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神剣

お試し掲載です。誤字・脱字・表現不足はおいおい直します。店主は30代の設定ですが脳内補完してくれると助かります。それではお楽しみください。

「ふはははは、聖騎士よ。いつまで逃げ回るつもりだ?」

 漆黒の崖山で火を噴く邪竜が叫んだ。

 それを切り立った岩に隠れていた聖騎士ランスロットは恐怖と悔しさに歯を噛みしめながら聞いていた。


 邪竜ヴァキア。山脈に棲みついた王国を跋扈する魔物を召喚している元凶だ。

 それを打ち滅ぼさんと聖騎士は国内を旅し、勇敢な仲間と聖なる剣エクスカリバーを得て万全の状態で討伐に臨んだ。


 賢者が山を埋め尽くす魔物を禁じられた炎で薙ぎ払い、聖なる力を持つ姫がその力で邪竜を弱め、古エルフが精霊の加護の弓矢でじわりじわりと追いつめていった。トドメとばかりに聖騎士のエクスカリバーで急所である逆鱗を一突きした。


 断末魔が全ての存在を震わせた。

 聖騎士パーティーは王国に平和が戻ると歓喜した。

 古エルフは荒れた森をまた素晴らしい地に戻そうと決意した。魔法使いは弟子にこの魔法は危なすぎて教えられないと苦笑いしていた。姫はランスロットに結婚しましょうと紅潮した顔で逆プロポーズした。聖騎士ははにかみながら、国王様に怒られるよと言った。



「満足したか愚かなる聖騎士どもよ。あれごときで我を滅ぼせるとでも?」



 巨大な影を邪竜ヴァキアと気づいた時点で古エルフが空を斬る速度で吹き飛んだ。逃げろと叫んだ魔法使いは黒い炎で焼かれ、二人をかばう姿のまま消し炭になった。姫と一緒に逃げた。体勢を整えるために走って心臓が破裂するかと思うほど駆けた。


 夕闇は宵闇となり夜のとばりが二人を隠してくれた。


 二人殺されるよりは王国へたどりつき再度討伐隊を組もうと決めた。聖騎士は姫を一足先に逃がし…自分はオトリになろうと決意した。


「わかりました。私が森でランスロットが崖から二手に分かれましょう」

「姫…愛しています。どうかご無事で…」

「ランスロット…私もです…」


 それから幾ばくも経たぬうちに闇夜に明るい邪竜の炎があがった。その意味を知りランスロットは膝をついた。身代わりにすらなれなかった自分を悔いた。


 岩の上に立ち、ランスロットは邪竜に対して最後になるであろう口上を叫んだ。聖剣エクスカリバーを高らかにかかげ、命をもってして差し違える覚悟だった。


「邪竜ヴァキアよ!私はここにいるぞ!姿を現すがいい!!」


 羽ばたきと共に大質量の邪竜が着地すると岩場がバラバラと崩壊していく。ランスロットは周りが絶壁になる場所を選んでいた。願わくば鋭くそそり立った岩場に突き刺せればと。


「残るはお前のみだ…少しずつ肉体をこの爪で削いでやろうか。それとも牙のほうが好みか?それともブレスか?」


 纏わりつくような嫌らしい笑みを浮かべたまま聖騎士の動きを待っている。どうあがいても体力の尽きかけた聖騎士など取るに足らぬといった具合だろう。

 無言のまま走り出すランスロット、仲間と…姫の仇だ、と玉砕覚悟でエクスカリバーを握りしめ最後の命の灯火を燃やした。


 強力な爪でミスリルの鎧は削がれ、焼けるような毒の牙が左肩をえぐった。あと一太刀でも入れられれば満足して死ねると思ったが、それすらも叶わなかった。丸太のような尻尾で薙ぎ払われ衝撃で吹き飛ばされるとエクスカリバーは根元から折れていた。


「ふははははは、久しぶりに楽しませてもらったぞ聖騎士よ。褒美として最大級のブレスで逝かせてやろうではないか!!」


 全身の骨と筋肉が悲鳴をあげながらも片膝があらぬ方向に曲がっていても立ちあがった。折れた刃を左手に、短くなった剣を右手に持って終わりへと走り出そうとしていた。


(…あれは………魔方の障壁か。なぜ今さら?)


 邪竜は極大の火を吹かんと細く長く息を溜めはじめていた。その胸元には『ガラスの板』だけがあるのだが、邪竜は気づいていないのだろうか。


(もしかしたら弱点を守っている!?そうだ、そうに違いない)


『自動(高速)』と書かれた『ガラスの板』の向こうの本体を貫けばまだ勝機は残されているかもしれない。血が流れるのもおかまい無しに諸刃を握りしめた。走り込めればいいのだが、片足では飛び跳ねていくしかない。


 すでにヴァキアの溜めは終わり、眼下の聖騎士ランスロットをにやりと確認した。やっとガラス板にたどり着いたランスロットは劫火に焼かれようとも、と覚悟をした。


 シュッと高速でガラス戸が右に移動した。その奥には薄暗いダンジョンが広がっている。


(どういうことだ?…はっ!?くる!!!)


 邪竜ヴァキアは己ごと山を赤く染めるブレスを吐き続けた。まるで歓喜の雄叫びであり、絶大なる力を誇示せんがために天まで燃やし尽くさんとした。空の雲までその灼熱の光は届き、遠い町の住民にも見えるほどだった。


「住民に避難命令だ。すぐに来るぞ…」


 町の砦から山を監視していた将軍が、聖騎士の敗北を確認した瞬間でもあった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ちゃらららららーん、ちゃららららー♪


 チャイム音がなると自動ドアはシュッと高速で閉まる。それと共に背中が火事になってる男がばたりと倒れてきた。


 そこは大量の商品が陳列されている薄暗い倉庫だった。その最も広いスペースで事務所用椅子にあぐらを掻きながらパソコンをいじっている男がいた。灰色のスウェット姿の男性は驚くでもなく平然とした態度でチラリと流し見した。


 慣れた感じで足元にある消火器でブシューと白い粉を舞わせながら消火活動をする。火が完全に消し止められたのを確認すると、一旦パソコンへ戻りなにかをタイピングしていた。


【ひまじん:ごめ、客来たから離席する。30分くらいで戻る、てか追い出す】

【x俺最強x:んじゃあ俺速攻メシするわ】

【六花:私も茶碗洗ってお風呂ためてくるね】

【ひまじん:レイドボス出たらパーティー解除してやってて】

【白猫LOVE:追い出すとか鬼店主wwwてか何の仕事してんのww】


 ネットゲームの仲間にパソコンから離れることを伝えると男の近くで畏まったように挨拶した。


「いらっしゃいませ。ようこそ『雑貨屋ひまじん』へ、本日はどのようなご用件でしょうか」

「かはっ…こ、ここはダンジョンなのか?邪竜は…うっ」


 邪竜ヴァキアの毒と黒炎を浴びて瀕死のランスロットはそれが夢か現実かの判断ができないほど朦朧としていた。直撃をうけていない肺もブレスの高温で焼けており呼吸音も風を切った音がしている。


「いやー薄暗いけど一応は雑貨屋なんすけどって、これまた酷い」

「ヒュー…姫……もうしわ…」

「ウェルカムドリンクってことでサービスです」


 店主はおもむろにポケットから青い液体の入った試験管を出すと、蓋がわりに詰めていたコルクを親指でぽんっとはずし倒れているランスロットの口に注いだ。すると体から蒸気が発生しあっという間に傷がふさがっていく。挫傷や裂傷だけでなく、肉体に巡っていた毒や焼けた肺も全てが正常になっていた。


「かはっ、すまない。助かった。これは霊薬か?というかここは何処なんだ。私は邪竜と戦っていたはずだが」

「…雑貨屋です。俺は店主の…ひまじんと申します」


 一瞬本名を名乗ることをためらい、ネットゲームで使用しているハンドルネームを名乗る。雑貨屋の名前にもしているのでさして問題はないだろうと考える。

 ランスロットは辺りを見回すとダンジョンではなく商店のような佇まいをしていることに気づいた。そして霊薬を惜しげもなく私に飲ませたこの店主は何者だろうという疑問が浮かぶ。それと共に邪竜ヴァキアへの敗北と仲間の死を思出し始めむせび泣くランスロット。


「あのーとりこんでるところ非常に申し訳ないんですが、あと30分くらいで閉店なんですが入用のものがあればお早めにお願いしたいんですけど」


 店主はあたまを掻くとパソコンの画面を確認するために椅子へと戻ってしまった。


【ひまじん:30分で戻れるか自信なくなってきた】

【白猫LOVE:大丈夫w誰も戻って来てないwww】

【ひまじん:引き続き接客】


 五時からはネットゲームの大事な狩り時間であり、話が一方方向ぎみのランスロットにやや店主の口調がフランクになる。


「見た目から察するに騎士さんでしょ、ドラゴンと戦争中なのそっち?」

「あ、ああ、邪竜ヴァキアと戦ってる最中にここに来てしまって」

「戦闘中来ちゃったパターンね。銃ってか剣派かな、もしかしなくても」

「ここは雑貨屋と言っていたが剣もあるのか!?」

「ドラゴンの竜鱗も貫けちゃうのなら何本もある。めっちゃ高いけど。あっちの壁沿いにあるから見に行きますか」


 こちらを見ないで光る魔法板のようなものにくぎ付けの主人は、立ち上がると広すぎる薄暗い店内を歩きはじめた。鎧をガシャガシャ鳴らしながら追いかけるランスロット。


「ここの説明書きと値段読めますよね?」


 壁と棚に立てかけられた様々な形の剣が100以上取り揃えられており、小さいPOPで価格と説明書きがある。それは日本語で書かれているがランスロットにはその文字が自国の文字としてホログラムのように浮き上がって読むことができた。


「予算と倒したいドラゴンの強さ教えてもらえればチャチャッとお勧めの剣だしますけどいかがいたしますか?」


 身振り手振りで邪竜ヴァキアの説明を受けると、8トンダンプくらいある化け物だということが判明した。そのうえ、焼けるような毒牙と爪、それから尻尾攻撃に灼熱のブレス。そのうえ空まで飛べると…


「倒せるのもありますけど、ちょっとお支払のほうで…」

「大事な仲間もやられている。それに…婚約者である姫も…くっ」

「あー気持ちはわかるんですけど、こちらも…姫!?」

「そうだ、国王の1人娘であり私の婚約者『だった』女性だ」


 店主は客の前でポケットから煙草を取り出すと、100円ライターでそれに火をつけた。接客態度は0点越えてクレームものである。煙草を思い切り肺に悪そうなほど吸い込み上空に吐き出すと、だるそうな店主はカッと目を見開いた。


「トカゲ一匹ぶっ殺して、そのお仲間全員助けられれば何をくれる?」

「さきほどの霊薬で生き返らせれるのか!?あっ…そ、そうだな。倒せれば国から栄誉と爵位くらいは…」


 ぽんとランスロットの肩を優しくたたくと店主最高の笑みを浮かべて反対の手の人差し指と親指をくっつけ下品にも『金よこせ』と圧力をかける。


「わかった邪竜ヴァキアを倒し姫と仲間を復活させてくれたら、褒賞に金貨1000枚をもらってそれを渡そう。いや、待てよ。姫が生き返れば私が新しい王になるのだ………国の金銀財宝をかき集めて渡すと、聖騎士ランスロットの名にかけて誓おう」


 腕組みをしウンウンと頷く店主。


「これレコーダーといって声を記録できるんだ。『わかった邪竜ヴァキアを倒し姫と仲間を復活させてくれたら、褒賞に金貨1000枚をもらってそれを渡そう。いや、待』カチッ。こっちも商売なんでね」


 言質がとれた店主は10億円の価格がついた鋳造品である鍔も柄も一体成型のわずかに反りのある片刃のロングソードを壁から取り外した。刀身には謎の線形模様が刻印されている。


「説明読めるか」

「ああっ、大丈夫だ。商品名:名称無し。金属工学の粋を集めて合成された合金であり、NC工作機で刻印された複数の紋章術で如何なるものをも切り裂き、あらゆる攻撃からも身を守ってくれます。時間軸を取り除いているため壊れません。返品はお断りしています。スマン店主わからない言葉がある」

「魔法剣だと思ってくれ。名前は適当につけてくれ。それと次はこっちに来てくれ」


 今度は『医薬品』と表示されている棚に案内された。そこで店主がラベルの無い500mlペットボトル1本を手渡してきた。中身は溶けた金属のような、まるで水銀のようなもので満たされていた。本体にマジックペンで『ナノ君自動増殖タイプ試作品2号』と手書きで書きなぐられている。


「死んだのって2・3人?」

「ああ3人だ、ブレスや体当たりでな…」

「じゃあ一本で足りそうだな」


 ランスロットは抜き身の魔法剣と不思議な容器を渡されて困惑ぎみだ。店主は床で煙草を踏み消すと手短に説明をした。


「とりあえず、店を出た瞬間に同じところにでる。その液体をどこでもいいからばら撒いて、そいつらの名前を叫べ。そしたらお前、あー名前なんていうんだっけ?」

「聖騎士ランスロットだ」


 店主はまた煙草に火をつけながらスマホで時間を確認してから続けた。


「そしたら、ランスロットがあとはトカゲの3枚おろしにして万々歳。お前英雄、俺儲かる。オッケー?」

「だ、だがこの剣だけでは邪竜の体躯とブレスをどうやって倒せばいいというのだ」

「液体ばらまく名前よぶ、倒す。はい復唱して」

「液体ばらまく名前呼ぶ、倒す」

「はい上出来。悪いけどそろそろレイドやんなきゃいけないからあとで金銀財宝よろしくね」


 ちゃらららららーん、ちゃららららー♪


 退店時のベルが鳴ると、ランスロットの眼前にガラスの自動ドアが現れて開かれた。そこは先程まで邪竜ヴァキアと死闘を繰り広げられていた崖山だ。月明かりでわずかに岩肌を視認できたのと、焦げついた臭いで断定したランスロットは呪文を唱えてから決死の歩を進めた。


「液体ばらまく名前呼ぶ、倒す。液体ばらまく名前呼ぶ、倒す。」


 店主は自動ドアからランスロットの姿が消えたのを確認してから席に戻った。


【ひまじん:おまたギリ5分前あせったー】

【白猫LOVE:おっかー稼いだ?】

【ひまじん:金貨10000枚くらい】

【六花:リアルじゃなくてゲーム内ですか?】

【ひまじん:いやリアル。剣と復活の薬売ってた】

【白猫LOVE:えリアル鍛冶屋?ニートじゃないのww?】

【六花:雑貨屋さんて言ってましたよね】

【ひまじん:そそ】

【白猫LOVE:なに経営者なのひまじん。今度おごってwww】

【ひまじん:やだよ。オフ会とか怖いし。てか俺君もしかしていない?】

【六花:そういえばまだ帰ってきてないですね】

【ひまじん:お母さんに捕まったかな?この3人でやれるかなレイド】

【白猫LOVE:なんだ脳内経営者か、期待して損した】


 こうして今日も雑貨屋『ひまじん』は無事閉店を迎え、店主はいつもどおりネットゲームに集中するという日常がもどる。


 一方、そのころランスロットは買った剣でペットボトルを叩き斬り、仲間の名前を叫んでいた。


「偉大なる魔法使いエグゼペリア!古のエルフ麗しのヒューイ!我が愛しの君シャルロット!神の英知によりて復活せしめたまわん!!」


 銀色の液体が霧散し、ふたつになったペットボトルが虚しく音を響かせて転がる。そこへ邪竜ヴァキアと思われるバッサバッサと重たい翼音が近づいてくると地響きさせながら着地した。


「いったいどうやって!?」


 自慢のブレスをもって山ごと焦土と化したはずの聖騎士が目の前にいることに驚愕の色を隠せない邪竜。ふむ、となにかを納得したようだ。


「聖騎士の加護というやつか。まあいい、その加護とやらごと爪で切裂き喰らえば確実だろうな」

「邪竜ヴァキアよ!私は神より聖剣エスカリバーを越える―神剣ヒマジンを授かった。その罪を己をもって償い滅びるがいい!!」

「ふははははは馬鹿が!1人で何ができるというのだ、先ほどと同じように神剣とやらも折ってやろう」


 巨体とは思えないほどの跳躍力でランスロットとの距離を詰めると邪竜はその爪で屠ろうと力を込めた。


【自動防衛プログラム作動します】


 ギギギギギギギィン


 不可視の壁が死を運ぶ邪竜の爪を防いだ。それを破ろうと胆力で押すが動じない。


(素晴らしい力だ…だが復活の霊薬は効かなかったのだな…)


 ぐっと全身の力をこめて耐えようとすると邪竜が逆に力負けをして体制を崩した。好機とばかりにランスロットは攻めに転じるとその超人的に強化された跳躍力に邪竜を飛び越してしまった。

 それを歴戦の邪竜は見逃さなかった。その尻尾でひとなぎを軽く振ると終わりだろう。


 自動防衛プログラムは発動したが隙を狙われたランスロットは岩肌に叩きつけられ、その衝撃で崖から転落してしまった。


「なんともろい。だがあの神剣は許せぬ。滅ぼさねばならん」


 自慢の爪を防ぐ神剣に脅威を覚えた邪竜は崖下をのぞくがさすがのドラゴンの夜目でも漆黒の闇につつまれたままだった。しかたなく飛んで行こうと翼を羽ばたかせた時。


 ドッ、ドドッ!


 背中に刺すようなわずかな痛みを覚えた。背中には3本の弓矢が刺さっているではないか。


(おかしい死んだはずのエルフが弓をつがえている?)


 次に体中の力が抜けていく。これはあの女が使っていた力だ。森で焼き殺したはずだ。


(何が起こっているのだ)


「ひいー。さすがに老人に二人を引き揚げさせるのはどうかと思うぞ」


 そして眼前には浮遊する老人魔法使いの足にぶらさがるランスロットと姫がいるではないか。その衣服までもが完璧に再構築されている。


「なぜだ!?」


「終わりだ覚悟しろ邪竜ヴァキア。いくぞみんな!!!」

「「「おー!!」」」


 後日、救国の英雄としてランスロットは王位第一継承権をもつシャルロット姫と結婚し新国王の座についた。魔法使いエグゼペリアは更なる魔法探究のために姿を消し、ヒューイはエルフの森へと帰還した。


 そして神剣ヒマジンと霊薬の代金を持参したのは邪竜ヴァキアを討伐してから一か月後のことであった。ランスロット王とシャルロット王妃は莫大な金銀財宝と宝石をもって『雑貨屋ひまじん』のあった場所へ来た。


 そこには鈍く光るやけに軽いプレートがあるだけだった。プレートには日本語が書かれていて臣下の誰一人として解読できなかったが、ランスロット王だけはなぜか読めた。そして、「あの人らしい」と呟くと、くすりと笑った。


 【雑貨屋ひまじん】

 営業日は日・祝のみの午前10時から午後5時までとなっております。

 ぼったくるのでよろしくお願いします。

 ※7日くらい待てば開店します。店主

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