天空を目指す塔
暗い部屋に誰かが入った
足音だけが響く
〜アメリカはついに動き出した〜
「・・・」
〜そうそうに組み上げろ〜
「あともう少しです」
〜期待している・・・〜
「はぁ・・・」
「ん?どうした?」
食堂でラトルはため息をついた
ソレをコールがおもしろそうに隣に座って気遣った
「いえ・・・お腹の調子が・・・」
「あ〜変なものでもくったか!?」
心あたりがあるとすれば先ほどのコーヒーもといオイルだ
「ん〜・・・多分」
「おいおい!パイロットは身体が資本だぞ?
医務課行ってこい」
「医務課ってどこですか?」
ラトルは苦笑いをしながら言った
「え〜と・・・ドコだったかな・・・」
「俺がついていってやろう」
いきなり図体のデカイ男が声をかけてきた
「おまえがラトルか
俺はスティング、よろしく頼むぞ」
「あ、宜しくお願いします」
ラトルは丁寧に頭を下げた
「ちょうど医務課に用事があるんでな」
医務課はゲートの近くにあった
外の負傷者を手早く治療するためなのだそうだ
「ふむ・・・胃もたれだね」
Dr.メシスはザラ紙に診断結果を書いた
「ところでメシス
俺の診察表は?」
「あせるなあせるな
ホレ」
Dr.メシスは引き出しから診察表をスティングに手渡した
「かたじけない」
受け取るとスティングは出口へ歩いていった
ラトルが頭を下げてスティングの背中に駆け寄った
「あの、ありがとうございました」
「ん?あぁ、気にすることはない」
スティングは笑顔で答えた
「いや〜参ったな」
ゲインはアトランティスから降りて腰をついた
「まさかコイツの有効範囲がこんなに広かったとは・・・」
「おいおい、しっかりしろよ?」
リオンが歩み寄ってきた
「中将!」
そう叫んだのは新米の兵士だった
「ん?」
その声にゲインが振り向いた
「中将!なぜテストに中将自らが!?」
「あたりまえだろ?
ホレ、こんな感じで不慮の事故が置きかねないからな」
ゲインはアとトランティスを指指した
「それはおまえが悪いんだろ?」
リオンが即答する
「っで・・・ですから!中将を失いかねないじゃあないですか!!
こういうのは階級の低い・・・」
「階級は命の優先順位じゃないぞ?」
笑っていたゲインが厳しい目で云った
若い二等兵はその目を見て怯んだ
「ま、階級があがれば多少はワガママがいえるからガンバレよ!」
ゲインはそういって立ち上がった
「しかし!中将ほどの方を不慮の事故で・・・」
皆まで言わさずゲインは二等兵の頭に手を乗せた
「次の世代を生きるお前達が生きるために俺達が出るのさ・・・!
次の時代を進むのはレイス・・・お前達だ」
そういって軽く頭を叩いてゲインは立ち去った
倉庫には傷ついた2機のサイバーポッドと若い二等兵だけが残った
「『次の時代を進むのはレイス・・・お前達だ』・・ねぇ・・
ソコ、レイスじゃなくてエミちゃんのことだろ?」
リオンが笑いながら云った
「う・・・」
図星だった
「ま、まぁいいじゃないか」
ゲインが笑い飛ばした
更衣室から高い笑い声が響いた
「どうかね?」
「はい!もぅまもなくです!」
AC社長は倉庫に来ていた
珍しいことではない
1日の大半を倉庫で過ごしている
「この機体は確実にレジスタンスを撃ち滅ぼせますよ!!」
そこには巨大な塔が聳え立っていた
「あぁ・・・この国に秩序をもたらすためだ
がんばってくれたまえ」
そういい残して立ち去った
え?蒼国、黄国、紅国ってなんだか信号みたいですって?
その発想・・・あながち間違いじゃぁないかもしれないですよ・・・