防犯対策
「・・・・・・?」
窓の奥に人影が見える・・・・・・のだが、何やらよくない雰囲気のようだ。外からでも聞こえるほどの大声で、口論をしている。仲間割れ・・・・・・だろうか?。
・・・・・・なんにせよ、この状況が疾風にとって都合のいいことに間違いはないだろう。彼はニヤリと笑うと、館の壁を登り始める。壁と壁の間の隙間に、彼は手甲に仕込んだかぎづめを押し入れ、体を空中に固定した。それを何度も、交互に繰り返し、器用に上へと登っていく。そして、1つの窓の元へとたどり着いた。あらかじめ開けておいた窓は・・・・・・閉められていないようだ。小さなため息をつき、疾風は館に侵入する。
「お邪魔しますよ・・・・・・ってきたね!?」
館の中は、外見の美しさにそぐわない、ひどく薄汚れたものだった。疾風は顔をゆがませうめく。
「掃除ぐらいしろよ・・・・・・」
クモの巣などをうらめしそうににらみながら、疾風は、事前に調べておいた、かまいたちの衣のある部屋に向かった。1階に続く階段の前は忍び足で駆け抜け、そのほかの場所は普通に歩く。とことん気づかないな・・・・・・と疾風は内心あきれ、うめいた。いつもなら、兵が飛んでくるのだが。
「ここだな・・・・・・」
疾風は1つの部屋の前に立っていた。この部屋の扉も薄汚れている・・・・・・。疾風は少し警戒しながら、扉をゆっくりと開けた・・・・・・が、何も起きない。
「防犯対策してないの・・・・・・?」
たまらず、ため息がもれた・・・・・・。
今回から、疾風の物語が本格的に始まりました。皆さんも、防犯対策はちゃんとしましょうね。
それでは、また、次のお話も読んでいただけると光栄です・・・・・・。