集結
「『つまり、私は貴女と戦い、敗れた』」
「『はい』」
辰蒔は、顔を蒼白にした。
「『名折れだ・・・私の歴史に傷がついた・・・』」
「『あ、いえ、その・・・』」
レヴィはあたふたとフォローしていた。
「『そ、そうです。思い出しました。能力、返しておきますね』」
「『能力?』」
レヴィは胸のあたりを中指でつついた。すると、レヴィの胸から緑色の小さな丸い光が飛び出した。
「『妬ましき才能よ。あるべき主のもとへ返れ』」
すると、光は辰蒔へとは向かわず、空へと飛んでいった。
「『え・・・!?』」
「『なんですか、あれは』」
「『え、あれは、貴方の能力・・・戦闘中には呪術と呼んでいましたよね?』」
「『呪術? 私は呪術など扱えませんよ?』」
「『え? でも、雷をバチバチッって・・・』」
「『出来ませんよ。少しずつ先刻の光景を思い出してますが、私は今まであんなこと出来たことがありませんよ』」
「『じゃあ、あれは一体・・・?』」
レヴィは空を見上げ、既に飛び去った光の行方を考えた。
「はぁ、疲れたわ」
珂礼は、疲労の色を全く浮かべず、感情を込めずに呟いた。
「この呪術は、細かい標的の絞り込みができないから、忘れたことが多い人には関係なくても当たってしまうかもね」
「でも、お目当ての奴らには当てられたんでしょ?」
「十中八九ね。それにしても、この国の文化は興味深いわ。図々しいとは思うけど、なにかこの国の本とかはないかしら」
「本か・・・ベールなら持ってそうだけど、知らない間にどっか行ったしな」
「あの髪の長い子かしら?」
「そう」
「あの・・・」
「あ、えーと、リナリア!」
「そうです。お客さんに、紅茶をと思って・・・あ、サタニットさんの分も」
「ああ、ありがとう」
「どうぞ」
「どうも。この国の茶は赤いのね。私の国とは違うわ」
「珂礼さんの国ではどんなお茶が?」
「茶色い透明なものや、緑の透明なもの、緑色の物などがある」
「緑・・・」
「さて、いただきます」
二人は、立ったままお茶を飲んだ。
「・・・一体これは、何の茶だ?」
「ダージリン・・・ですけど」
「飲んだことのない味がするんだが」
「え・・・」
「独特の味ね。独創的とでも言うのかしら」
「・・・」
「『この近くに、卯鷺が居ます』」
「『ありがとうございます。園咲さん』」
「ここら辺か。明ちゃんも来てくれればよかったんだけど」
「『此処だよ此処! おれっちは鼻が利くんだ』」
「『よし、ありがとよ』」
「この先の空き家の地下に、あの悪戯兎は潜んでいる」
「よしきた!」
そして、誰もがお互いの顔を見合わせた。
ミレディアの同じ場所に、類、神菜子、紅子、マモーネ、アスモ、佐助、アリオス、テレサ、千雨、なゆた、アリスが集結した。
「あれ、皆さんお揃いで?」
「・・・みたいだな」
「まあ、目的はみんな一緒だろ」
「だろうな」
全員が、我先にと千雨の指示に従って、卯鷺の潜む空き家へと向かった。
「さすがに・・・これは」
アニマは狼から降りて驚愕していた。
空き家へと続く道には、鬼が溢れかえっていた。
「『此処へは誰もたどり着きやしない』」
卯鷺は、悪しく微笑んだ。




