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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
東方編
58/67

事件の真相

「麟之助と俺は、生まれ年が同じでな。妖怪と人間ということもあって、周囲には止められたがよく遊んだものさ」

 千雨とアリス、そしてなゆたはミレディアに向けて走っていた。

「生まれ年が同じ・・・って、この子のお父さんと同い年!?」

「まあな。だが、人間と妖怪では当然成長する速さも違う。『なゆた、麟之助・・・お前の親父は今年幾つだった?』」

「『・・・四十八』」

「で、あんたはそんな若い姿か」

「妖怪は皆、一番活発な時期で姿が留まるのさ。賢者級の妖怪にもなれば、年齢は四桁で姿は二十代なんてのも当たり前さ」

「死神の私が言えた義理じゃないけど、まるで化物ね」

「化物だからな」

「で、そろそろ総大将について話してもらおうかしらね」

「あ、おう。そうだな・・・まずは、麟之助の事から話さないとな。あいつが死んだと知ったのは、ついさっきさ」

「ついさっき?」

「操られていた記憶が元に戻って、それでようやく分かったんだ。俺が記憶を操られたのは、恐らく麟之助に会いに行った日だ」

 千雨は、小さく舌打ちをすると話し始めた。

「『一年前、麟之助は俺にある話を持ちかけてきた』」






「『来てくれたか、千雨』」

「『当たり前だ』」

「『・・・お前は、この戦いどう思う』」

「『麟之助、愚問だな。人間のお前と仲良くしてる時点で、答えは出てるだろう』」

「『違いないな。で、相談というのはほかでもない。俺と協力して、人妖同盟の成立の手助けをして欲しい』」

 日の本の国では、長らく人間と妖怪による戦いが続いていた。百二十年前の大一揆からは、妖怪のほうが優勢であった。麟之助は、国内一の陰陽師であったが、人と妖怪の争いを悲しんでいたため、戦いには参加していなかった。

「『娘がな、夜な夜な泣くんだよ。あいつは俺以上の素質を持ってる。妖怪も人間も日々死んでいくこの国で、何かが聞こえてるんだそうだ』」

「『悲しいな。お前の娘は、人一倍優しい。苦しませておくべきではない』」

「『人妖同盟は、人間の王の了承は得た。あとは、妖怪の大将の同意さえあれば・・・』」

「『協力したいのは山々だが、俺は大将に会えるほどの人望はないぜ。まあ、機会があれば命かけてでも伝えるさ』」

「『ありがとう、我が友』」

「『おうよ、我が友』」

 二人はその後、それぞれの帰路へと向かった。しかし、麟之助が自宅近くの橋を通りがかった時だった。

「『・・・千雨?』」

「『・・・』」

 橋の向こう側には、帰ったはずの千雨の姿があった。麟之助が近づいた次の瞬間、麟之助の腹を千雨の刀が貫いた。

「『・・・?』」

「『さようなら、麒麟の子よ』」

「『千雨・・・じゃないな・・・』」

「『騙すにはこの姿がいいと思ってね。お前は首を突っ込みすぎた。その悪い首・・・頂戴する!』」

 麟之助の首が、宙に舞った。

「『・・・なんだ、今の気配』」

 同時刻、千雨は自分のねぐらへと森を歩いていた。

「『・・・気のせいか』」

「『やあ、子子丸』」

「『誰だ?』」

 木々の間から、布で顔を隠した女が出てきた。

「『子子丸? 人違いだ。俺の名前はそんな名前じゃ・・・』」

 一瞬にして女の姿が消え、次の瞬間千雨の背後から声が聞こえた。

「『いや、君は今日から子子丸だ。今日からは私と一緒に働いてもらう』」

 千雨の記憶は、その瞬間背後に立っていた卯鷺によって変えられてしまった。






「『と、言うことだ』」

「なるほど・・・貴女は、帰り道で卯鷺に襲われたと」

「『そういう事になる』」

「『そして、卯鷺は私の家に父上の首を投げ込み、それを目撃した私の記憶をも弄った。それも、千雨さんを犯人にして』」

「『兎に角、卯鷺に全て吐かせる。白黒はっきりしないまま終わらせたくない』」

「行きましょう」

 三人は走る速さをあげた。

 その頃、吸血館の門前にて・・・

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