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公爵夫人の我儘


夜、お互いの間に空間を作らず寄り添って眠るようになって数日。

あの日から、何となくアルフォンス様は落ち着かない様子だけど、でも夜はその優しい腕で私を包んでくれる。


…たとえ、他に思う人がいても、私への気持ちが同情からくるものでも、アルフォンス様の妻は私なのだ。

隣にいて優しい腕を私に伸ばしてくれるなら、それ以上は望んじゃいけない。

花嫁になれれば良いとだけ思っていたはずなのに、側にいて欲しいとか、抱きしめて欲しいとか、愛して欲しいとか…。

どんどん欲張りになってしまう。




久しぶりの夫婦そろっての夕食。

「…アルフォンス様?」

でも、いつもより早く帰宅されたアルフォンス様はどこかぼーっとした様子で、かと思えば難しい表情で目の前の皿を睨んでいる。


お仕事が忙しいのかな…?


何と声をかけようかモニカが悩んでいると、アルフォンスはいきなり立ち上がった。反動で音をたてる食器にも気づかぬ様子でアルフォンスは言った。


「モニカ、今日は大事な話があります」

「え…」

「寝る前に少し私に時間をください。…先に失礼します」



アルフォンスは言い切ると同時に食堂を出た。モニカは頭の中が真っ白になった。

話し…アルフォンスから改まって話しなんて、考えたくないが一つしか思い浮かばない。

もしかしたら、自分は欲張りになるあまり妻という立場を失うのか。もうアルフォンスの隣にはいれないのか…。



今までを思い返せば、アルフォンスの花嫁になることだけを望んできた。

約束があったからじゃない、この人の隣にいたいと、ずっと側にいたいと思ったからだ。だって私はアルフォンス様が…。


そこまで考えて、モニカはアルフォンスにこの思いをちゃんと言葉にして伝えた事がないことに気付いた。今までアルフォンスにはたくさんのものを貰ってきた、この気持ちも…。最後くらいアルフォンスを自由にしてあげなければ。それが私に出来る恩返し。…でも最後に、この気持ちだけ伝える我儘を許して下さい。


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