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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
東方編
38/67

【鬼】

 その日の早朝、ゴーダンの港に謎の難破船が打ち上がった。嵐どころか、快晴であった海には激しい波などなかった。

 街の住民の通報を受け、様子を見に行った警官一人が何者かに襲われた。その連絡を聞いた警官隊がそこに到着すると、そこには十二人の男女が佇んでいた。その足元には、警棒で叩かれたような様子の警官が倒れていた。

「『難破船に見せかけて入国審査を受けない、これは良い考えだとは思ったが、入国審査がない上に・・・人間が武器を向けてくるのは想定外だ』」

「『やはり、最初から小細工無しに仕掛けたほうが良かったのですよ』」

「『どうでもいい。私は全部壊してやるよ。何もかも!』」

「『焦らない、まずは、この国の、地形の、把握が、最優先』」

「『私の計画は失敗しない。鰐は騙せなくとも、人は騙せるわ』」

「『・・・』」

「『私は全てを見れればそれでいい』」

「『戦いたけりゃ勝手にやって頂戴な。私は自分との戦いがあるんでねー』」

「『わう! とにかく、こいつら倒せばいいの!?』」

「『俺だけでも十分だぜ? こんな奴ら』」

「『姐さん! ここはおいらに任せてください!』」

「『いいわよ、寅。やってみなさい』」

 警官隊には、彼らの話の内容が分からなかった。伝わったのは、寅から放たれる邪悪な【気】だった。

「『水の鬼、名は【海鳴】。我が言霊の名のもとに、その身を現せ』」

 寅が、人のような形の紙を投げた。宙を舞った紙は、突然姿を変え、異形の怪物へと変化した。

「うがぁああああああああ!!!」

 怪物の雄叫びは街中に響いた。警官隊がそれに怯むと、怪物は警官隊を薙ぎ倒し始めた。

「うぁああああ!!」

「ぎゃぁああ!」

 警官隊が全滅するのに、時間はかからなかった。

「『日の本の国の武士もですが・・・人間とはこうも弱いのですね』」

「『しょうがない。それほど力の差があるのだから』」

「『此処からは、みんな散らばりましょうか。この国は広い。まずは此処の周囲を占拠しましょう』」

「『良いねえ』」

 彼らは、港から散り散りに何処へともなく向かった。

 そして、数時間後アニマ達とアリスが港に到着した。

 呼び出された怪物は、ずっと海の中で潜んでいた。






「おい! 下がれ! 危険だ!」

「人間風情が騒がないことね。貴女からは魔力を感じないし」

「魔力? 何を言っている?」

「類、人目を気にすることはないわ。思い切りやりなさい」

「はい」

 類はナイフを取り出し、怪物に投げつけた。ナイフは次々と怪物に当たり、ことごとく弾き返された。

「な・・・」

「類!」

 怪物の腕が振り下ろされた。類は腕を避けると、右拳で怪物の顎を殴り上げた。怪物は怯み、仰け反った。

「はぁ!」

 類は飛び上がり、怪物の顔に蹴りを入れた。怪物はそのまま、海に落ちていった。

「いけた・・・でしょうか?」

 類は振り向いて、アニマのもとに向かっていった。しかし、すぐにもう一度振り返ることとなった。

「うがぁあああああああああ!!!」

「!?」

 海に落ちた怪物が、もう一度類に腕を振り上げていた。

「間に合わ・・・」

「うがぁあああ・・・!?」

 ほんの一瞬の出来事だった。怪物の体中に、幾つものタロットカードが突き刺さっていた。

「素人風情が騒ぐんじゃない。センスはいいが、実戦経験は少なそうだな」

 三人の後ろから、アリスがタロットカードを投げていた。






「『ここいらでしょうかね』」

 辰蒔は、レトサムに到着していた。そして、指を鳴らした。同時に空の色が変わり、雲によって空が覆われ、雷鳴が轟いた。

「『任務開始』」

 雷を合図として、何体もの怪物が現れた。道行く人々が悲鳴を上げる。

「『さあ! 祭りの始まりです!』」

 晴天のギルバート王国で、レトサムだけが嵐になった。

「『鬼たちよ! 我らが使命のために、進め!』」

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