少女の涙は神々の心をも揺るがす
「足元不注意で転倒・・・通信機器破損・・・機体損傷・・・・」
ソルイドが呆れて云った
「すんません」
コールは深く頭を下げた
「直す身にもなれってんだよ・・・!」
スコーフも呆れて云った
「まぁデスサイズは追い払ったしな・・・・処罰はトイレ掃除1週間」
「・・・・・はい」
コールは大人しくそれに従った
「ふぅ・・・」
ラトルはベッドに倒れた
「大分戦闘はなれてきたな・・・」
ラトルは前夜のことを思い出して云った
「・・・あの、どうぞ・・・・」
「ん?あぁ、ありがとうございます」
レーンから差し出されたコーヒーをラトルは笑顔で受け取った
ブラックコーヒーを一口飲んだ
ものすごく苦い
ふと目線を前にむけた
するとレーンが珍しいものを見る目で見つめていた
非常に気まずい
「あの、なにかついてますか?」
笑顔で優しく云ったつもりだったが・・・
「ご、ごめんなさい・・・・」
レーンは慌てて部屋を出た
「あ・・・」
しまったと思ったがすでに遅く
支え主を失った扉が閉まった
「なに泣かせてるの?」
再び扉が開くと
そこからユミルが入ってきた
「いえ、泣かせたつもりは・・・」
「レーンは人見知りが激しいから・・・」
正直、激しすぎる気がする
「えと・・・ユミルさんはここの人じゃないですよね?」
「なんで?」
「いえ・・・カン・・・です・・・」
ユミルに睨み付けられた
ラトルはマズイ扉を開いてしまったと思った
「・・・私だけじゃなくて・・・レーンも元々は別のとこにいたの・・・」
「別のところ・・・?」
「そぅ・・・別の戦場に一人でね・・・
一人で泣いてるとこをユミ姉に救われたの・・・・」
銃弾が飛び交う
「ユミ姉!!向こうのやつらがそこまで来てる!!」
「了解・・・!」
ユミルが狙撃銃のスコープから目を離した
後ろを振り向くと
壊れた町が目に映る
その町からは銃声のみが聞こえる
「ユミル・・・閃光弾ある?」
「うん」
リュックから閃光弾を取り出して手渡した
「行くよ・・・準備して!
3・・・2・・・1!!」
閃光弾が投げ込まれ炸裂した
非常に強い光が放たれた
そして、その光にまぎれてガレキを走り出した
「・・・!?」
「どうしたのユミ姉!」
「なんか・・・声が・・・聞こえない?」
耳を澄ますとたしかに泣き声が聞こえた
「ユミル・・・ちょっとスコープ貸して」
「はい」
手早くスコープを外した
「居た・・・・」
そう云うとハンドガンを構えて走り出した
「ユミ姉!」
慌てて荷物を置き捨てて狙撃銃を構えた
「はぁぁぁ!!!」
叫びながら少女に飛びついてガレキに隠れていた兵士を撃った
「ぐあぁぁl!」
兵士は断末魔の声を上げて倒れた
遠くでファイアストームが敵SPを撃退した
それを合図にするかのように敵は撤退した
あたりが急に静かになった
少女は小さな声で泣いていた
「どうしたの?」
やさしく声をかける
「お父さんとお母さんは?」
「・・・ここには居ない・・・」
小さく答えた
「はぐれちゃったの?一緒に探してあげようか?」
微笑みなが云う
不安を取り払うためだ
後ろからユミルが走りよってくる
「いない・・・死んじゃったから・・・」
どのように言葉をかけていいのか
言葉に詰まった
「お父さん・・・お母さん・・・視んじゃった・・・死んじゃった・・・」
ポロポロ涙がこぼれた
「死んじゃった・・・」
小さな女の子が死という単語を何度も繰り返した
「・・・・大丈夫」
涙を流す少女を抱きしめた
「もぅ、大丈夫だからね
一人でがんばったね・・」
「うぅ・・うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
少女は大きな声で泣いた
何かにすがるかのように
ユミルはソレを見ていることすらできなかった
「だからね・・・ユミ姉はホントに・・・」
「・・・」
ラトルは言葉に詰まる
なんて声をかければいいのか
最善の言葉が思いつかない
「ここにはね・・・ユミ姉に救われた人がたくさん居るの・・・」
「ボクも・・・その内の一人ですしね・・・」
今は亡き人を愛しく思う気持ち程虚しいものはない
「・・・あれ?なんでこんな話したんだろ?
あぁ!もぅ!なんかハラタツ!!!」
ユミルは一方的に逆ギレして部屋を出た
「・・・・結局なにしに来たんだろ?」
部屋の前でユミルは考えた
「あ」
再び扉を開いた
「さっきのコーヒー、水道に古いオイルが流れてて間違って配ったからってアカネさんが・・」
「ぶーーーーーーー」
ラトルは飲んでいたコーヒーもといオイルを噴出した
微妙な新キャラ登場です
まぁ今後「アカネ」は重要なキャラに・・・なるかも