龍の鱗と雷鳴
「『私の名前は【竜ノ島辰蒔】です。貴女は強そうです。決闘を申し込みましょう』」
辰蒔がそう言ったことで、レヴィと辰蒔の決闘が始まった。
辰蒔の提案したルールは一つ、逃げることは許されない。
「『良いでしょう。逃げる気なんて最初から毛頭ありません。逃げでもしたら殺されますし』」
「『では、行きましょうか』」
次の瞬間、辰蒔は既にレヴィの目の前に居た。
「ッ!?」
「『遅いですね。それでは雷には勝てませんよ』」
辰蒔の足払いが、レヴィのバランスを崩した。
「しまった・・・」
「『雷電! 【リュウノコウベ】!』」
辰蒔に雷が直撃し、辺りにとてつもない光と音が溢れた。その中で、レヴィは辰蒔の拳を受け宙に舞った。
「『竜の鱗は雷鳴を纏い、その力を拳に乗せて私は、放てる!』」
地面に落ちる寸前のレヴィの体に、辰蒔の体から放出された青白い雷が直撃した。
「あぁああ・・・っ!」
地面を転がったレヴィは、すぐに起き上がった。しかし、再び辰蒔はすぐ近くまで接近していた。
「その手には・・・乗りません!」
レヴィは左手を地面につけると、辰蒔の足元を狙って回し蹴りを繰り出した。辰蒔は回し蹴りを跳んで避けると、後ろに飛び退った。
「『疾風! 【リュウノカイナ】!』」
一瞬にして雲の流れが変わった。吸血館を中心として雲が渦を巻き始めた。それと同時に、辰蒔の周りに突風が吹き始めた。
「斬首脚!」
レヴィは辰蒔に向かって行った。しかし、それが間違いだと気づくのは直ぐだった。
「『切り裂け!』」
突風がレヴィの体を切り裂くように吹いた。突風が刃のようにレヴィの皮膚を切り裂き、血が飛び散った。
「うぐっ・・・!」
「『思ったよりも弱いですね。豪雨! 【リュウノマナコ】!』」
辰蒔が叫んだ瞬間、レヴィの左目が辰蒔を見つめ、緑色に光った。
「『うぅ・・・痛いなぁ』」
「『気が付いたかしら? よく眠れたようね』」
「『・・・あんたは誰だ?』」
起き上がった亥威が、ベールに問いかけた。
「『ベール・ス・ローズ。ベールでいいわ。それより貴女、聞きたいことがあるんだけど』」
「『今それどころじゃない。此処は何処だ? 知らない間にこんなに傷だらけになってるし・・・』」
「『・・・それで十分だわ』」
ベールは満足したように微笑むと、亥威の肩に手を当てた。
「『これで確証が持てたわ。お礼よ』」
ベールの手のひらが再び青白く光った。すると、亥威の傷が見る見るうちに消えていった。
「『な、何をした!? お前も呪術使いか?』」
「『貴女の国の言い方ではそうね。ところで、貴女に頼みたいことがあるの。代わりに、私が答えられる範囲で質問に答えるわ』」
「『本当か!?』」
「『ええ』」
「『まず、此処は何処なんだ?』」
「『貴方達の故郷と遠く離れた国、ギルバート。罪の国といえば分かるかしら』」
「『罪の国? 確かに渡しはこの国の宴会に招待されてたはずだが・・・あれ? 可笑しいな、此処数週間の記憶がない』」
「『そう・・・』」
「『なにか知ってるのか?』」
「『それを確かめるために協力して欲しいのよ』」
「『・・・! まさか、そこに倒れてるのは・・・』」
「『知ってるのかしら?』」
「『知ってるも何も、友人だ!』」
揺さぶられた酉居が、目を覚ました。
「『・・・紫?』」
「『紅子!』」
ベールが、二人が名前を呼び合ったのを聞いて笑みを浮かべた。
(マーちゃん、どうやら私は正しかったみたいよ。そっちに行くのは少し遅れるわね)




