異袋の中身
「そういえば・・・疾風、お前、防具が欲しいって言ってたよな?」
夜斗が、鳥の骨を見つめながら、疾風に話しかける。
「え・・・?あ・・・あぁ、うん」
曖昧に言った疾風を、夜斗はニヤニヤと笑いながら見つめる。夜斗は疾風がかまいたちの衣を盗り損ねたことを知らないはずだが・・・疾風は疑いの目で彼をにらみつけた。
「欲しい?」
「・・・・・・そりゃあ・・・欲しいよ」
夜斗は床に置いてあった、1つの袋を持ち上げた。一見・・・ただの袋にみえるのだが・・・実は、この袋も神器である。袋の神器の名は、「異袋」。人や動物の体内にある、あの袋ではない。異次元へとつながっていると言われている袋で、とっても便利なものなのだ。それに加え、異袋は、世界にいくつも存在する、「多神器」というものでもある。多神器の中でも、ずば抜けて便利なのは間違いないだろう。
そのとき、異袋に・・・女主が食いついた。
「あら・・・夜斗・・・それ、異袋じゃない・・・・・・」
「だめですよ、女主・・・あげませんから」
「ケチね」
「あんたに言われたくないね」
そう言いながら、夜斗は異袋をあさっている。異次元につながっているということで、異袋は、好きなだけものを入れることができる。さすがに、家などを入れることはできないが・・・愛用している者も少なくはない。夜斗もその1人なのだろう・・・異袋をあさるその手はなれたものだ。そして、目的のものをつかんだのか、その表情が明るくなった。
「あぁ、よし!あったぞ、疾風!!」
夜斗が、異袋から引っ張り出したものは・・・。
「・・・それって・・・・・・かまいたちの衣!?」