表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
東方編
56/67

呪縛完全解除

(違う、これは、私の記憶と違う。なんで、あいつが・・・子子丸が、父上と笑って話してる? 子子丸が父上を殺したのに、違う、子子丸は、父上は、私は、千雨は、・・・誰? 貴女は誰。なんで、私の父上に、そんな顔をするの。違う、私の記憶と違う、違う、違う、父上を殺したのは・・・)

「・・・蝶蛾羽」

 なゆたの背中にも、数個の文字が纏われていた。






「類!? 何を・・・」

「あぁ、・・・くっ・・・ぁ」

 もがく紅子の首筋から類は口を離した。倒れこむ紅子を抱きかかえ、地面にゆっくりと下ろした。

「『すいません、園咲さん』」

「類、なんで突然」

「いえ・・・今、急激に魔力が抜けて、本能的に動いてしまいました・・・」

「それって・・・」

「自分でも、分かりません」

「『う、ん・・・』」

「『僕は吸血鬼として不完全。吸血しても、相手を吸血鬼に変えることは出来ません。驚かせてしまいました。申し訳ありません』」

「『いや、私も、貴方達を、傷つけた。この程度で、済むなら』」

 紅子は首筋を抑えながら立ち上がり、三人に呼びかけた。

「『先刻、私と、共に、貴方達を、攻撃した、【笹原紫ささはら ゆかり】は、次出会っても、貴方達の、味方だから、攻撃しないで、欲しい』」

「『分かりました』」

 その時だった。空から降り注いだ無数の文字が紅子を包んだ。

「な、何!?」

「『これは、巳城、いや、珂礼の・・・うっ!』」

 紅子はその場に倒れこんだ。

「『園咲さん!』」

「『大丈夫。珂礼の、能力は、記憶の復元。書き換えたり、危害を、加えたりは、出来無い筈』」

 その様子を見ていた神菜子の背に、文字が張り付いた。神菜子は少し身震いをして、文字を振り払った。が、神菜子は何かを思い出したように一瞬顔を強張らせた。

「・・・」

 紅子を包んでいた文字が消えると、紅子が呟いた。

「『そうだ・・・卯鷺の、居場所を、思い出した』」

「『本当か!?』」

「『付いて来て、下さい』」

 紅子が歩き出すと同時に、三人も歩き出した。

 目指すはミレディア。首謀者の所在地だ。






 アリスに振り下ろされた鬼神の腕は、アリスの体に触れること無く止められた。

「・・・?」

「全く、珂礼の奴、思い出したくないことまで思い出させてくれやがったぜ。めんどくせえ」

「お、お前は・・・」

「俺の名前は【灰坂千雨はいざか ちう】。すぐに離れろ。巻き込むぞ」

「ムイラク語!? 貴方、この国の言語が話せるの?」

「だぁもう、うるせえ女だな。早く離れろってんだ」

 千雨は、今までとは打って変わった口調でアリスを一蹴した。

『そこをどけ、灰ヶ崎子子丸!』

「『そこをどけ、だぁ? 誰に口を利いているんだてめえは。少し、お灸を据える必要が有りそうだな』」

 鬼を抑えるのに使っていた刀を持ち替えると、千雨は自分の右手の親指を噛んだ。

「金生水。お前、水の鬼だろう。残念だったな、俺とは相性が悪かったようだな」

 千雨は右手で刀を掴むと、一気に鬼神を真っ二つに切り裂いた。

『な、んと・・・!?』

「滅」

 鬼神の身体が一瞬にして水泡となった。

「さて、悪い夢、で終わればどれだけマシか」

「あんた、一体・・・」

「あー・・・説明必要か?」

「必要。侵略者に助けられたんじゃ、カッコつかないし」

「なら、移動しながらだ。言い訳は動きながらでも出来るだろう」

「移動? 何処へ」

「お前さんも行きたいだろうさ。なにせ、あんたの言う侵略者の総大将のところだ」

「!」

 千雨は歩き出し、少ししたあと振り向いた。

「『なゆた』」

「『・・・』」

「『行こう。お前の、親父さんの話も・・・』」

「『思い出した』」

「『え?』」

「『父上のことは、全部思い出した。父上を殺したのは、蝶蛾羽』」

「『そうか、お前も思い出したか。兎に角、今はその卯鷺の所へ急ぐ』」

 千雨は再び向きを変え、未レディアに向かって走りだした。

「さて、行くよ」

 アリスとなゆたも、それに続いて走りだした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ