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デスゲームを楽しむために  作者: すずひら
session1 緑の従者
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005 出会い

GM「宿屋で40日間もニートをしていたあなたはお金が尽きてしまいました。このままでは明日を生き抜くこともできないと感じたあなたはメインストーリーを攻略」

ミオ「よし適当にお金稼いでまたごろごろしよう」

GM「」

 

 ついにお金が無くなったわたしは初めて街の外に出てみた。なんだか行動がニートみたいだなぁ……。いや、いうほどニートのこと知らないけども。

 ゲームに関してのヘルプは40日のごろごろ生活の中で適当に読んだので、この世界のルールについてもだいたいわかってる。

 お金を稼ぐ方法は3つ。モノを売るか、働くか、魔物を討伐するか。魔物を討伐するとお金を落とすらしい。うーん、ゲームだ。もちろん売るものなど持ってないし、この世界でまで働く気もないわたしは魔物を倒しに行かなきゃならない。

 街を出て向かったのは街のすぐ近くにある大きな森。ここは《始まりの森》という名前でレベル1の初心者プレイヤーのためのフィールドなのかな。出てくる敵も弱いのばかりで戦い方を身に着けるにはちょうどいい。と、ヘルプには書いてあった。

 

 《GM:あなたはこの世界で生きる決意をしました。まずはこの世界に慣れようと考えたあなたは難度1のフィールドダンジョン“始まりの森”の探索を行うことにしました。あなたの伝説はこの地から始まるのでしょう》


 そうそう、この世界ではなにか行動するとこうやってナレーションみたいのが脳内に流れる。スキルのレベルアップの時とかもね。まぁ適当に聞き流すけども。

 森に入って少しすると顔が凶悪なうさぎのような魔物があらわれた。見るだけでうさぎの頭の上に《ラピッドラビット・レベル1》と表示される。もふもふしたいと思って近づいていくと逃げられてしまった。なるほど、初心者向けだけあって魔物が襲ってこないのかー。ていうか逃げ足早すぎでしょ。一瞬で消えたよ……。

 と思っていると、今度は茂みから深緑色の液体?みたいなものが出てきた。同じく視線をフォーカスすると《スライム・レベル1》と出る。おお、これがうわさに聞くスライムか。ゲームに詳しくないわたしでも知ってる有名なやつだ。

 倒すなら逃げ足の速いうさぎよりはこっちのほうがいいかなぁ。

 そう思って、わたしは木の弓を取り出した。ちなみにアイテムは左手を振ってメニュー画面を開き、そこから選択することで何もない空間からいきなりアイテムを取り出すことができる。背中に背負ったりすると重くて大変だしね。ありがたし。

 と、ここで気づく。わたしの持っている武器は初期装備の木の弓だけだ。弓だけって、矢は?

 弓を構えたら出るのかなと思って構えてみるけど、現れる気配もない。のちに知ったことだけど、狩人は弓の他に別売りの矢を買わなければならず、しかも矢は使い捨て。その上剣などと違って魔物にあてることが非常に難しい。止めに威力も低いとマイナス要素ばかりなため、明白な地雷職らしい。初期職を狩人にしていた人たちはすぐに始まりの街の神殿で職業を変更したそうだ。


 そんなことは知らないわたしがどうしたものかと迷っていると、スライムがゆっくりと近づいてきた。でも、こちらを襲おうともしないし足元でふるふると震えているだけだ。

 なんか震える動きが可愛かったので弓をしまって代わりに指でつついてみた。

 ぷるるん。

 おー、この触感は面白い。やわらかいけど弾力がある。しかも触るとふるふる震えてたのがぷよぷよ揺れる動きに変わった。うーん、どうしようかなぁ……。

 あ、そうだ、わたしは狩人だけど、魔物使いでもあったんだった。《隷属の調べ》でなにか起こらないかな?

 そう思って【魔物使いのハーモニカ:レベル6】を取り出し演奏してみる。使い続けていたせいでハーモニカの道具レベルもいつの間にか6になってる。

 さすがに1か月以上も朝から晩まで演奏やってたおかげでそれなりに上手にはなった。特にミスもなく演奏を終えると、スライムが光り始める。スライム君は相変わらずふるふると震えて光が収まるとわたしの足にすり寄ってきた。なにこれ可愛い。そして気持ちいい。ぷにぷに。


 《システムロール:“隷属の調べ”発動。POW+1/2LUCの対抗ロール……ミオ10+14=24 対 スライム1。対抗勝利により自動成功しました》


 《システムメッセージ:種族名“スライム”の個体との契約に成功しました。魔物に個体名を付けますか? “名づけ”について→ヘルプ参照》


 ん、視界の端になにか出てた。これがこのゲームの判定みたいだね。いろいろごちゃごちゃしてるしあまり気にしないでおこう。そして名前付けろかー。ねぇスライム君。君の名前なにがいいかな?

 スライム君はふるふると震えてこちらに何かを伝えようとしている、のかな。ごめんよくわからないよ。

 そうだなぁ、きれいな深緑色の体だし、翡翠みたい。でも翡翠君じゃあなぁ。えーと、翡翠は英語で……。


 「そうだねー、ジェード、なんて名前はどう?」


 スライム君は嬉しそうにふるふると震えた。わたしの主観だけどね。よし、今日から君はジェード君だ。


仲間をゲットしました。ミオは昔いろいろあったせいでちょっとずれているというか壊れています。普通40日間もごろごろしないだろ……とかのツッコミは勘弁。



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