偉大な少女の一日は鮮麗な夕日に映し出される
「女王陛下・・・ロン大尉がお越しです」
側近が窓の外を眺める女王にそう告げた
「わかりました・・・」
若い女王はイスから腰を上げた
そして側近が綺麗に細工のしてあるドアを開けるのを待って廊下へでる
まだ女王陛下は16歳
先代女王すなわち母親は流行り病により崩御
皇すなわち父親は紅国を訪問中にテロに巻き込まれて他界する
ゆえに、黄国は紅国と仲が悪い
いまだ大きな戦闘が起きていないのが不思議なぐらいだ
それと云うのも紅国の上層部は蒼国にその注意を向けているからだ
黄国は軍ではなく自衛隊
つまり、戦闘を仕掛けるようなことはしない
なので、紅国は黄国に攻め込まないのである
もちろん、紅国は黄国をナメているわけではない
全面戦争になれば大きな損失があることは明白なのだ
女王が広間にある2つの大きなイスの右側に座った
ここは本来国王と女王が座る席だ
しかし、16歳の女王には当然婚約者などいない
広い部屋の扉が開いた
そこから軍服姿のロンが入ってくる
その後ろはアスラ少尉
その右となりにキュリア軍曹が並んで入ってくる
ロンは女王の前まで来ると片足のヒザをついた
後ろの二人も同じタイミングでヒザをつく
「女王陛下に、この度の模範演習に関する報告をいたします」
そう話始めたのはアスラ少尉
「今日女王陛下よりお達しがあり、今回の新型防衛兵器「センチネル」
無事、その機動試験も終わり、その性能は確かなモノとなりました」
キュリア軍曹が噛みそうになるのをこらえて云う
キュリアが女王陛下の前に出るのは始めてであった
「ご苦労様でした」
女王陛下が固い表情で言う
キュリアは固まってしまった
19歳の彼女は年下の女王にひどく緊張していた
予想以上のその威厳に圧倒されてしまう
「以上がこの度の模範演習の報告です」
ロンがなれたようにしゃべる
「皆、よくやってくれました
今後、あなた方の活躍にご期待します」
女王がそう云うと場はしばらくシーンとした
女王が側近に目で合図する
「それでは私は席を外させていただきます」
側近は手をパンパンと鳴らした
すると部屋にいた数名の兵士が退室した
その後を側近が追いかけるように歩く
ロンの近くに行くと何かをささやいた
ソレを聞いてロンは口元が緩みそうになった
バタンっと扉が閉まった
キュリアが重い空気に潰されそうになる
すると、しばらくしてロンとアスラがクスクス笑い出した
「ふふふ」
アスラが不気味に笑いをこらえる
すると、何かがなくなったようにロンとアスラが笑い出した
「あははは!!、ヤレヤレ・・・」
ロンが笑いながら呆れた
「シリス・・・ご期待します は変だよ
そこは期待しますでいいんだよ」
「え、え?」
シリス女王は慌てた
「だ、だって・・・「ご」を着けると言葉が丁寧になるって・・」
「あ〜違う違う」
アスラが笑いながら否定する
「「ご」じゃなくて「お」だよ
まぁ、使う時と使わない時があるけどね」
3人がチョー和やかムードでしゃべる
その状況に一番あせっているのはキュリアだ
「あ・・・あの」
「ん?あぁ、そうだね紹介しよう
シリス、この人は昨日軍曹に昇格したキュリア・フォスナ軍曹だ」
「え?あ、よ宜しくお願いします」
「宜しく、キュリアさん」
女王が16歳らしいかわいらしい笑顔で挨拶した
「あ、あの・・・コレはどういう?」
キュリアはその場の全員に状況説明を求めた
先ほどの側近も、この状況にかかわっているのは明白だ
「あぁ、ま、最初は皆驚くかな
後で説明するさ」
ロンが笑いながら云う
しばらく、3人の超一般人口調トークショーはキュリアを混乱させた
昼食をとって女王との面会を始めたのだが
すでに夕刻にさしかかっていた
「おっと、もぅこんな時間か」
アスラが話しの流れを綺麗に止めた
「では、シリス・・・またね」
ロンが背を向けた
「あ、その、明日も・・・」
「嗚呼・・・来るよ、明日もね
面会理由を考えるのが大変だ」
ロンは笑いながら云った
3人が広間を後にすると女王はイスに倒れるように座った
そして、寂しそうに窓から夕日を見た
「そろそろ、教えていただけますか?」
言葉に怒りが見える
キュリアはすでに一生分のストレスを感じた気分だった
「え?なにが?」
ロンがおどけて云う
「とぼけないでください!
あの状況はなんですか!?」
「あ〜はいはい、アレはね
まぁいいんじゃない・」
「よくありません!!!!」
ロンは思わず耳をふさいだ
「シリスはまだ子供なのに親を亡くして
さらに国を治めるはめになったんだ
今日君が受けた感覚を、あの子は毎日感じているんだよ」
アスラが真剣な表情で云う
「だから、こうして雰囲気を和ませてるんだよ
これは、側近のエミオさんも同意の上でね
ただ「羽目を外し過ぎないように」とのことだ」
ロンが笑顔で説明する
「そ、それなら最初から云って下さい」
何故かキュリアは赤面した
そこにアスラがキュリアの耳元にささやく
(シリスとロンは・・・・)
「おぅい!アスラくん?
何を云ってるのかな?」
「いや、なんでもないさ
では行こうか
まだメテオブレイカーの掃除が終っていないんでな」
アスラはウィンクしながら云うと
足の速度を上げて立ち去った
悲しいことにこの小説の設定資料を紛失しました
マジでショーック!
ちゃんとPCにいれとけばよかった・・・・
反省の極みです・・・;w;