ、こうしてここに居場所を提供されることになった俺は、本格的にここに腰を落ち着けることにした。
すると王子様がこう俺に言った。
「ラリーはグラニールの子供なんでしょ?」
ウチのパパさんを親しげに呼び捨てた彼に、僕はパパさんがどれだけ王家に可愛がられているのか、一瞬垣間見る気がする。
とりあえず「ええそうなんです!」と元気よく返事を返した。
「だったらこの本を知っている?」
そう言ってフィラン王子は一冊の本を、本棚から引っ張り出して俺に渡す。
「豪傑バルザック物語……」
思わず本のタイトルを口に出して読んだ俺。
それを聞いた猫が「ママにゃんの実家の名前と一緒ニャ!」と言って、本の背表紙を見つめる。
この様子を見たイリアシド・ネリアースが「その本おもしろいよ!」と声を発した。
「もしかして君はこの主人公の子孫じゃないの?」
そう言ったのはイリアン・ホーマチェットである。
俺自身こんな本があったとは知らなかったので、興味がわき床に座ったまま本を開くことにする。
ネコは珍しく俺の懐に首を突っ込むと、俺の手元の本に覗き込み「ニャーの知らない言葉ニャ、おい読んでくれニャ」と声を発す。
「ええー、しょうがないな……」
まぁ、コイツのおかげで空気が良くなったし、大変だったからそれぐらいは良いか。
俺はネコのお願いを聞き入れ、本を読み上げる事にした。
◇◇◇◇
本の内容を要約して伝えると。
主人公のワルダ・バルザックは、アルバルヴェ王国の首都セルティナ近郊に住む、農民の3男であった。
本名はワルダ・マロルと言う。
農家も貴族の家も、後継ぎ以外は自分で生活の道を切り開かないといけないのは、どうやらどこも一緒であるらしく、主人公のワルダ・マロルもそんな悩みを持つ一人だった。
このまま実家の厄介者として、一生後継ぎである長男の畑を耕すことに疑問を感じた彼は、志願兵募集の張り紙を見て、自分の運命を軍隊に掛けてみようかと考えた。
そこで手にした斧を切り株の上に放り投げ、それが右側に跳ねたら、軍隊に行き。
左側に跳ねたらこのまま畑を耕そうと決める。
……投げた斧は右にも、左にも行かなかった。まっすぐ切り株に突き立ったのである。
これを見て彼は神の意志を推し量って、次にこう悟った。
「こんな斧で自分の意思を決めるのではなく、俺がやるべきと思ったことを、俺の意志でやれと言うことに違いない!」
次の瞬間彼は志願兵を集める、役人の元へと走り出した。
こうして彼は兵士として戦場を駆け巡る日々を始めたのである。
兵士になった彼は、その日から自分の人生に一つの約束を定めた。
自分がやると決めたことを何が何でもやり遂げるという物である。
彼のこの生き方は時に無謀であり、そして何よりも危険を伴った、それでも必ず成し遂げて行ったワルダ・マロル。
誰よりも弓が上手くなろうとしたときは、他の人よりも練習を増やして、軽装弓兵の中で一番うまくなり。
鎧を与えられ鎗兵の一人になった時は、敵の騎士を必ず倒すと決めて見事に倒した。
次に鎗兵の小隊長に出世した時は、公平に気前よく報酬を払い、必ず部下の顔を名前、家族関係を暗記しながら親身に世話をし、それでいて誰よりも厳しい訓練を部下に課した。
こうして8年の月日が流れた後、彼は周りの兵士から噂の的となって、有名になった。
誰よりも戦果を稼ぎ、小隊でありながらも圧倒的な存在感を放つ、ワルダ・マロルと彼が率いるこの小隊。
彼はとある辺境伯のお抱えの戦士団の一つとなり、そこでいったい何と間違えたかは不明だが、辺境伯から本名の“マロル”ではなく“バルザック”と呼ばれるようになる。
ワルダ・マロルも思うところがあったのだろう。
本名よりも勇敢そうな語感だからと言う理由で、この辺境伯がつけた名前を家名とした。
以後彼はこう呼ばれる事になる……ワルダ・バルザック、と。
当時のアルバルヴェ王国は戦の絶えない時代だったのも追い風となり、彼の軍人生活は大いに繁盛した。順調に出世し、規模も年々大きくなり、遂に王の目にも止まり始めるバルザック隊。
この仕事に天分を感じ始めたワルダ・バルザックは戦争で活躍するために規模を大きくすることを望み。
そして隊は大きくなったゆえに、さらに分け前が必要となった。
一人一人の兵士たちの事情がそうさせるのだ。
軍人になるのは大きな報酬を求めての事だ、そうでなければ命がけのこの仕事なんてするやつもいない。
借金持ち、ギャンブラー、ろくでなし、戦闘狂に、凶状持ち……
くずの巣窟かそれとも多士済々なのか。
とにかく彼らは稼げる大将として、ワルダの元で戦士家業に励む。金のためだ。
最終的にバルザック隊は300人の大所帯となる。これは辺境伯の配下の兵士の、実に4分のⅠに該当する数で。
アルバルヴェ王国全体を見回しても、半ば独立した非正規軍の中では、1・2を争う規模である。
こうしたこともあり、彼らバルザックとその仲間たちはさらに戦争を求めるようになった。
この時代のアルバルヴェは今と比較にならないくらい小さな国だ。
その領土は当時セルティナと、その他2つの都市だけであり。
かつてはマウリア半島西部のすべてを治める大国も、ちょうどこのころはすっかり衰えた状態だった。
悲しい事に周囲から、終わったかつての大国だと思われていたアルバルヴェ王国。
誰がどう見ても、もはやただの弱小国に過ぎない。
しかしこの時、王国は一人の王を選出した。
それがリグリッド大王である。
英主リグリッド大王のこの時代から、アルバルヴェは徐々に周りを圧倒し始める。
数々の戦争に勝ちながら領土を広げるリグリッド大王とその戦士たち。
その中で頭角を現すバルザック隊。
そんなある時、リグリッド王は同盟国に裏切られ、シルト大公国との戦いの最中、敵国の中で孤立してしまう。
急ぎ本国に撤退しなければ全滅してしまうそんな最中、王は最も厳しい殿を務める家臣を探した。
殿とは撤退する軍において、軍の最後に残り、追撃する敵軍を食い止めたり、遅らせたりして時間を稼ぐ役である。
当然最も危険で、全滅する可能性が大きい役目だ。
沈黙が広がる、王と家臣団。
すると家臣たちの外側、末席の陪臣達が座る席から声が上がった。
声の主はワルダ・バルザックである。彼は言った。
「陛下、生きてお帰りになられましたら、家族の事を頼んでもよろしいでしょうか?」
……なぜ、非正規軍の彼がその様な事を申し入れたのかは誰も分からない。
伝える者はもう誰もいないからだ。
分かっているのは、上品とはとても言えなかった彼の部下たちもまた、その任務を従容と受け入れたという事だけである。
リグリッド大王は彼の言葉に感謝し、そしてワルダに殿を務める事を命じ撤退を開始した。
出発したアルバルヴェ軍、先発した部隊は撤退をしながら、ラニッツ峠に敵の進行を食い止める防柵と矢玉や食料、魔法のスクロールをいくらか残した。
そこに残る事になったバルザックとその部下約300名。
迫る敵軍は20倍以上だった。
人一人がやっと通れる狭いラニッツ峠の戦いは3日続いた、疲れ果て傷つき、そして倒れて行ったバルザック隊は、9月5日、照り付ける日差しの下で遂に玉砕して果てた。
……生き残りは一人もいない。
その姿を見た敵も、バルザック隊への称賛を惜しまなかったという。
この犠牲により、リグリッド王は撤退に成功した、帰国した彼は約束を守るために、まだ7歳だという子供を召し出した。
ワルダ・バルザックの長男クリオンである。
王は忘れ形見となったワルダの息子クリオンに、騎士爵を与えることとした。
こうして貴族家であるバルザック家が誕生したのである。
やがてクリオンは戦場で父親にも負けない活躍をし、家格を男爵へと引き上げた。
こうして残されたバルザック家とその部下の家族は、立身出世を果たしたのである。
後の世に生きる者たちよ、かつてこの大地に真の豪傑がいたことを覚えていてほしい。
私の話はここまでだ。
めでたし、めでたし……
◇◇◇◇
「……すごいや」
俺は本を読み終わると何か熱くこみ上げるものがあって、思わずそうつぶやいた。
ネコも同じだったらしく「小僧ごくろう!」と……こいつ。
とりあえず猫の首根っこをもって嫌がるコイツを宙釣りにしておく。
「離せにゃ!痛いニャ!」
「お前、感謝の仕方を考えろ!」
この様子を見て楽しげに笑う、王子様をその仲間たち。
……そんな時だった。
「おいっ!お前よくもさっきはやってくれたな!」
俺たちに声をかける声が聞こえたので振り返ると、先ほどうちの猫を痛めつけた子供が立っていた。
そしてその周りには4人の子供たちが。
どうやらまだまだトラブルは続くようだ。