吸血館食堂にて
アニマのもとには、丑屋と寅も集まった。寅は目を覚まし、ふらふらとしてるものの歩いた。
「『まだフラフラするけど・・・卯鷺は、倒せたんだよね? なら、良いかな?』」
「『・・・もう、こっちはどれだけ心配したと・・・』」
そうして、全員はまとまって吸血館へと向かった。
「ただいま! マイホーム!」
「あ、お帰りなさいませお嬢様」
吸血館に到着したアニマ達は、門の前に居たレヴィと辰蒔、エントランスに居たサタニットと珂礼を含めて、食堂へ集まった。食堂は全員が入っても余裕があり、突然の来客で戸惑うほかの使用人に指示しながら類と神菜子、そして事情を理解したリナリアが配膳を行った。
「・・・アニマ嬢?」
「何? アスモ」
「僕達すぐ帰るって・・・マモーネが言わなかったっけ」
「すぐ食べて帰ればいいじゃない」
「そんな無茶苦茶な!」
「まあ、良いんじゃない? ちょうど、私もお腹が空いてきたところだ」
「そうだ、サタニット。ベールはどこだ?」
「先刻から見当たらない」
「はぁ!?」
「まあ、とにかく食べてって」
アニマに勧められ、大罪魔も出された食事に手を付けた。
「貴方達も、食べて行って」
「気持ちはありがたいが、その前に」
「?」
「改めて、自己紹介をさせてもらおう。卯鷺の名前で覚えられても困るからな」
「ああ、どうぞ。寧ろ、全員名前を聞かせてほしいわね」
「俺は灰坂千雨。妖猫寺麟之助と共に、悪質な妖怪退治を生業にしてた」
自己紹介を終えると、千雨はほかの元十二支罪国組メンバーに何かを呼びかけた。すると、丑屋が話し始めた。
「『私は【黄長望】。巫女をやってるわ』」
「ん? ちょ、類? 通訳して」
「承知しました」
二人のやり取りを無視して、寅が話し始めた。
「『おいらは【黒頭牙】。姐さんと一緒に、神社で術の修行中』」
「『私は【辰緑】だ。清水の国で、武闘家をしている』」
「私は稗田珂礼。日の本の国の人間側のお偉いさんの補佐兼書記」
「『俺は茶谷亙。飛脚やってる』」
「『・・・下河青葉。暗殺業をしている』」
「『私は、園咲紅子。とある、陰陽師の、式神』」
「『俺っちは橙太佐助! 俺っちに逆らえる犬は、居ないといっても過言じゃないぜ!』」
「『私は笹原紫だ。大工仕事してる』」
「『私は妖猫寺なゆた。国に帰ったら父上の後を継ぐことにします』」
全員の自己紹介を聞き終え、アニマは口を開いた。
「ところで、どうやって国に帰るわけ? この国の警察も馬鹿じゃないわ。記憶操られてたなんて、人間には通じないわよ」
アニマの言葉を、類が通訳した。
「『・・・そういえば、私が難破船に見せかけるために破壊してしまったか。あの船は』」
「『うん』」
そこに、黙々とサラダの甘エビをつついていたサタニットが口を挟んだ。
「『ちょうど此処には次元転送装置がある。こいつを使って、一旦マモーネの閉鎖空間に飛び、そこから座標調整して貴方達の国に飛ぶことが可能よ』」
「『つまり・・・船がなくても良いと?』」
「『そういうこと。それでいい?』」
「『よろしく頼みます』」
「『ちょーっと待ったぁ!』」
アリオスが、口を挟んだ。
「『その前に・・・妖猫寺なゆた。依頼は破棄ということでいいのか?』」
「『あ、はい。ですが、報酬は払います』」
「『は? 仕事をしないで報酬を受け取るのはポリシーに反するのだが』」
「『最初の契約では、『父親の仇である灰ヶ崎子子丸を殺すのが依頼で、報酬は醜き大宝【呪縛の数珠】』でした』」
「『ああ、そうだ。東方の国はまだ醜き大宝の捜索をしていなかったからな。手に入るだけ手に入れたかったんだが』」
「『ですが、父親の仇は別人だった・・・。卯鷺と千雨さんが接触した時間から考えて、犯人は卯鷺でもなさそうです』」
「『結局、依頼は達成しようがないから破棄・・・ということか?』」
「『はい。ですが、結果私は父親の仇は討てなかったものの、精神的に楽になれました。これは受け取って下さい』」
なゆたは、袖口から取り出した数珠をアリオスに渡した。
「それじゃ、マモーネ、準備して。私は装置のセッティングをする」
「了解」
「それなら此処でやるといいわ。今、普通の使用人は立入禁止だから」
「ありがとう。使わせてもらう」
サタニットは、次元転送装置を床に並べた。




