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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
東方編
57/67

悪戯兎

 女の、炎を帯びた拳が鬼神に叩きつけられた。

「『この炎は私の心を映す。私の怒りが収まるまで、この炎は消えやしないさ』」

 鬼神の身体が炎に包まれ、朽ちていく様子がよく分かった。

「『運がなかったね』」

「『・・・いやはや、凄いね』」

「『あ、あんたか。先刻から下に居たの。先刻は気付かなかったよ』」

「『・・・そう』」

「『そうだ。自己紹介がまだだったね。私は綿華・・・いや、違うな。あれ? 可笑しいな、記憶が二つあるっていうか・・・まあいいや。私の名前は【桃山明ももやま めい】だ。明でいい』」

 明は服の袖からキセルを取り出し、朽ちた鬼神の残骸に近づき火にかざした。

「『そういや、あんた最初の話からして、十二支罪国組の敵だよねぇ?』」

「『まあ、そういうことになるかな』」

「『先刻、変な術にかかったみたいだ。頭の中に記憶が二つある。だけど、はっきりと、正しい記憶は分かる。正しい記憶では私は、悪戯兎に誑かされて記憶を弄られてる。そしてその悪戯兎は、十二支罪国組の組長。この侵略作戦を止めたいなら、彼女のところに行くしか無いよ』」

「『その、彼女は何処に居るんだい?』」

「『知らん。でもまあ、すぐに分かると思うさ。ほら、そこ』」

 明はキセルを咥え、横たわる申竹を指さした。

「『ほかの奴らも、私と同じように正しい記憶が復活してる。少なくとも、そいつなら場所くらい知ってるだろうさ』」

「『そうかい。じゃあ、待つとするよ』」

 その時だった。公園の真ん中にあるラジオ機器から、アリオスの声が流れた。






「『卯鷺は俺っち達を騙したんだ。記憶を操る呪術を使うから、注意したほうが良いよ』」

 戌太改め、【橙太佐助だいだいだ さすけ】はそう言った。既にアリオスは佐助から卯鷺の居場所を聞き出し、放送を始めていた。

「カーリー社員、及びその他の協力者へ連絡する。ギルバート侵略計画者【蝶蛾羽卯鷺】は、ミレディア地区内の空き家に潜伏中。なお、この放送はミレディア地区には放送されていない。至急、そちらへ向かえ。繰り返す・・・」

 放送を終えると、アリオスはテレサを呼ぶと、佐助に呼びかけた。

「『お前、下手に動いて捕まってもらっても困るから付いて来い』」

「『え、うん』」

 三人はミレディアへ向けて走りだした。






「『約束は、守れよ・・・』」

「『寅! 私のことは良い! これ以上鬼を召喚すれば、あんたもただじゃ・・・』」

「『黙れ。私の目的はまだ達成されてないんだ。五月蝿くすると、二人共殺すよ』」

 卯鷺は無表情に淡々と言った。既に、自分の思い通りにならない二人を道具としてみていた。

「『・・・誰か近くに居るな。まあ、この鬼の波を掻い潜れるわけはないか』」






「んもう! なんで貴方まで・・・」

「アニマ嬢。僕の食事の邪魔をしないで貰えますか。此処はまるで楽園。肉の塊がうじゃうじゃと・・・」

 鬼の大群を前にして、アニマとベルゼはいがみ合っていた。

「この先から、美味しそうな兎のにおいがするのですよ」

「貴方は狼か何かか? あ、狼ね・・・」

 アニマは指を鳴らした。アニマの足元の影から、狼の姿をした影が抜けだした。

「この間から試そうと思ってたのよね。この鬼の隙間を縫うのは楽しそうだし」

「・・・?」

 アニマは狼に跨り、走りだした。

「さあて、お先に」

「やれやれ。チャイルドデビルとはよく言ったものです。行動までも子どもらしい」

 そう言いながら、ベルゼは鬼の群れに突っ込んだ。

「さあ、頂きましょう」

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