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蒼国の夜に全ては始まる

瓦礫の間を走っていく


まわりには、崩れた鉄筋コンクリートのビルしかない


突然、エミリーは足を止めて瓦礫に身を隠した


「いい?あの壊れたビルがベースキャンプだから・・・」

「は・・・はい」


静かに呼吸を整えて周りを見渡す

誰もいないようだ


確認すると

全力でビルに走った


「ふぅ・・・この奥にあるから

先に行ってて」

「え?エミリーさんは?」

「あたし?

あたしはこの辺を見回ってくるから・・・」


そういい残し

エミリーは走り去った


ビルの中は崩れている瓦礫や壊れたガラスでいっぱいだった




「だれ!?」

少し進むと

突然、銃口が向けられた


「え・・・と・・・・エミリーさんに、ここに来るように云われて・・・」

「ユミ姉に?」

瓦礫の隙間から差し込む光が

今、銃口をこちらに向けている主の姿を映し出した


長髪金髪の軽い生地で作られた軍服(あるいは作業着)を着た少女だった


「ユミ姉とどういう関係?」

注意深く聞かれた

「え〜と・・・・命の恩人・・・でしょうか・・・」

「・・・・」



しばらく、二人の間には静かな時間が流れた



「アトミックじゃあないみたいだから・・・とりあえず入って」

トゲのある口調ではあったが

銃口は下ろされた


瓦礫の山を抜けると

そこには簡単なつくりのテントと

キャンプ道具が整えてあった


「怪我は?」

「え?・・・あ、大丈夫です」


少女はテントを片付け始めた


「ユミ姉が帰ってきたら、本拠地に戻るから・・・片付け手伝って」

「あ、はい・・・!」


少女はなれた手つきで

道具を片付ける


「あの・・・アナタの名前は・・?」

「自分から名乗るのが礼儀でしょ・・・」

少女は目線をこちらに向けず

手もとめずに云った

「す・・・すみません・・・ラトルです」

「ユミル」

ユミル

それが彼女の名前だろうか?

正直、変わった名前だ

「えと・・・あの・・・どうして<エミリー>さんを<ユミ姉>って呼ぶんですか?」

「本名がエミリー・ユート・ミリアだから・・・」

えらくテンションの低い声だった

否、初めからこんな感じだったのだが・・・


また、しばらく静かな時間が流れた

正直、居辛い


「お!もぅ片付け終わったんだ?」

妙に明るく聞こえてくるその声の主が

なにやら、古びた書物を持って入ってきた


エミリーだ


「ユミ姉・・・コイツどうするの?」

口調は若干明るくなったが

言葉の節々にトゲを感じる

「もちろん本拠地に連れて行くけど?」

「本気で??」

「こんなところに置いてけぼりにするのも可哀そうでしょ?」

エミリーは持ってきた書物を鞄に入れて

支度を始めた








日が傾き

夜が来た


本拠地までは

歩いて8時間かかるらしい


「朝までには着くといいけど・・・」


3人は夜の月明かりを頼りに走った


静かな夜だ

交戦状態になっていない戦場ほど

静かで恐ろしい場所はないだろう

いつ、敵が襲ってくるかわからない


荷物の大半は置いてきたため

それほど重い荷物はない

しかし、その分小物が多いため

カラカラと鳴る


「ひとまず休憩にしましょうか・・・」

それは疲れたから休憩するのではない

目の前に

怪しげな影があるのだ


その影がゆっくりと動く

「あれは・・・?」

「アトミックの偵察機だと思うけど・・・」

「アトミック?」

「あれ・・?知らないの?」


偵察機の動きを気にしながら

エミリーは説明してくれた


原子社アトミックコーポレーション

奴らは、この国<蒼国そうこく>を買収し

国を乗っ取ったの

そして、それに対抗して戦っているのが私達・・・

世の中から見れば、私達は反乱軍かな?」


偵察機が赤い目眼カメラをこちらに向けた

瓦礫に隠れているので、見つかることは無い


偵察機が通り過ぎた

しかし、しばらく動かなかった


「もぅ、いいかな・・・・いくわよ」

それを合図に走り出す


突然、銃声が鳴った

足元に火花が散る


「しまった!!!」

振り返ると

あの偵察機が瓦礫から飛び出してきた


ユミルがとっさに対物狙撃銃を取り出す

エミリーもハンドガンを両手に持った

「ラトル君は下がってて!!!」

エミリーが、囮になって

ラトルたちから離れる

「あ、あの!何か他に武器はありませんか?」

「黙って座ってて!!」

ユミルに怒鳴られて

云われたとうり一応しゃがみこむ


なさけない


銃声が夜の戦場に響き渡る

音からして、エミリーの弾は当たっているようだ


ユミルは狙いを定めている


狙撃銃が火を吹いた


弾は目眼カメラに着弾した


視界を失った偵察機がムチャクチャにマシンガンを乱射する

突然

暗闇でもわかる黒い光が現れた

「空乏層?

今のうちに逃げるわよ!!!」

エミリーが全力で駆け出した


逃げる最中

後ろを振り返ると

黒い光に偵察機が阻まれていた





何時間も走り続けた

不思議と疲れない


「着いたわよ・・・」

見るとそこには、巨大な壁があった

その中央付近には階段があり

小さな穴へと通じていた


すでに朝日が顔をだしていた


次回、戦争は激化します

質問等あれば宜しくお願いします

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