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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
東方編
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巳城の呟き

 鬼によって荒らされた街を歩いていた子子丸に、歩み寄る影があった。

「『・・・巳城』」

「『・・・』」

 彼女の名は【蛇木巳城へびき みしろ】だ。しかし、巳城は子子丸に一言呟いた。

「『私の名前も忘れてしまったのね、千雨。まあ、それも仕様のない事』」

「『?』」

 巳城は最後に一言呟くと、何処かへと消えていった。

「『何なんだ、あいつは』」

 子子丸も、何処かへと歩き去っていった。






「今回この国に来た侵略者は、東方の国【日の本の国】から来た十二人の男女だ。だが、全員が俺達と同じ能力者だ。確認できてる限りでは、鬼と呼ばれる怪物を召喚できるものが一人、鬼と共に暴れている様子から、能力と言うよりは吸血鬼の翼や魔力の光弾に似た物を扱っていた者が多数だ」

「そう・・・。思ったより手強そうね」

「それに加え、奴らの使役する鬼は一体一体が警察程度じゃ手に負えないものだ。案の定、警官隊は上の命令で迂闊に動けなくなったんで私だけ命令違反して出てきた」

「アリス? だっけ? 貴女度胸有るわね」

「まあね。そんなことよりアリオス、私の掴んだ情報もいいか?」

「ああ、話してくれ姉貴」

「私の能力で召喚した、【9】に国全体を探させたところ、現在鬼が確認されているのはレトサム、ゴーダン、ミレディア、ストロックの四つの街だけだ。全て此処の港の周辺ばかりだ。まずは此処を占拠するつもりらしい」

「そう・・・一刻もはやく止めるべきね」

「軍が動く前に終わらせたいな・・・軍が動けば、この国全体に人外の存在が知れ渡る。元が人間の私たちはごまかしが利くとして、あんたは・・・」

「・・・それは困るわね」

 アニマは呟くと、翼を広げた。

「もう話はいいわ。悪魔の話は後々聞きましょう」

「僕は、他の大罪魔を帰したあともしばらく残りますよ。用事があるので。後日吸血館にお邪魔することにします」

「それでいいわ! じゃあ、私は行くわね」

 アニマは飛び去った。向かう先は、レトサムの北東に位置する街【ミレディア】だ。






「『な、なんだ・・・!? この、嫌な気は・・・』」

「『ジェラシー・・・妬ましい!』」

 レヴィの左目を見た辰蒔の胸から、緑色の光が抜けだした。その光をレヴィは掴むと、自分の胸に押し込んだ。

「『その力が妬ましい。だから、あたいはその力を奪い取る』」

「『! 私の呪術が解けた・・・!?』」

 雲が散り、陽の光が差し込んだ。雨は止み、視界は一気に開けた。

「『【斬首脚七連舞】!』」

 レヴィは、雷の如き素早さで辰蒔の頭上へ現れた。その足はかかと落としの体勢となっていた。

「『それは・・・私の呪術・・・!』」

「はぁああああああ!!!」

 辰蒔の右肩に、レヴィのかかと落としが当たった。それが、レヴィの斬首刑執行開始の合図だった。






 午里の戦い方は主に蹴り技だった。そのため、神菜子の能力によって凍った地面ではこちらが有利だと類たちは考えていた。

「『さぁて! 俺・・・達の、技を受けな!』」

「・・・まさか!?」

「うぐぁ!」

 気づいた類の背後で、マモーネが小さな悲鳴を上げた。

「『・・・午里、お前は遊びすぎだ』」

「『おっとさるちん、遅いな』」

「『・・・』」

 腕を抑えるマモーネの付近には誰も居なかった。声のする方向を見ると、建物の屋根に人が逆さ吊りになっていた。

「『最初に言っただろう? 俺は一人じゃないってな』」

 逆さ吊りの男は、よく見ると屋根に立っているようにも見えた。

「『我が名は【木幟申竹きのぼり しんちく】。暗殺者は絶対にその姿を見せない』」

 逆さ吊りの男は偽物だった。マモーネに気を取られていた類の右腕に、不思議な形のナイフが飛んできたのは逆さ吊りの男と真逆の方向からだった。

「『さすがさるちん、えげつない』」

 午里が苦笑したのを、神菜子は見ていた。

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